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窮地
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徐々に私に近づきつつある赤髪の男を気にしつつ対峙する男に手を出す。
だが、意識が散漫になり出した手を切りつけられた。
「くっ」
「おいおい、なんだ、その攻撃は?やっぱり何か隠してるな。……おい!いたか?」
「まだだ、兄貴。くそっ、何処だ!?」
草を蹴り苛立ちを露わにしながら声を張る。
その声が更に頭痛を酷くし、私は地面から頭を持ち上げれなかった。
だけど、見つかったら最後、私もジャックさんも殺される……。
痛さに耐え、苦悶の表情を浮かべながら持ち上げるとどの辺りにいるのかを確認した。
「……もう、そこ、まで」
隠れる木の幹まで後少しの所まで迫っていた。
そんな時だった。
あの見た映像と同じ、ジャックさんが隠れている私に向かって走って来る。
「逃げろ!?リースさん」
声を上げ、木の幹まで到達すると背にし男にナイフを向けた。
「リース?女、か。……まさか、あの女か!?
兄貴、あいつかもしれねぇ!」
「ほぉ、そりゃあツイてる。ヤリ損ねたからな。
今度は逃がさねぇ、その木の後ろみてぇだ」
赤髪はジャックさんと対峙しつつ横に移動していくと私の姿を捉えた。
「いたぞ!やっぱりあいつだ」
「ちっ」
見つけられた事にジャックさんは舌打ちをすると、赤髪に襲いかかった。
「リースさん、早く」
朦朧とする意識のまま私は立ち上がるとふらりふらりとした足取りでその場から逃げた。
だが、以前のような速さは全くなく、足を引きずるような形でしか逃げれなかった。
「兄貴、頼む」
「あぁ、任せろっ」
迫る金髪の男はすぐに差を詰め、そして私は簡単に捕まった。
首を締め上げられ、首元にナイフを突きつけられる。
「なんだ、お前。具合でも悪いのか?……まぁいい。どうせ後でたっぷりと楽しませてもらうからな」
捕まっても抵抗をしない私に余裕たっぷりの声をかけ、そして笑う。
「おい、いいのか?お前の女だろう。この場でヤルぞ?大人しく武器を捨てな」
捕まえた私を二人の元へと戻り、ジャックさんに詰め寄っていく。
「……リースさん」
捕まった私に観念したのか持っていたナイフを草の上にポイっと投げ捨てた。
「よしっ、弟よ。拾っとけ」
「あぁ」
草に落としたナイフを拾い上げると兄の方へと移動していった。
「兄貴、やっぱりなかなかイケる体だな」
「焦るなって。……見ろ、もう暗くなってきた。くくくっ。お楽しみはもうすぐだからな、お嬢ちゃんよ。
いいな!動くんじゃないぞ。動いたらこの首に刺すからな!?」
突きつけたナイフを更に首元へ近づけ、その刃先は私の首に触れ、冷たさを感じた。
「……わかった」
ジャックさんは二人に降参の意味を込めて手を上げ、抵抗する意思がない事を示した。
「よし、じゃあそのまま手は頭の後ろに当て、膝まつけ」
言われた通りに膝をつき、手は頭に置き、押さえられている私の事を見てきた。
「……おい、殺れ」
「あぁ」
赤髪が近づくとジャックさんが落としたナイフを使い、体を切りつけていく。
腕、体、足……。
次々と赤く染まり、切られる度に苦痛の顔を見せる。
「や、やめっ……」
「ちゃんと見てろって、お嬢ちゃん。ナイト様が痛ぶられる感じをなぁ!」
どうにも出来ず私はジャックさんが切られる様子を目の前で見せられ、二人は勝ち誇ったように笑いを上げた。
だが、意識が散漫になり出した手を切りつけられた。
「くっ」
「おいおい、なんだ、その攻撃は?やっぱり何か隠してるな。……おい!いたか?」
「まだだ、兄貴。くそっ、何処だ!?」
草を蹴り苛立ちを露わにしながら声を張る。
その声が更に頭痛を酷くし、私は地面から頭を持ち上げれなかった。
だけど、見つかったら最後、私もジャックさんも殺される……。
痛さに耐え、苦悶の表情を浮かべながら持ち上げるとどの辺りにいるのかを確認した。
「……もう、そこ、まで」
隠れる木の幹まで後少しの所まで迫っていた。
そんな時だった。
あの見た映像と同じ、ジャックさんが隠れている私に向かって走って来る。
「逃げろ!?リースさん」
声を上げ、木の幹まで到達すると背にし男にナイフを向けた。
「リース?女、か。……まさか、あの女か!?
兄貴、あいつかもしれねぇ!」
「ほぉ、そりゃあツイてる。ヤリ損ねたからな。
今度は逃がさねぇ、その木の後ろみてぇだ」
赤髪はジャックさんと対峙しつつ横に移動していくと私の姿を捉えた。
「いたぞ!やっぱりあいつだ」
「ちっ」
見つけられた事にジャックさんは舌打ちをすると、赤髪に襲いかかった。
「リースさん、早く」
朦朧とする意識のまま私は立ち上がるとふらりふらりとした足取りでその場から逃げた。
だが、以前のような速さは全くなく、足を引きずるような形でしか逃げれなかった。
「兄貴、頼む」
「あぁ、任せろっ」
迫る金髪の男はすぐに差を詰め、そして私は簡単に捕まった。
首を締め上げられ、首元にナイフを突きつけられる。
「なんだ、お前。具合でも悪いのか?……まぁいい。どうせ後でたっぷりと楽しませてもらうからな」
捕まっても抵抗をしない私に余裕たっぷりの声をかけ、そして笑う。
「おい、いいのか?お前の女だろう。この場でヤルぞ?大人しく武器を捨てな」
捕まえた私を二人の元へと戻り、ジャックさんに詰め寄っていく。
「……リースさん」
捕まった私に観念したのか持っていたナイフを草の上にポイっと投げ捨てた。
「よしっ、弟よ。拾っとけ」
「あぁ」
草に落としたナイフを拾い上げると兄の方へと移動していった。
「兄貴、やっぱりなかなかイケる体だな」
「焦るなって。……見ろ、もう暗くなってきた。くくくっ。お楽しみはもうすぐだからな、お嬢ちゃんよ。
いいな!動くんじゃないぞ。動いたらこの首に刺すからな!?」
突きつけたナイフを更に首元へ近づけ、その刃先は私の首に触れ、冷たさを感じた。
「……わかった」
ジャックさんは二人に降参の意味を込めて手を上げ、抵抗する意思がない事を示した。
「よし、じゃあそのまま手は頭の後ろに当て、膝まつけ」
言われた通りに膝をつき、手は頭に置き、押さえられている私の事を見てきた。
「……おい、殺れ」
「あぁ」
赤髪が近づくとジャックさんが落としたナイフを使い、体を切りつけていく。
腕、体、足……。
次々と赤く染まり、切られる度に苦痛の顔を見せる。
「や、やめっ……」
「ちゃんと見てろって、お嬢ちゃん。ナイト様が痛ぶられる感じをなぁ!」
どうにも出来ず私はジャックさんが切られる様子を目の前で見せられ、二人は勝ち誇ったように笑いを上げた。
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