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「なんだ、急に」
「どうして……なんで……どうやって……」
「質問ばかりだな。とりあえずまずはここを出ることを考えろ」
アドルフは私を抱き抱えると牢屋を出て階段を登っていく。
「おいっ、ここ壊されているぞ!」
「なんだって!?」
「ちっ、意外と早く集まってきやがったな」
階段の出口付近でアドルフは私を下ろし、廊下の様子を伺っていた。
「……ねぇ」
私はアドルフの左腕に付けられた甲冑に手を置き、軽く引っ張った。
「なんだ?いまはお前の相手をしてる場合じゃないぞ。まずここから出るのが先だと言ったはずだ」
「ち、違うの。……メリッサを」
「あぁっ??……そういや、侍従はどうした?」
私は少し俯き、捕まったと呟いた。
「捕まった?」
「騎士達に連れてかれて。……いま、酷い事されてる」
グズりながら話す私を見てアドルフは背に手を回し、自身の胸へと引き入れた。
「そうか、だが、悪い。いまは二人同時に助けるのは無理だ。まずはお前だけでも助ける」
「そんな……ほっとくの?メリッサを」
私は胸から一旦顔を出し、アドルフの顔を見上げた。
「……場所、分かるのか?」
「それは……」
「まだ近くにいるかもしれん!探せっ!!?」
廊下は慌ただしくなり、足音が次第に私達がいる階段へと迫ってくる。
「……フェリス、いいか。よく聞くんだ。侍従は一旦諦めてくれ。お前も捕まればもう手出し出来なくなる。
今がお前を助ける最初で最後のチャンスだ、……いいな?」
アドルフの真剣な目に私は頷くしかなかった。
(メリッサ……ごめん。でも、必ず来るから……)
隙をつき、アドルフは私を引き連れ、騎士達がやってくる前に階段から離れ廊下を駆けていった。
廊下を曲ると、一旦角で様子を伺う。
夜だと言っていたため、周りは静かで人が歩いている様子は無かった。
だが、騎士達の声はまだ聞こえ、いずれ誰かが出てきてここも見つかってしまう感じではあった。
「……」
アドルフは何かを考えているようで、半身を少しだけ出した後、私に声を掛けてきた。
「……フェリス、いいか、今からお前だけ逃げろ」
「えっ?」
「騎士がいる方に俺が囮で行く。その隙に反対側の廊下を駆けていき、その先の突き当たりの窓から出ろ。そうすれば石垣の辺りに馬を繋いであるからそれに乗って出ていけ」
「そんな……アドルフは?」
「俺も後で行く」
「……本当に?絶対?」
私はさっきよりも強く腕を掴み、離れる事を拒否し始めた。
「……なぁ、さっきも言ったろ。最初で最後だと。判断が鈍ったら捕まるぞ」
「でもっ!」
騎士達の声がさっきよりもこっちに来てるようで足音も多く聞こえてきた。
「それと、コレ持ってけ」
アドルフは甲冑の中に手を入れると、銀色の細い笛のようなものを渡してきた。
「もし、捕まりそうなら強く吹け。そしたらすぐ行くから。さぁ、早く!?」
アドルフに背を押され、そして自身は向かってくる騎士の方へと駆けていった。
駆けていく最中、アドルフは確認するように私の方を向いてきた。
(……わかった)
私も意を決し、反対側へと駆けていった。
「いたぞっ!?」
騎士の声が響き、アドルフと騎士達が交戦しているようだ。
「何処から来やがったコイツ!?」
激しい打撃音と壁にぶつかる音がいくつもしてくる。
その音に屋敷内の扉が少しずつ開き出してきた。
(マズイ……)
私は見つかる前にと駆けて行くが、空腹もあり、息切れがすぐに起こってきた。
はぁはぁ……と苦しいが、止まることは許されなかった。
そしてアドルフが言っていた突き当たりの窓へと辿り着き、ネジ巻き状の鍵をクルクルと急いで回していく。
(早く空いて!)
