13 / 50
13
しおりを挟む
「ニコラス……」
「ずっと我慢していたのになぁ、もう限界だ」
ニコラスは胸元に手を入れると何かを探っているようだ。
(まさか……刃物?)
「メリッサ、早くこっちに!」
私の声に反応したメリッサは振り返り、こちらへと来ようとしたが、いち早くニコラスが腕を掴み首元へ短剣を突きつけていた。
刃渡が短い短剣だが、ピッタリと首にくっつけており、そこから赤い血が短剣を伝り細くツーっと下へと流れていく。
「メリッサ!?」
「お、お嬢様……」
「ニコラス、やめてっ!?」
「メリッサがいなければ君の支えは無くなる。アドルフの所に行き、噂通りの結末を迎えてもらおうか」
(……自殺しろ、と)
「アドルフの元には行く、それでいいでしょ?でも私は死なない。絶対に」
「ほぉぉ、でもそれはメリッサがいた場合だろ」
さらに首元に短剣を押し込み始めようとしていく。
「やめてって言ってるでしょ!?」
私達の言い争いが起こってる中、部屋へと入ってくる人物がいた。
「……こんな風になっていたなんてね」
声の主はリスティアだった。
「やぁ、リスティア」
「ニコラス様、そんな事しなくてもいいですよ。
どうせお姉様はあっちにいって惨めな最後を迎えるだけですから」
「……なにしにきたの?リスティア」
ちらりと私の事を見ては近づいてくる。
「お話しがあるんですよ」
「話し?」
「えぇ、でも私じゃなくて両親ですけどね。……言いたい事分かりますよね?婚約破棄して私がニコラス様と婚約し直す。
それをちゃんと両親に認めてもらわないと」
「……私は納得してる」
「そうですか、でも今は二人が待ってます。部屋に来てもらますか?」
「ふっ、確かにそっちが先かもしれないな」
ニコラスは首元から短剣を離すとメリッサの背を強く押し出し転ばせた。
「メリッサ!……大丈夫?」
「え、えぇ」
「リスティア、行こうか」
「えぇ!……あっ、でもその前に」
「んっ?」
リスティアは近寄ってきたニコラスに寄り添うと私達の前で熱いキスを見せつけてきた。
お互いに目を閉じ、二人だけの世界で繰り広げられるキス。
だけど、その最中、リスティアが目を開け、私と目が合った。
(……ざまあみろって事)
「……はぁっ。ニコラス様、とてもお上手です」
「君とするとその気になってしまうな。誰かさんとは違い」
キスを終えたニコラスが私の事をフッと笑いながら見てくる。
ーーーーーーー
「お待たせして申し訳ない」
両親が待つ朝食会場の場所に現れたニコラスの隣にはリスティアが右腕に絡みつくようにくっついて歩き、私達はその後ろをゆっくりと入っていった。
「こちらこそ足を運んでもらって申し訳ない」
「いや。……さっそくですが、話を進めさせてもらっても良いですか?」
「フェリスの破棄とリスティアの婚約、……それで間違いないと?」
「えぇ、見ての通りリスティアの事を愛している。……フェリスは」
扉のすぐ側でメリッサと立つ私に対し、チラッと見るとふぅ…と息をひとつ吐き首を振ってきた。
「残念ですが、私には合わない」
「そうでしたか、……申し訳ない」
父はテーブルの天板にくっつきそうなくらい頭を下げ謝っていく。
「なら、リスティアとの婚約認めてもらえますか?」
「えぇ、それはもちろん」
家のため、父は異論など唱える事なく私とリスティアの交代を承認し、あっさりと私は独り身となった。
「ずっと我慢していたのになぁ、もう限界だ」
ニコラスは胸元に手を入れると何かを探っているようだ。
(まさか……刃物?)
「メリッサ、早くこっちに!」
私の声に反応したメリッサは振り返り、こちらへと来ようとしたが、いち早くニコラスが腕を掴み首元へ短剣を突きつけていた。
刃渡が短い短剣だが、ピッタリと首にくっつけており、そこから赤い血が短剣を伝り細くツーっと下へと流れていく。
「メリッサ!?」
「お、お嬢様……」
「ニコラス、やめてっ!?」
「メリッサがいなければ君の支えは無くなる。アドルフの所に行き、噂通りの結末を迎えてもらおうか」
(……自殺しろ、と)
「アドルフの元には行く、それでいいでしょ?でも私は死なない。絶対に」
「ほぉぉ、でもそれはメリッサがいた場合だろ」
さらに首元に短剣を押し込み始めようとしていく。
「やめてって言ってるでしょ!?」
私達の言い争いが起こってる中、部屋へと入ってくる人物がいた。
「……こんな風になっていたなんてね」
声の主はリスティアだった。
「やぁ、リスティア」
「ニコラス様、そんな事しなくてもいいですよ。
どうせお姉様はあっちにいって惨めな最後を迎えるだけですから」
「……なにしにきたの?リスティア」
ちらりと私の事を見ては近づいてくる。
「お話しがあるんですよ」
「話し?」
「えぇ、でも私じゃなくて両親ですけどね。……言いたい事分かりますよね?婚約破棄して私がニコラス様と婚約し直す。
それをちゃんと両親に認めてもらわないと」
「……私は納得してる」
「そうですか、でも今は二人が待ってます。部屋に来てもらますか?」
「ふっ、確かにそっちが先かもしれないな」
ニコラスは首元から短剣を離すとメリッサの背を強く押し出し転ばせた。
「メリッサ!……大丈夫?」
「え、えぇ」
「リスティア、行こうか」
「えぇ!……あっ、でもその前に」
「んっ?」
リスティアは近寄ってきたニコラスに寄り添うと私達の前で熱いキスを見せつけてきた。
お互いに目を閉じ、二人だけの世界で繰り広げられるキス。
だけど、その最中、リスティアが目を開け、私と目が合った。
(……ざまあみろって事)
「……はぁっ。ニコラス様、とてもお上手です」
「君とするとその気になってしまうな。誰かさんとは違い」
キスを終えたニコラスが私の事をフッと笑いながら見てくる。
ーーーーーーー
「お待たせして申し訳ない」
両親が待つ朝食会場の場所に現れたニコラスの隣にはリスティアが右腕に絡みつくようにくっついて歩き、私達はその後ろをゆっくりと入っていった。
「こちらこそ足を運んでもらって申し訳ない」
「いや。……さっそくですが、話を進めさせてもらっても良いですか?」
「フェリスの破棄とリスティアの婚約、……それで間違いないと?」
「えぇ、見ての通りリスティアの事を愛している。……フェリスは」
扉のすぐ側でメリッサと立つ私に対し、チラッと見るとふぅ…と息をひとつ吐き首を振ってきた。
「残念ですが、私には合わない」
「そうでしたか、……申し訳ない」
父はテーブルの天板にくっつきそうなくらい頭を下げ謝っていく。
「なら、リスティアとの婚約認めてもらえますか?」
「えぇ、それはもちろん」
家のため、父は異論など唱える事なく私とリスティアの交代を承認し、あっさりと私は独り身となった。
196
お気に入りに追加
666
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる