40 / 76
煌びやかな祝宴③
しおりを挟む
「どうぞ」
陛下の前に作ったケーキを出した。
傍ではアリス嬢の幸せそうな顔がある。
私が差し出したケーキを陛下はすぐに食べず、しばらく見ているだけだった。
「陛下…?」
「あぁ、食べるさ」
一口、また一口と食べている。
どうなんだろう。好きだと分かったけど、あまり顔色は変わらない…。
「パパのケーキも食べていい?」
「あぁ。食べてごらん」
パクッ
「あれ~、こっちと味が違う~。なんで?」
味が違うと陛下に投げかけ、陛下は「ふっ」と笑いながら、それは私専用だからだと言う。
だからアリスといえど、全部はやらないと皿を取り上げていた。
「でも、私はこっちのがいい」とミク専属長が取り分けたケーキを手に陛下の元を離れて行った。
「どうやらアリス様はそちらは好みじゃないみたいですね。お嬢様といえ、味覚までは一緒じゃないですね」
「まぁな。それよりこれに合う飲み物は無いのか?」
いきなり飲み物の催促!
ケーキだけしか考えてない私はしどろもどろになってしまい…。
「無いのか、そこまで気が回らないとは…それでは俺の…」
何かをいいかけた陛下だったが、急に口を閉ざし黙ってしまった。
「?」
何がいいたかったんだろう…。陛下の…?
「陛下、こちらがそちらのケーキには合うかと思います」
ミク専属長が陛下にレモンを輪切りしたものが入ったレモンティーを出した。
「これくらい気が利けばお前もいいのだがな」
「な、何を!」
つい、生意気に口答えしてしまった。
「あなた、少しは落ち着きましたか?」
リース妃だ。
しっかりと会ったりしたことは今回が初めてだ。
妃は物腰は柔らかく、伸ばした髪がとても綺麗でそれだけで目を奪われてしまう。
「あぁ」
「あら、ケーキ…珍しいですね、口にする事は無かったのに」
「たまには、な」
「頂いても?」
リース妃が私の作ったケーキを口にする。
すこし複雑だった…。他とは違い、陛下専用のケーキだから口に合わないかと不安が募る。
何か言われたら…と。
「…」
無言…ヤバイのかも。でも急にその場を離れたら変に思われるから、グッと我慢。
「ミクさん、作ったのはあなた?」
ミク専属長は首を振り、私の背を押し、妃の前に私を立たせた。
陛下の前に作ったケーキを出した。
傍ではアリス嬢の幸せそうな顔がある。
私が差し出したケーキを陛下はすぐに食べず、しばらく見ているだけだった。
「陛下…?」
「あぁ、食べるさ」
一口、また一口と食べている。
どうなんだろう。好きだと分かったけど、あまり顔色は変わらない…。
「パパのケーキも食べていい?」
「あぁ。食べてごらん」
パクッ
「あれ~、こっちと味が違う~。なんで?」
味が違うと陛下に投げかけ、陛下は「ふっ」と笑いながら、それは私専用だからだと言う。
だからアリスといえど、全部はやらないと皿を取り上げていた。
「でも、私はこっちのがいい」とミク専属長が取り分けたケーキを手に陛下の元を離れて行った。
「どうやらアリス様はそちらは好みじゃないみたいですね。お嬢様といえ、味覚までは一緒じゃないですね」
「まぁな。それよりこれに合う飲み物は無いのか?」
いきなり飲み物の催促!
ケーキだけしか考えてない私はしどろもどろになってしまい…。
「無いのか、そこまで気が回らないとは…それでは俺の…」
何かをいいかけた陛下だったが、急に口を閉ざし黙ってしまった。
「?」
何がいいたかったんだろう…。陛下の…?
「陛下、こちらがそちらのケーキには合うかと思います」
ミク専属長が陛下にレモンを輪切りしたものが入ったレモンティーを出した。
「これくらい気が利けばお前もいいのだがな」
「な、何を!」
つい、生意気に口答えしてしまった。
「あなた、少しは落ち着きましたか?」
リース妃だ。
しっかりと会ったりしたことは今回が初めてだ。
妃は物腰は柔らかく、伸ばした髪がとても綺麗でそれだけで目を奪われてしまう。
「あぁ」
「あら、ケーキ…珍しいですね、口にする事は無かったのに」
「たまには、な」
「頂いても?」
リース妃が私の作ったケーキを口にする。
すこし複雑だった…。他とは違い、陛下専用のケーキだから口に合わないかと不安が募る。
何か言われたら…と。
「…」
無言…ヤバイのかも。でも急にその場を離れたら変に思われるから、グッと我慢。
「ミクさん、作ったのはあなた?」
ミク専属長は首を振り、私の背を押し、妃の前に私を立たせた。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える
たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー
その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。
そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)
【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫
紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。
スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。
そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。
捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる