寝取られ辺境地へと追いやられましたが平気ですっ

mock

文字の大きさ
上 下
36 / 50

36

しおりを挟む
厳かな雰囲気で始まった式は淡々と進み、誓いの言葉、指輪の交換、キスを経て、晴れて二人は夫婦となり皆の前で盛大な拍手を受けていた。

途中、リスティアは何度も私の方を見てはニヤつき勝ち誇っているようで…。

(そんなに見せつけたいのね…)

式は終わり、ニコラスが集まった皆に向け声を発した。

「皆の者、今日は私とこのリスティアの為に集まり礼を言う。今宵は無礼講だ、心ゆくまで楽しんでいただきたい」

挨拶の後は周りは歓談の場となり、各々が楽しそうに振る舞っているが、一方で私は隅に隠れ、この祝宴が早く終わらないかと願っていた。

すると、リスティアがゆっくりと私の方へとやってきた。

「あらあら、そんな所でポツリと」
「リスティア……」
「お父様とお母様はニコラス様のご両親と歓談されているから暇なんでしょう?私が相手してあげる」
「……いいわ。結構よ」
「そんなふうに言っていいの?せっっかくこのブーケあげようかと思っていたのに」
「リスティア様、それは勿体無いですよ、だってあの冷酷な殺人者イレイザーの元に行った人の末路なんて……」
「あらぁ、そうだったわ、いずれそうなるなら勿体無いわね。助かったわ、メリー」
「いいえ、……それよりフェリス様、メリッサはどうしたんです?あの子の姿が見えないけど」
「……お手洗いよ」
「そう」
「メリー、メリッサにちょっかい出すのはやめて」
「分かりましたよ、そんな顔しなくても出しませんよ」

話し込んでいる所に今度はニコラスまでやってきた。

「リスティア」
「あっ、ニコラス様!」
「……フェリスなど相手にするな。時間の無駄だ」
「そうでしたね。申し訳ありません、つい!」

ニコラスに近づくと左手の薬指にはまった真新しいダイヤの指輪を見せつけてくる。

「本当はこれをはめるのがお姉様だったんですよね?でも、これはもう私の物。あはははっ!?」

高らかな声で笑い出し、惨めな私を強調するかのような態度を取るリスティアから私は逃げ出すようにこの場を去っていった。



貴賓の間を出た私は、すぐ近くの廊下の隅でへたり込み天井を眺め、薄らと涙を浮かべた。

「お嬢様??」

お手洗いから戻ったメリッサがすぐに気付き、近づくので私はすぐに目元を拭い、涙を見せないようにした。

「……何かあったんですね。言って下さい」

どうやらメリッサにはお見通しのようだ。

「……大丈夫、ちょっと酔っただけよ」
「いいえ、そんな訳ありません。私はずっとあなたの側にいるから分かる。……もういいですよね、お嬢様?
帰りましょう、ここにいても」

肩を抱き、立たせるメリッサは屋敷の外へと向かい始めていく。

「……お母様に一言」
「あとで手紙でも送りましょう。今は一刻も早くここを離れるのがいいです」

だが、屋敷の扉へと近づくとガチャガチャと音を鳴らし、甲冑に身を包んだ騎士達が何人も姿を見せ、行く手を遮ってきた。

「な、なんですか?あなた達??」

「フェリス=ハーベスト様と侍従のメリッサ様ですね」
「そ、それが何か?」
「おいっ」

中央にいる騎士が周りの騎士へと指示を飛ばすと私達を囲み出してきた。

「何をする気ですか!?」
「ニコラス様の命令であなた達を拘束します。抵抗すれば手荒な真似をしても構わないと言われていますので、大人しくしてもらえますか?」
「なぜニコラスが私達を!?もう私とニコラスは何も関係ないはず!?」

声を上げる私が気に入らなかったのか、隣にいるメリッサを引き剥がし、床へと押さえつけた。

「ちょ、ちょっと!?……メリッサ、大丈夫?離しなさい!?」

「大人しくしてもらいたい。さもなくばその者の腕は一本、使い物にならなくなりますよ」

騎士が目を送ると、メリッサの右腕を締め上げ始めた。

「ああぁあぁっ!?」

「やめなさい!?……わかったからメリッサから手を離して」

私は両手を上げ抵抗の意志は無いと示す。

「おいっ」
「はっ」

メリッサの腕を締め上げるのを止めると、私にも近づき、縛り上げていくと私達は何処かへと連れて行かれた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~

しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。 とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。 「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」 だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。 追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は? すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。 小説家になろう、他サイトでも掲載しています。 麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。 キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。 その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。 ※ざまあの回には★がついています。

処理中です...