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「あぁ~…ニコラス様」
「愛してる、レスティア。……やっぱり間違っていたみたいだ。こんな風に情熱的な反応を見せ、私を興奮させる体型。どれを取ってもフェリスなんかとは大違いだ。
君みたいな人が私の妃にふさわしい」
「嬉しいですわ。……もっと、もっと愛して」
「あぁ、もちろん」
「あぁぁっっ!?」
男女が愛し合う声を聞きゆっくりと目を開いた私、フェリス=ハーベストは真っ暗な場所にいる事に驚いた。
(ここは??……それより、どういう事?今聞こえる声は妹のレスティアよね?そして、相手は私の婚約者のニコラス=アーデルハイト様の声だ)
真っ暗な空間に段々と目が慣れ、そこがウォークインクローゼットである事が判明した。
しかも、並べられた衣類を見ると、どうやらここは私の部屋らしい。
体を横に倒され手足を縛られているのか体の後ろでガッチリと固められ、口は声を出せない様にか縄のような感触がする。
「んーっ」
声を出すが、とてもキツく縛られているようで全く声にはならない。
しかもそれは太く噛みちぎろうとすればする程、口の中へと入り込み、より息苦しさを覚えてしまう。
(落ち着け、……なんでここに?確か、今日はニコラス様が私とお茶をする日だったわよね。時間が作れるか分からないと言っていて…それで、来たのは日が沈みかけ始めた時だったはず。
私の部屋に侍従のメリッサが紅茶を持ってきて、その時、レスティアも一緒に入ってきた。……まさか)
「……はぁっ、はぁっ」
「とても良かったよ、レスティア」
「私もですわ、ニコラス様。……でも、馬鹿ですよね。薬が盛られてるのになんの躊躇もなく飲むなんて」
「そう言うなよ。もし聞こえていたらどうするんだ?」
「聞こえてるはずないですわ、だって『うんと』沢山盛ったんですから、簡単には目を覚ましません。仮に覚めたとしても何も出来ませんわ。あの格好じゃ」
「……そうか、ならいいが」
「それより、あの話、早く私の両親に話してくれませんか?」
「あぁ、フェリスとの婚約を破棄し、君を新たに婚約者とするって話だろ」
「えぇ!……ふふっ。びっくりするでしょうね。まさか婚約破棄なんてされて、あんな人の元に嫁ぐ事になると知ったら」
「あぁ、冷酷な殺人者と呼ばれ、今まで嫁いだ者は全て心が病み、自殺に追い込んだというアドルフ=ルーベルトだろ」
「えぇ、早く追い出してどんな結末を迎えるか楽しみですわ」
「おいおい、結末なんて決まってるだろ?」
「そうでしたわ。あはははっ!?」
(婚約、破棄……。私が?どうして?だって今まで五年も一緒にいたのに。それにアドルフ=ルーベルトって辺境地にいる人の名よね)
「さて、私は帰るとしよう」
「あら、もう外は真っ暗ですわ。今から帰るなんて危険です。……私の部屋で泊まれば良いじゃないですか?」
「ふっ。そうしたいのは山々だが、やる事があるんでな」
「確か、国境周辺の動きが怪しんですよね?」
「さすがだな、もうそこまで耳にしているとは」
「当たり前ですわ。……私はあなたの『妃』なんですから」
「……確かに」
二人は衣擦れの音を響かせ、身支度を整えると私の部屋から出て行ったようだ…。
「愛してる、レスティア。……やっぱり間違っていたみたいだ。こんな風に情熱的な反応を見せ、私を興奮させる体型。どれを取ってもフェリスなんかとは大違いだ。
君みたいな人が私の妃にふさわしい」
「嬉しいですわ。……もっと、もっと愛して」
「あぁ、もちろん」
「あぁぁっっ!?」
男女が愛し合う声を聞きゆっくりと目を開いた私、フェリス=ハーベストは真っ暗な場所にいる事に驚いた。
(ここは??……それより、どういう事?今聞こえる声は妹のレスティアよね?そして、相手は私の婚約者のニコラス=アーデルハイト様の声だ)
真っ暗な空間に段々と目が慣れ、そこがウォークインクローゼットである事が判明した。
しかも、並べられた衣類を見ると、どうやらここは私の部屋らしい。
体を横に倒され手足を縛られているのか体の後ろでガッチリと固められ、口は声を出せない様にか縄のような感触がする。
「んーっ」
声を出すが、とてもキツく縛られているようで全く声にはならない。
しかもそれは太く噛みちぎろうとすればする程、口の中へと入り込み、より息苦しさを覚えてしまう。
(落ち着け、……なんでここに?確か、今日はニコラス様が私とお茶をする日だったわよね。時間が作れるか分からないと言っていて…それで、来たのは日が沈みかけ始めた時だったはず。
私の部屋に侍従のメリッサが紅茶を持ってきて、その時、レスティアも一緒に入ってきた。……まさか)
「……はぁっ、はぁっ」
「とても良かったよ、レスティア」
「私もですわ、ニコラス様。……でも、馬鹿ですよね。薬が盛られてるのになんの躊躇もなく飲むなんて」
「そう言うなよ。もし聞こえていたらどうするんだ?」
「聞こえてるはずないですわ、だって『うんと』沢山盛ったんですから、簡単には目を覚ましません。仮に覚めたとしても何も出来ませんわ。あの格好じゃ」
「……そうか、ならいいが」
「それより、あの話、早く私の両親に話してくれませんか?」
「あぁ、フェリスとの婚約を破棄し、君を新たに婚約者とするって話だろ」
「えぇ!……ふふっ。びっくりするでしょうね。まさか婚約破棄なんてされて、あんな人の元に嫁ぐ事になると知ったら」
「あぁ、冷酷な殺人者と呼ばれ、今まで嫁いだ者は全て心が病み、自殺に追い込んだというアドルフ=ルーベルトだろ」
「えぇ、早く追い出してどんな結末を迎えるか楽しみですわ」
「おいおい、結末なんて決まってるだろ?」
「そうでしたわ。あはははっ!?」
(婚約、破棄……。私が?どうして?だって今まで五年も一緒にいたのに。それにアドルフ=ルーベルトって辺境地にいる人の名よね)
「さて、私は帰るとしよう」
「あら、もう外は真っ暗ですわ。今から帰るなんて危険です。……私の部屋で泊まれば良いじゃないですか?」
「ふっ。そうしたいのは山々だが、やる事があるんでな」
「確か、国境周辺の動きが怪しんですよね?」
「さすがだな、もうそこまで耳にしているとは」
「当たり前ですわ。……私はあなたの『妃』なんですから」
「……確かに」
二人は衣擦れの音を響かせ、身支度を整えると私の部屋から出て行ったようだ…。
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