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「同じ兄弟でもこうも違うんですね」
「えぇ、そうね……」
(私もリスティアとは……)
一瞬考えたが、すぐに考えていたことを振り払うため頭を振った。
「お嬢様?」
「いや、大丈夫。行こう」
先を行くキサラさんへと私達は後を追った。
「ちょっとお待ちを」
一旦キサラさんは私達の鞄を下へと置くが、よく見るとそこは地面ではなく自身が履く黒い革靴の上であり、汚れるのを防いでいるのだろう。
(あの人だったらそんな気遣いしない。いや、持つ事すら否定するくらいだから。……本当に兄弟?)
目の前にある白い両開きの扉をノックすると、ゆっくり開いていき、屋敷の中へ招く男性が現れた。
「あぁ。そうそう、ここでは男性しかいませんので」
「そうなんですか?」
「えぇ。まぁ、アドルフがあんなんだから女性はなかなか……」
言われて納得した。
あんな物言いの人に仕えるのは無理そうだ…。
招く男性もキサラさんと同じスーツを見に纏い、それがここでは普通の事なのだろう。
「先にどうぞ」
キサラさんは左手を伸ばし、自身は良いので中へ…と誘う。
踏み入れたルーべルト家の屋敷。
外に比べてひんやりとしており、目の前に現れたのは両方から上がる事が出来る緩いカーブ状の階段があり、それが二階から三階へと上がる際もある。
屋敷の内部は横に広いみたいで、右、左を見ても真っ直ぐ伸びた廊下。
床はやはり煉瓦のようで、長年踏まれた事でボロボロで、凸凹している。
それよりも気になったのは入ってすぐにある、今にも動き出しそうなくらい躍動感がある馬の銅像だ。
「あの、なんでここに?」
「あぁ、それはアドルフが……」
「おいっ。いちいち話さんでいい。お前もそんなこと気にするな。フェリス=ハーベスト」
先に屋敷へと戻っていたアドルフが扉の近くの壁に寄り添っていたが、私は気づかなった。
「……あの、さっきから私の事、フルネームで呼ぶのはやめてもらえませんか?」
「なぜだ?」
「なぜって……毎回呼ばれるのは気分いいものじゃないです」
「はっ!?細かい奴だ」
「……細かくて悪かったですね」
「まぁまぁ、……じゃあ二人を部屋に案内するってことでいいよね?」
「いや、待て。……お前はこっちだ。フェリス=ハーベスト」
(結局、フルネームなのね…)
アドルフは顎だけを上にクイっと向け、メリッサと別れさそうとしてきた。
「……あの、私はフェリス様の侍従です。行くなら私も同じ所に」
「ダメだ。お前はいらん」
「そんな言い方……」
「とにかく、そいつは任せた。キサラ」
寄り添った体を動かし右手の階段へと向かい、その一段目に足をかけた所で私の事を見てきた。
(早く来いって事ね)
「お嬢様、……何かあったら声を」
「えぇ」
私は不安を覚えつつもアドルフの後を追った。
白い煉瓦の階段は私が履く白いヒールと同化し、うっかり踏み外してしまわないようにと下を見て登っていた。
「とろい、早く昇れ」
顔を上げるとアドルフはもうすでに二階から三階へと登る階段の手前まで行っており、イラついた表情で私のことを待っていた。
「そんな焦らなくても」
「あぁっ?俺に意見でも?」
「……私、招かれているんですよね?もしそうなら少し配慮があっても」
「配慮?お前にか?」
「……」
私の物言いがさらに苛立たせたのだろう。
もう待つ事などせず、さっさと上へと登っていってしまった。
(……なんなの、本当に)
だが、居なくなったことで焦る心配もなくなった私はゆっくりと三階へと登って行った。
「えぇ、そうね……」
(私もリスティアとは……)
一瞬考えたが、すぐに考えていたことを振り払うため頭を振った。
「お嬢様?」
「いや、大丈夫。行こう」
先を行くキサラさんへと私達は後を追った。
「ちょっとお待ちを」
一旦キサラさんは私達の鞄を下へと置くが、よく見るとそこは地面ではなく自身が履く黒い革靴の上であり、汚れるのを防いでいるのだろう。
(あの人だったらそんな気遣いしない。いや、持つ事すら否定するくらいだから。……本当に兄弟?)
目の前にある白い両開きの扉をノックすると、ゆっくり開いていき、屋敷の中へ招く男性が現れた。
「あぁ。そうそう、ここでは男性しかいませんので」
「そうなんですか?」
「えぇ。まぁ、アドルフがあんなんだから女性はなかなか……」
言われて納得した。
あんな物言いの人に仕えるのは無理そうだ…。
招く男性もキサラさんと同じスーツを見に纏い、それがここでは普通の事なのだろう。
「先にどうぞ」
キサラさんは左手を伸ばし、自身は良いので中へ…と誘う。
踏み入れたルーべルト家の屋敷。
外に比べてひんやりとしており、目の前に現れたのは両方から上がる事が出来る緩いカーブ状の階段があり、それが二階から三階へと上がる際もある。
屋敷の内部は横に広いみたいで、右、左を見ても真っ直ぐ伸びた廊下。
床はやはり煉瓦のようで、長年踏まれた事でボロボロで、凸凹している。
それよりも気になったのは入ってすぐにある、今にも動き出しそうなくらい躍動感がある馬の銅像だ。
「あの、なんでここに?」
「あぁ、それはアドルフが……」
「おいっ。いちいち話さんでいい。お前もそんなこと気にするな。フェリス=ハーベスト」
先に屋敷へと戻っていたアドルフが扉の近くの壁に寄り添っていたが、私は気づかなった。
「……あの、さっきから私の事、フルネームで呼ぶのはやめてもらえませんか?」
「なぜだ?」
「なぜって……毎回呼ばれるのは気分いいものじゃないです」
「はっ!?細かい奴だ」
「……細かくて悪かったですね」
「まぁまぁ、……じゃあ二人を部屋に案内するってことでいいよね?」
「いや、待て。……お前はこっちだ。フェリス=ハーベスト」
(結局、フルネームなのね…)
アドルフは顎だけを上にクイっと向け、メリッサと別れさそうとしてきた。
「……あの、私はフェリス様の侍従です。行くなら私も同じ所に」
「ダメだ。お前はいらん」
「そんな言い方……」
「とにかく、そいつは任せた。キサラ」
寄り添った体を動かし右手の階段へと向かい、その一段目に足をかけた所で私の事を見てきた。
(早く来いって事ね)
「お嬢様、……何かあったら声を」
「えぇ」
私は不安を覚えつつもアドルフの後を追った。
白い煉瓦の階段は私が履く白いヒールと同化し、うっかり踏み外してしまわないようにと下を見て登っていた。
「とろい、早く昇れ」
顔を上げるとアドルフはもうすでに二階から三階へと登る階段の手前まで行っており、イラついた表情で私のことを待っていた。
「そんな焦らなくても」
「あぁっ?俺に意見でも?」
「……私、招かれているんですよね?もしそうなら少し配慮があっても」
「配慮?お前にか?」
「……」
私の物言いがさらに苛立たせたのだろう。
もう待つ事などせず、さっさと上へと登っていってしまった。
(……なんなの、本当に)
だが、居なくなったことで焦る心配もなくなった私はゆっくりと三階へと登って行った。
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