寝取られ辺境地へと追いやられましたが平気ですっ

mock

文字の大きさ
上 下
12 / 50

12

しおりを挟む
「どうしたんだい、そんな大声をあげて。今までだって触れてきただろう??」

払い除けられ、手をバンザイの格好で私と対峙する。

「……ニコラス、私にいうべき事あるんじゃない?」
「いう事?……特にはないけど」

(どこまで白々しいの…。妹に手を出し、父には手紙まで送っているのに。私が何も知らないと思ってるのね)

「なに?僕はないけど、君はあるのかい?」
「えぇ、あるわ」
「へぇ、なにかな。教えてくれる?」
「……メリッサが来たら話すわ」
「なんでメリッサが必要なの?大事な話なら二人きりで話すべきだと思うけど?」
「いいえ、二人きりだとあなたが何をするか分からないから。だからメリッサが来るまで待って欲しい」
「ふぅ~ん」

私の心は早くメリッサが来ないかとソワソワしていた。
でも目の前にいるニコラスからは不穏な空気を感じ、気持ちは扉にあるが、目線だけはニコラスから外さないようにしていた。

「ねぇ、フェリス」
「な、なに?」
「こっちおいでよ」

ニコラスは私から離れ、ベットへと移動していった。

「なんで、そこに?」
「そんな風に睨む感じでは話しづらいし、いつもみたいに隣に座ってもらいたいなぁ」
「……いやよ」
「いや?何故?……婚約者だよね。そんな物言いでいいのかな、家柄を忘れたわけではないよね?」
「家柄とか……そんな事はもう、私には」
「ほぉ~。言うようになったね、君も。昔は僕を見る目は羨望の眼差しだったのに、今の君はしかない」



「遅くなりましたっ」

(メリッサ、良かった……)

部屋に入るなり不穏な雰囲気を感じ、メリッサはすぐに私へと目を向けてきた。

「ありがとう、メリッサ。ここに置いてくれる?」
「えぇ」

ゆっくり私の元へと近づくメリッサにニコラスが声をかけてくる。

「メリッサ、今日は何を持ってきたの?」
「えっと、レモンティーです」
「あぁ~……僕、嫌いなんだよね、それ。前言ったような気がするんだけどなぁ~」
「いや、そんな事は初めて聞きました……」
「侍従って相手の嫌いな物を持ってくるわけ?」
「その……」
「やめてっ。メリッサは悪くないでしょ。それにあなたがレモンティー嫌いなんて私も知らない。
というよりいつも飲んでいたじゃない!」

「はぁ~あ、……やっぱり君を選んだことが間違いだったよ。君に魅力を感じないし、もう少し『男』っていうのを理解するべきだね」
「……そうね、あなたはリスティアに手を出すくらいだし。私に魅力がないから迫ってきてもすぐ手を止める。言葉ではなんとでも言えるけど体は正直ね」
「あぁ、リスティアと寝たさ。……なんだ。あの日、君は目を覚ましたんだ」
「えぇ、全て聞いたわ!私を辺境地に送ることもね」
「そうか、そうか。聞いたんだ。じゃあ納得してるってわけね」
「えぇ、あなたと一緒にならない。なりたくもない!」
「つくづく女って怖いね~。心が決まったら強く出てくるんだから。でもさぁ、フェリス、一個忘れているよ」
「なによ……?」

ニコラスはベットから再び私が座る方へと向かってきた。

(何かする気だ…)

私はすぐに椅子から立ち、距離を取った。

「お嬢様」

メリッサも察してくれたようですぐに私とニコラスの間に体を入れてくれた。

「メリッサ、邪魔だよ。退いてもらえる?」
「……いえ、私は退きません」
「侍従だよね?」
「はい……」
「侍従がアーデルハイト家に楯突くなんて聞いた事ない。たった一言で君を路頭に迷わすことも可能なんだよ?どうする?それが望みならすぐにでもしてあげようか?……あぁっ!?」

ニコラスの怒号が響き、私達は体をビクつかせ口を閉じた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~

しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。 とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。 「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」 だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。 追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は? すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。 小説家になろう、他サイトでも掲載しています。 麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

処理中です...