ガチャっと鍵を開けた時、廊下の扉が開き、使用人が私の事を発見した。
「キャアァァァ!?」
すぐに私は窓枠へと足を掛け、そして外へと出て行った。
「どうして……なんで……どうやって……」
「質問ばかりだな。とりあえずまずはここを出ることを考えろ」
アドルフは私を抱き抱えると牢屋を出て階段を登っていく。
「おいっ、ここ壊されているぞ!」
「なんだって!?」
「ちっ、意外と早く集まってきやがったな」
階段の出口付近でアドルフは私を下ろし、廊下の様子を伺っていた。
「……ねぇ」
私はアドルフの左腕に付けられた甲冑に手を置き、軽く引っ張った。
「なんだ?いまはお前の相手をしてる場合じゃないぞ。まずここから出るのが先だと言ったはずだ」
「ち、違うの。……メリッサを」
「あぁっ??……そういや、侍従はどうした?」
私は少し俯き、捕まったと呟いた。
「捕まった?」
「騎士達に連れてかれて。……いま、酷い事されてる」
グズりながら話す私を見てアドルフは背に手を回し、自身の胸へと引き入れた。
「そうか、だが、悪い。いまは二人同時に助けるのは無理だ。まずはお前だけでも助ける」
「そんな……ほっとくの?メリッサを」
私は胸から一旦顔を出し、アドルフの顔を見上げた。
「……場所、分かるのか?」
「それは……」
「まだ近くにいるかもしれん!探せっ!!?」
廊下は慌ただしくなり、足音が次第に私達がいる階段へと迫ってくる。
「……フェリス、いいか。よく聞くんだ。侍従は一旦諦めてくれ。お前も捕まればもう手出し出来なくなる。
今がお前を助ける最初で最後のチャンスだ、……いいな?」
アドルフの真剣な目に私は頷くしかなかった。
(メリッサ……ごめん。でも、必ず来るから……)
隙をつき、アドルフは私を引き連れ、騎士達がやってくる前に階段から離れ廊下を駆けていった。
廊下を曲ると、一旦角で様子を伺う。
夜だと言っていたため、周りは静かで人が歩いている様子は無かった。
だが、騎士達の声はまだ聞こえ、いずれ誰かが出てきてここも見つかってしまう感じではあった。
「……」
アドルフは何かを考えているようで、半身を少しだけ出した後、私に声を掛けてきた。
「……フェリス、いいか、今からお前だけ逃げろ」
「えっ?」
「騎士がいる方に俺が囮で行く。その隙に反対側の廊下を駆けていき、その先の突き当たりの窓から出ろ。そうすれば石垣の辺りに馬を繋いであるからそれに乗って出ていけ」
「そんな……アドルフは?」
「俺も後で行く」
「……本当に?絶対?」
私はさっきよりも強く腕を掴み、離れる事を拒否し始めた。
「……なぁ、さっきも言ったろ。最初で最後だと。判断が鈍ったら捕まるぞ」
「でもっ!」
騎士達の声がさっきよりもこっちに来てるようで足音も多く聞こえてきた。
「それと、コレ持ってけ」
アドルフは甲冑の中に手を入れると、銀色の細い笛のようなものを渡してきた。
「もし、捕まりそうなら強く吹け。そしたらすぐ行くから。さぁ、早く!?」
アドルフに背を押され、そして自身は向かってくる騎士の方へと駆けていった。
駆けていく最中、アドルフは確認するように私の方を向いてきた。
(……わかった)
私も意を決し、反対側へと駆けていった。
「いたぞっ!?」
騎士の声が響き、アドルフと騎士達が交戦しているようだ。
「何処から来やがったコイツ!?」
激しい打撃音と壁にぶつかる音がいくつもしてくる。
その音に屋敷内の扉が少しずつ開き出してきた。
(マズイ……)
私は見つかる前にと駆けて行くが、空腹もあり、息切れがすぐに起こってきた。
はぁはぁ……と苦しいが、止まることは許されなかった。
そしてアドルフが言っていた突き当たりの窓へと辿り着き、ネジ巻き状の鍵をクルクルと急いで回していく。
(早く空いて!)
ガチャっと鍵を開けた時、廊下の扉が開き、使用人が私の事を発見した。
「キャアァァァ!?」
すぐに私は窓枠へと足を掛け、そして外へと出て行った。
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