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「ち、違います。私は!?」
(なに見てるの、私。メリッサはいつも一緒にいてくれる。それに私の一番の味方なのに、それを……)
目を外し、少し自分も首を振り悔い改めるとリスティアの方を向いた。
「メリッサは絶対に違う!これだけは言える。
この子は私の味方。薬を盛るなんて真似するはずない」
「へぇ~凄いですね。そこまで信用してるなんて。でも私の体はいまだになんともないですよ?こんな不毛な言い合い、無駄じゃないですか??」
「絶対あなたしかいない!それに……」
(……言え、言ってしまえ!?)
「あなた、昨日、私のベットでニコラス様と……や、ヤッたわよね」
「ヤッた?なにをです?」
「だから!……その、あれよ、あれ」
「あれって、なんですか?」
「わかってるでしょ!」
「もういい!?」
言い争う声を止める大声。
父だ。
「ヤッただの、盛っただの、証拠がない以上フェリスの言うことを信用は出来ん。……そんな風に育てたつもりはなかったのだがな」
顔を右に向け、また大きなため息を吐くと、ステッキを突き立ちあがろうとしていた。
「あの、どこに?」
「もうこんな話し合いの場にいても意味がない。やる事があるから失礼するだけだ」
「待って下さい!?もう少ししたら眠くなるに決まってる!?」
私はすぐにリスティアの方を向くと、丁度あくびをしだしていた。
「ほらっ!?」
「へっ?……あぁ、これは食べたら眠くなっただけです。それに今二人の会話だから聞いていたらつまらなくて」
「そんな言い訳通用すると思うの!?それにまだ食べてすぐ……」
カンッ
座る椅子に軽い衝撃を感じた。
見ると、椅子の脚にステッキが当たっており、気付くと父がすぐ目の前に迫っていた。
「フェリス、お前、後で話がある。いまは部屋に戻れ。……リスティア、お前ももう突っかかるな」
「私だけですか?あの子は?」
「……今回の騒動の発端はおまえだろう?それにお前だけに話すことがあるからリスティアはいなくてもかまわん」
「内緒の話ですか?ちょっと興味が湧くんですけど」
「リスティア」
顔を向けずに名だけ呼ぶ父の目線は扉へと向けられていた。
その雰囲気を察したのかリスティアは『はぁ~い』と言いながら席を立ち部屋を出ていった。
「お前も出ろ」
「……はい」
こうしてリスティアの悪事を暴露しようとした私の作戦は終わり、かえって自身に疑惑が残る結果となってしまった。
ーーーーーー
「おかしいですよ!絶対」
メリッサが項垂れ椅子に座る私を励まそうとしてくれる。
「はぁ……なんで……」
私は何も置かれていないテーブルを見た後、ベットの方へと目線を向けた。
(そこで、二人が。……あれ?)
私はベットに違和感を覚えた。
「ねぇ、メリッサ。あなた、ベットメイキングした?」
「えっ?……いえ、今日は慌ただしかったから。すみません、今からすぐに!」
「いやっ、待って」
慌てた様子で近づくメリッサを止め、その場から動かないように指示した。
「あの、どうしたんですか?」
(違う、メリッサはこんな風にセットはしない。普段はシワを残さないようにピンとシーツを貼り、枕も真ん中に設置するはず。それにあの羽毛の毛布は真ん中で折り畳んだ状態なのに……)
疑念を感じた私はゆっくり立ち上がるとベットに近寄り折り畳められていない毛布を掴み、バッと剥いだ。
「お嬢様っ??」
「やられた……」
「えっ。なにがですか?」
「リスティア……あの子、どこまで……」
「あの、何を言ってるのかさっぱり……」
「メリッサ、私が頼んだカップを片付ける時、誰かに見られてなかった?」
「いえ、そんな事は」
「カップをあのボックスに入れるところを見られたって事は??」
「えっ。……いや、誰も入ってこなかったですし」
「扉は?ちゃんと閉めた??」
「……いえ、お盆があるので開けっぱなしでした。あの、どうしたんですか?」
「……シーツが変わってる」
「えぇっ!?」
「シーツはどこも一緒のを使ってるから一見変わらないけど、昨日ニコラス様とあの子、ここで寝た。
だとしたら、あるはずでしょ……少しは髪や、体液が……」
「あっ」
「でもそんな形跡はない。……レスティアがメリーに言ったのね。だから朝、姿がなかったんだ」
「でも、それは奥様の相手を……」
「いいえ、あの部屋には居なかった。私達が出る際もいなかったでしょ?」
「……そういえば」
「なんてしたたかなの、あの子……」
証拠となるものは先回りされ、そしてそれを知った時、リスティアの策略にゾクっとした。
(なに見てるの、私。メリッサはいつも一緒にいてくれる。それに私の一番の味方なのに、それを……)
目を外し、少し自分も首を振り悔い改めるとリスティアの方を向いた。
「メリッサは絶対に違う!これだけは言える。
この子は私の味方。薬を盛るなんて真似するはずない」
「へぇ~凄いですね。そこまで信用してるなんて。でも私の体はいまだになんともないですよ?こんな不毛な言い合い、無駄じゃないですか??」
「絶対あなたしかいない!それに……」
(……言え、言ってしまえ!?)
「あなた、昨日、私のベットでニコラス様と……や、ヤッたわよね」
「ヤッた?なにをです?」
「だから!……その、あれよ、あれ」
「あれって、なんですか?」
「わかってるでしょ!」
「もういい!?」
言い争う声を止める大声。
父だ。
「ヤッただの、盛っただの、証拠がない以上フェリスの言うことを信用は出来ん。……そんな風に育てたつもりはなかったのだがな」
顔を右に向け、また大きなため息を吐くと、ステッキを突き立ちあがろうとしていた。
「あの、どこに?」
「もうこんな話し合いの場にいても意味がない。やる事があるから失礼するだけだ」
「待って下さい!?もう少ししたら眠くなるに決まってる!?」
私はすぐにリスティアの方を向くと、丁度あくびをしだしていた。
「ほらっ!?」
「へっ?……あぁ、これは食べたら眠くなっただけです。それに今二人の会話だから聞いていたらつまらなくて」
「そんな言い訳通用すると思うの!?それにまだ食べてすぐ……」
カンッ
座る椅子に軽い衝撃を感じた。
見ると、椅子の脚にステッキが当たっており、気付くと父がすぐ目の前に迫っていた。
「フェリス、お前、後で話がある。いまは部屋に戻れ。……リスティア、お前ももう突っかかるな」
「私だけですか?あの子は?」
「……今回の騒動の発端はおまえだろう?それにお前だけに話すことがあるからリスティアはいなくてもかまわん」
「内緒の話ですか?ちょっと興味が湧くんですけど」
「リスティア」
顔を向けずに名だけ呼ぶ父の目線は扉へと向けられていた。
その雰囲気を察したのかリスティアは『はぁ~い』と言いながら席を立ち部屋を出ていった。
「お前も出ろ」
「……はい」
こうしてリスティアの悪事を暴露しようとした私の作戦は終わり、かえって自身に疑惑が残る結果となってしまった。
ーーーーーー
「おかしいですよ!絶対」
メリッサが項垂れ椅子に座る私を励まそうとしてくれる。
「はぁ……なんで……」
私は何も置かれていないテーブルを見た後、ベットの方へと目線を向けた。
(そこで、二人が。……あれ?)
私はベットに違和感を覚えた。
「ねぇ、メリッサ。あなた、ベットメイキングした?」
「えっ?……いえ、今日は慌ただしかったから。すみません、今からすぐに!」
「いやっ、待って」
慌てた様子で近づくメリッサを止め、その場から動かないように指示した。
「あの、どうしたんですか?」
(違う、メリッサはこんな風にセットはしない。普段はシワを残さないようにピンとシーツを貼り、枕も真ん中に設置するはず。それにあの羽毛の毛布は真ん中で折り畳んだ状態なのに……)
疑念を感じた私はゆっくり立ち上がるとベットに近寄り折り畳められていない毛布を掴み、バッと剥いだ。
「お嬢様っ??」
「やられた……」
「えっ。なにがですか?」
「リスティア……あの子、どこまで……」
「あの、何を言ってるのかさっぱり……」
「メリッサ、私が頼んだカップを片付ける時、誰かに見られてなかった?」
「いえ、そんな事は」
「カップをあのボックスに入れるところを見られたって事は??」
「えっ。……いや、誰も入ってこなかったですし」
「扉は?ちゃんと閉めた??」
「……いえ、お盆があるので開けっぱなしでした。あの、どうしたんですか?」
「……シーツが変わってる」
「えぇっ!?」
「シーツはどこも一緒のを使ってるから一見変わらないけど、昨日ニコラス様とあの子、ここで寝た。
だとしたら、あるはずでしょ……少しは髪や、体液が……」
「あっ」
「でもそんな形跡はない。……レスティアがメリーに言ったのね。だから朝、姿がなかったんだ」
「でも、それは奥様の相手を……」
「いいえ、あの部屋には居なかった。私達が出る際もいなかったでしょ?」
「……そういえば」
「なんてしたたかなの、あの子……」
証拠となるものは先回りされ、そしてそれを知った時、リスティアの策略にゾクっとした。
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