20 / 50
20
しおりを挟む
「お嬢様っ!……良かった、本当に良かった」
メリッサはすぐに私に抱きつき安堵の声を何度も挙げていた。
「……メリッサ」
「本当に何もされていないですよね??」
抱きついた体を離すと両肩に手を置き、右、左へと異常がないかを確認してくる。
「大丈夫だって、何もされてない」
「……本当に?」
「本当に」
「はぁ~……良かった」
二人の光景をキサラさんは目を細め、まるで父親のような雰囲気を醸し見ていた。
「ここは?」
キサラさんに連れてきてもらった部屋。
そこは一階右側の角部屋に当たる場所で、十畳程の大きさにはシングルベットが二つ横並びにあり、その上には白い毛布が置かれ、ベットの間には小さな丸いテーブルが一つ。
ベットの足元側にはダークブラウン色のテーブルと椅子があった。
「ここは客室ではあるんですが、必要最低限の物しかないです。こんな部屋ですみません。本宅に行くまではここで我慢してもらえますか?」
「いえ、十分です」
キサラさんは少し黙ると私の容姿と格好を見ているようだ。
「あの……」
「いえ、すみません。雨が止めば本宅へと移動します。今日はゆっくりしてください」
「はい、ありがとうございます」
パタンと扉を閉められたが、私は少しモヤッとした。
(キサラさんはなんで私を見たんだろう…?)
その後、雨は降り続け、日が暮れる頃にはキサラさんが食事を持ってきてくれ一日が過ぎていった。
ーーーーーーーーー
翌日、私はメリッサよりも先に目を覚ました。
それは多分アドルフの存在が気になったのもあるが、キサラさんの件も絡んでいたからだと思う。
「っん……。お嬢様?」
「あっ、ごめん。起こしちゃった?」
ベットから椅子へと移動していた私を目ぼけつつも不思議そうな顔で見てくる。
「早いですね」
「えぇ……ちょっと……」
「ちょっと??……まさか!?」
がばっとメリッサは包まれていた毛布を払いのけ起きてくるとすぐに近寄ってきた。
「アドルフ様がきたんですか!?」
「……そんなふうに起きたら見えちゃうよ」
お互い真っ白なネグリジュ姿であり、今の行動はいささか…。
「そんなこといいです!?来たんですか!?」
両肩を持ち揺らすメリッサ。
私は首をガクンガクンとさせられながら首を振るが、揺らされている行動の方が強くて否定してるようには見せれなかった。
「すやすや寝てる場合じゃなかった……」
「だから、違うって」
私はメリッサが掴む手に添えるとゆっくりと落としていった。
「来てないから。それにここには鍵もついてるでしょ?」
私は扉を指差すとシルバーの鍵が横向きにロックされ扉が開かないようにされていた。
「昨日閉めたのはメリッサよ。だから大丈夫」
「……あっ」
ようやく安心したようで、メリッサも椅子へすとんと座った。
「これからはずっと側にいますから!もし、二人きりになっても私、監視しますから!?」
「ありがとう、メリッサ」
何もなくホッとした雰囲気の中で扉をノックされた。
「キサラです。朝食を」
「あっ、はい。すぐに開けます」
メリッサは慌てた様子でロックされた鍵を解除すると木のお盆を持ったキサラさんが目の前にいた。
「どうですか?休めましたか?」
「え、えぇ」
「雨も上がりそうですので食べたら本宅の方へ移動しますから準備だけお願いしますね。また来ます」
「はい」
メリッサにお盆を渡すと去って行った。
メリッサはすぐに私に抱きつき安堵の声を何度も挙げていた。
「……メリッサ」
「本当に何もされていないですよね??」
抱きついた体を離すと両肩に手を置き、右、左へと異常がないかを確認してくる。
「大丈夫だって、何もされてない」
「……本当に?」
「本当に」
「はぁ~……良かった」
二人の光景をキサラさんは目を細め、まるで父親のような雰囲気を醸し見ていた。
「ここは?」
キサラさんに連れてきてもらった部屋。
そこは一階右側の角部屋に当たる場所で、十畳程の大きさにはシングルベットが二つ横並びにあり、その上には白い毛布が置かれ、ベットの間には小さな丸いテーブルが一つ。
ベットの足元側にはダークブラウン色のテーブルと椅子があった。
「ここは客室ではあるんですが、必要最低限の物しかないです。こんな部屋ですみません。本宅に行くまではここで我慢してもらえますか?」
「いえ、十分です」
キサラさんは少し黙ると私の容姿と格好を見ているようだ。
「あの……」
「いえ、すみません。雨が止めば本宅へと移動します。今日はゆっくりしてください」
「はい、ありがとうございます」
パタンと扉を閉められたが、私は少しモヤッとした。
(キサラさんはなんで私を見たんだろう…?)
その後、雨は降り続け、日が暮れる頃にはキサラさんが食事を持ってきてくれ一日が過ぎていった。
ーーーーーーーーー
翌日、私はメリッサよりも先に目を覚ました。
それは多分アドルフの存在が気になったのもあるが、キサラさんの件も絡んでいたからだと思う。
「っん……。お嬢様?」
「あっ、ごめん。起こしちゃった?」
ベットから椅子へと移動していた私を目ぼけつつも不思議そうな顔で見てくる。
「早いですね」
「えぇ……ちょっと……」
「ちょっと??……まさか!?」
がばっとメリッサは包まれていた毛布を払いのけ起きてくるとすぐに近寄ってきた。
「アドルフ様がきたんですか!?」
「……そんなふうに起きたら見えちゃうよ」
お互い真っ白なネグリジュ姿であり、今の行動はいささか…。
「そんなこといいです!?来たんですか!?」
両肩を持ち揺らすメリッサ。
私は首をガクンガクンとさせられながら首を振るが、揺らされている行動の方が強くて否定してるようには見せれなかった。
「すやすや寝てる場合じゃなかった……」
「だから、違うって」
私はメリッサが掴む手に添えるとゆっくりと落としていった。
「来てないから。それにここには鍵もついてるでしょ?」
私は扉を指差すとシルバーの鍵が横向きにロックされ扉が開かないようにされていた。
「昨日閉めたのはメリッサよ。だから大丈夫」
「……あっ」
ようやく安心したようで、メリッサも椅子へすとんと座った。
「これからはずっと側にいますから!もし、二人きりになっても私、監視しますから!?」
「ありがとう、メリッサ」
何もなくホッとした雰囲気の中で扉をノックされた。
「キサラです。朝食を」
「あっ、はい。すぐに開けます」
メリッサは慌てた様子でロックされた鍵を解除すると木のお盆を持ったキサラさんが目の前にいた。
「どうですか?休めましたか?」
「え、えぇ」
「雨も上がりそうですので食べたら本宅の方へ移動しますから準備だけお願いしますね。また来ます」
「はい」
メリッサにお盆を渡すと去って行った。
193
お気に入りに追加
666
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる