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宮廷専属給仕⑦

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え…なんで陛下が私にキスしようとしてるの?
ありえない、リース妃やアリス嬢がいるのに…
そりゃあ側室とかもいるかもしれないけど、なんで私?
なんで、なんで…っと頭の中で整理しようとするがつかない。

それに今は、陛下の近くで給仕しないとダメなのは分かっていても、離れたいって気持ちが全面に出てしまい、部屋に向かった。

少しの間、私は仕事を放棄した…。あってはならない事をしている、他の給仕は忙しそうに動き回っているのが分かる。

ガチャ

「マール!何してるの?陛下が探してます。…どうかしましたか?」
うっすら泣いているのを感じ取られた。
でも、陛下に迫られた事をミク専属長にいうべきじゃない。
「大丈夫です、少しお腹痛くて休んでしまいました、すみません、すぐ行きます。どちらにいますか?」
「今は部屋で休んでます」
「わかりました、すぐ行きます。ありがとうございます」

部屋を出て、陛下のもとに向かった。
本当は行きたくない、いっそ自分から辞めたいと言おうか迷っている。

「失礼します…」

椅子に座り、本を読んでいるみたいだ。
「マール」
「は、はい…」
「すまなかったな、さっきは。忘れてくれ」
忘れてくれ…か。都合の良い事言って、卑怯だ…。
私の気持ちなんてこれっぽっちも考えてない。
やっぱり給仕を辞めよう。

「陛下、お話が…」
「なんだ?」
「専属給仕を…辞めさせてもらいたいです」
「…」
「黙らないでください、辞めたいです」
「…」
「陛下!私は…」
「ダメだ、許さん」

我慢の限界だった。私は陛下に詰め寄り、机を思いっきり叩いた。
「辞めていいですよね!」
「ダメだ」
「ダメだ、ダメだ、って私の気持ちも分かってよ!」

ついタメ口でいってしまった。言葉遣いとかそんな事
いってられなかった。

「なんで、私に迫ったんですか!あり得ないです、ちゃんと奥さんいるのに、それに子供も。そりゃあ側室だっているでしょうけど、私は給仕です。側室でもなんでもない!」

「そうだな…すまなかった」
初めて陛下が私に頭を下げた。
「今日はもう給仕をしなくていい、部屋に戻れ」
「…給仕を辞める話がまだついてません」
「…辞めないでくれ、頼む」

こんな姿の陛下は初めてだ。
傲慢で、人を見下す陛下が今はかなり小さく見えた。

「…分かりました、今回は陛下の望みを聞きます」
「すまない」
「じゃあ、失礼します」
「あっ…」

何か言いたそうだったけど、私は部屋を出た。
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