寝取られ辺境地へと追いやられましたが平気ですっ

mock

文字の大きさ
上 下
45 / 50

45

しおりを挟む
アドルフがニコラスの元へ向かっていくと急に声をかけてきた。

「おぉっと、待ちな。……メリッサがどうなってもいいのか?フェリスがいるとは思わなったが、都合がいい」

ニコラスはリスティアに目を送り、軽く頷く。
すると、リスティアは部屋の奥へと逃げ込んでいった。

(メリッサに何かする気だ!)

「リスティア!?」

私は立ち向かうアドルフの前を走って行こうとした。

「待て!フェリス!?」

掴もうとした手は空を切り、私は一直線に逃げていったリスティアを追い出した。

「……なんだ、お前、『フェリス』なんて呼ぶのか。あいつはなんの魅力もないぞ、そそる体でもない。自分からも来ない」
「黙れっ」
「あぁっ??」
「フェリスの何が分かる?自分から捨て、妹に手を出したクズだろう、お前は」
「なんだとっ!?」
「……まぁいい、口で分からんなら体で分からすしかないな。お前ら、ニコラス以外相手にしろ。こいつは俺がやる」
「……面白い、やってみろよ!?」




ーーーーーー



「待ちなさいっ、リスティア!?」

先を行くリスティアは私の方を振り向く事なく廊下を駆けていく。

(絶対その先にメリッサがいるんだ)

廊下を曲がると一つの部屋へと入っていった。
私も迷う事なくその扉を開け入っていくと、息を切らしたリスティアとメリー、そして、椅子の背もたれと一緒に括り付けられているメリッサがいた。


「メリッサ!?……良かった、無事で」
「んんっっ!」

口には太い縄を括り付けられ、言葉が発せないようだ。

「リスティア、早くメリッサを解放しなさい」
「……はぁはぁ、嫌よ。少しでも近づいたら」

するとリスティアは小さなナイフを取り出し、首元へと近づけていった。

「分かりますよね、どうなるか?」
「……卑怯よ」
「いいえ、そんな事ない。こうやって追い詰めるのが定石。ねぇ、メリー?」
「えぇ、ほらぁ、フェリス様に言ってあげなさいよ。あなたが何をされたかを」

メリーの言葉にメリッサは目を伏し、瞬きを何回もしていく。

「……なにをしたの?メリッサに」
「えぇ~~、私が言っていいんですか?リスティア様?」
「ふふっ、いいんじゃない?だって口塞がってるんだし」
「んんんっ!!?」

「な、なにを……?」

ただならぬ感じは分かるが、そうであって欲しくないとも思った。

「この子はねぇ、ヤラレちゃったのよ。……騎士に」

メリーの言葉にメリッサはガクッと首を傾け項垂れていく。

「……そ、そんな」
「あはははっ!なんでそんな悲しい顔してるんです?女として嬉しいことじゃないんですか??
ねぇ、リスティア様??」
「ふふっ、そうよ。私だってニコラス様に抱いてもらってる時、幸せだった。この前だって……」

初夜を思い出したのだろうか…リスティアは首元に突きつけていたナイフを一旦外し、顔をあからめ体をくねらせていく。

「……最っ低」

「えっ?何か言いましたか?お姉様」
「最低よ、あなた達。笑って話すような内容じゃない。人の体を弄んでなにが嬉しいの!?」
「……あぁ、そっかぁ。お姉様は経験無いんでしたよね」
「えぇっ!?無いんですか??可哀想……」
「うるさいっ!?」

私はメリッサを助けようと近づいていった。
だが、それを見たリスティアがすぐにナイフをまた首元へと近づけていく。

「危ない、危ない。……諦めて下さいよ、お姉様」

だけど、私はそんな言葉に耳を傾けず、更に近づいていった。

「み、見えないんですか?これを!?それ以上近づいたら切りますよ!?」
「……やればいいじゃない」

メリッサも含め三人共、言葉を失った。

「切ったらあなた達がどうなるか分からないから」

真っ直ぐ向いた目は今までの私からは想像出来ないくらい怖いらしい…。
メリッサでさえ括り付けられた椅子を引いてしまうくらいだから。

「わ、ワァァァァッ!!?」

首元に突きつけていたナイフをリスティアは私へと矛先を変え、振りかぶり切りつけてきた。
だけど、私は体を横にし避けると、空を切ったリスティアはよろけてしまい、床へと倒れていく。

チャリン……と金属音を鳴らし、ナイフを手元から落とすと、それが私の足元へと転がり込んできた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~

しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。 とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。 「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」 だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。 追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は? すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。 小説家になろう、他サイトでも掲載しています。 麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。 キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。 その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。 ※ざまあの回には★がついています。

婚約者を親友に盗られた上、獣人の国へ嫁がされることになったが、私は大の動物好きなのでその結婚先はご褒美でしかなかった

雪葉
恋愛
婚約者である第三王子を、美しい外見の親友に盗られたエリン。まぁ王子のことは好きでも何でもなかったし、政略結婚でしかなかったのでそれは良いとして。なんと彼らはエリンに「新しい縁談」を持ってきたという。その嫁ぎ先は“獣人”の住まう国、ジュード帝国だった。 人間からは野蛮で恐ろしいと蔑まれる獣人の国であるため、王子と親友の二人はほくそ笑みながらこの縁談を彼女に持ってきたのだが────。 「憧れの国に行けることになったわ!! なんて素晴らしい縁談なのかしら……!!」 エリンは嫌がるどころか、大喜びしていた。 なぜなら、彼女は無類の動物好きだったからである。 そんなこんなで憧れの帝国へ意気揚々と嫁ぎに行き、そこで暮らす獣人たちと仲良くなろうと働きかけまくるエリン。 いつも明るく元気な彼女を見た周りの獣人達や、新しい婚約者である皇弟殿下は、次第に彼女に対し好意を持つようになっていく。 動物を心底愛するが故、獣人であろうが何だろうがこよなく愛の対象になるちょっとポンコツ入ってる令嬢と、そんな彼女を見て溺愛するようになる、狼の獣人な婚約者の皇弟殿下のお話です。 ※他サイト様にも投稿しております。

処理中です...