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馬を走らせ本宅へと向かうが、私は後ろに走って行ったキサラさんの事を気にしていた。
「……気になるか?」
「そりゃあ……一人で行ったんだよ?アドルフは気にならないの?」
「……あいつは大丈夫だ、俺より馬の扱いは上手いからな。それより少し走らすからちゃんと捕まっていろ」
アドルフは馬の腹を強めに蹴るとさっきよりも脚を早めていき、次第にあの施設が見えるくらいになってきた。
グゥゥゥゥ
「あっ」
「なんだ、腹が減っているのか。屋敷で食ったんじゃないのか?」
「いや、……あまり」
「そうか」
「ね、ねぇ」
「なんだ?」
「どうしてアドルフとニコラスは戦ってるの?」
「……そうか、お前は知らないんだな」
「う、うん」
「ニコラスはルーベルト家が治める領地にある資源を欲している。だからあいつは血眼になって攻めてくる。
一方で俺はお前らの方が実りがいいからな、だから戦ってる」
「……実りって、食糧って事?」
「あぁ、こっちは荒地だからな。あまり育たない。だからそっちの領地が欲しい訳だ」
「じゃあニコラスが欲しい資源って?」
「こっちには武器を作るための鉱物が沢山取れる、そのお陰で武器については困らない」
「……そっか」
走りつつ会話をしているともうすぐ施設へと辿り着こうとしていた。
すると、アドルフは手綱を絞り始め、馬のスピードをゆるめていった。
「どうして?」
「……腹が減っているんだろう、少しだけ取ってくる」
「い、いいよ、別に!減ってないし」
グゥゥゥ
「……ふっ、体は正直だ。待ってろ」
(馬鹿、……こんな時になるなんて)
施設に着くと、アドルフは馬を降り、中へと入っていった。
私は馬上で中へ入ったアドルフを見送ると、もう一度森の方へと目線を向けた。
「大丈夫かな……」
遠目だが、暗いの森の中で灯る火がうっすらと見え、いまだに私達を探しているようだ。
「おいっ」
「わぁぁ!!?」
「……キサラなら大丈夫と言ったはずだ。あまり振り返っていると馬から落ちても知らんぞ。それより、ほらっ」
アドルフが下から手を伸ばし私に手渡そうとしてくる。
「あんまり良いものはここにないからな、……悪い」
手渡されたのは、初めて来た時と同じフランスパンの半切れだった。
「ありがとう……」
「食べたら行くぞ」
アドルフは馬の手綱を掴み寄り添っていた。
一方で私は渡されたパンを食べた後、声を出した。
「ねぇ、下ろして欲しい」
「あぁっ??なんでだ?」
「いいから」
アドルフは手綱を掴みつつも私に背を向けてきた。
「……なんで?」
「そこから飛び降りたら痛いだけだ、早くしろ」
「でも、アドルフ、怪我してるんじゃ」
戸惑い、拒否する私の事をチラリと見た後、ふぅ……と大きく息を吐いた。
「……お前が怪我する方が俺は辛い。早くしろ」
とすっと背に被さると、ゆっくり膝を曲げ地面へと下ろしていく。
「……ありがとう」
降りてすぐに私はアドルフに座るように要求した。
「何をする気だ?」
「怪我しているんでしょ。見せて」
「大した事ない」
「いいから!」
私はドレスの白い部分を破り、頬と口、そして手の甲を拭っていく。
「それ、大事じゃないのか?」
「別に、これはもう私には用済みの物だから……」
「……ニコラスか」
ズバリ当てられ、トクンと心臓が鳴った。
すると座っていたアドルフが急に立ち上がってきた。
「どうしたの?まだ手当ては……えっ」
アドルフは私を優しく包む様に抱いてきた。
「……フェリス、俺はお前を愛してる」
突然の告白だった……。
「……気になるか?」
「そりゃあ……一人で行ったんだよ?アドルフは気にならないの?」
「……あいつは大丈夫だ、俺より馬の扱いは上手いからな。それより少し走らすからちゃんと捕まっていろ」
アドルフは馬の腹を強めに蹴るとさっきよりも脚を早めていき、次第にあの施設が見えるくらいになってきた。
グゥゥゥゥ
「あっ」
「なんだ、腹が減っているのか。屋敷で食ったんじゃないのか?」
「いや、……あまり」
「そうか」
「ね、ねぇ」
「なんだ?」
「どうしてアドルフとニコラスは戦ってるの?」
「……そうか、お前は知らないんだな」
「う、うん」
「ニコラスはルーベルト家が治める領地にある資源を欲している。だからあいつは血眼になって攻めてくる。
一方で俺はお前らの方が実りがいいからな、だから戦ってる」
「……実りって、食糧って事?」
「あぁ、こっちは荒地だからな。あまり育たない。だからそっちの領地が欲しい訳だ」
「じゃあニコラスが欲しい資源って?」
「こっちには武器を作るための鉱物が沢山取れる、そのお陰で武器については困らない」
「……そっか」
走りつつ会話をしているともうすぐ施設へと辿り着こうとしていた。
すると、アドルフは手綱を絞り始め、馬のスピードをゆるめていった。
「どうして?」
「……腹が減っているんだろう、少しだけ取ってくる」
「い、いいよ、別に!減ってないし」
グゥゥゥ
「……ふっ、体は正直だ。待ってろ」
(馬鹿、……こんな時になるなんて)
施設に着くと、アドルフは馬を降り、中へと入っていった。
私は馬上で中へ入ったアドルフを見送ると、もう一度森の方へと目線を向けた。
「大丈夫かな……」
遠目だが、暗いの森の中で灯る火がうっすらと見え、いまだに私達を探しているようだ。
「おいっ」
「わぁぁ!!?」
「……キサラなら大丈夫と言ったはずだ。あまり振り返っていると馬から落ちても知らんぞ。それより、ほらっ」
アドルフが下から手を伸ばし私に手渡そうとしてくる。
「あんまり良いものはここにないからな、……悪い」
手渡されたのは、初めて来た時と同じフランスパンの半切れだった。
「ありがとう……」
「食べたら行くぞ」
アドルフは馬の手綱を掴み寄り添っていた。
一方で私は渡されたパンを食べた後、声を出した。
「ねぇ、下ろして欲しい」
「あぁっ??なんでだ?」
「いいから」
アドルフは手綱を掴みつつも私に背を向けてきた。
「……なんで?」
「そこから飛び降りたら痛いだけだ、早くしろ」
「でも、アドルフ、怪我してるんじゃ」
戸惑い、拒否する私の事をチラリと見た後、ふぅ……と大きく息を吐いた。
「……お前が怪我する方が俺は辛い。早くしろ」
とすっと背に被さると、ゆっくり膝を曲げ地面へと下ろしていく。
「……ありがとう」
降りてすぐに私はアドルフに座るように要求した。
「何をする気だ?」
「怪我しているんでしょ。見せて」
「大した事ない」
「いいから!」
私はドレスの白い部分を破り、頬と口、そして手の甲を拭っていく。
「それ、大事じゃないのか?」
「別に、これはもう私には用済みの物だから……」
「……ニコラスか」
ズバリ当てられ、トクンと心臓が鳴った。
すると座っていたアドルフが急に立ち上がってきた。
「どうしたの?まだ手当ては……えっ」
アドルフは私を優しく包む様に抱いてきた。
「……フェリス、俺はお前を愛してる」
突然の告白だった……。
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