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婚約破棄のための我慢

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ひょんな事からエフォーリア王女が泊まることになり、部屋を用意した。
でも、私の部屋が良いらしく、無駄骨になり…。

「なんで、私の部屋に?用意しましたのに…」
「いいじゃない、ベットも大きいから二人で寝るのも余裕でしょう?…このベットで陛下と?」
「…またその話ですか?」
「あはは、ウブね。ちょっと意地悪したくなっちゃうの、あなた見てると」

だいぶペースを乱されてる感じがする…。
陛下とはタイプが違い、迫るよりネットリとジワジワ攻めてくる感じが私を苦しめる。

「ねぇ、本当に無いの?」
「だから、その話は…」
「陛下じゃなくて、本当に男性を知らないの?」
「え…?」
「あっ、顔が変わったわ。あるのね。どうだった!」

一瞬ニックさんの顔が浮かんだ。
あの日の出来事が蘇り、ポッっと体温が上がるのを感じた。
横で見てた王女がゆっくり近づき…。

「ちょっと…何するんで…」

王女が私をベットに押し倒した。

「ちゃんとあるんじゃない、男性とは。お子様だからまだ経験ないのかなと思っていたけど、ちょっと意外だったわ。陛下とどんな風にしたか知りたいかしら?」
「別にもう陛下に未練とかないので!」
「あら、そう?聞くだけでも興奮しちゃうかも…」

どうしてもあの日の事を聞かせたいんだなと感じる。
私も声がしたから…つい入ってしまったのは事実だし…。
目が慣れて、しばらく見ていたら…とふと考えてしまった。

「まずは」…といいながら私を触り始めた。
「やめて下さい!」
「ふふっ、嫌よ。イジメちゃう予定だったから」
「ちょ…」

「失礼いたしま…す…」
給仕が部屋に入ってきて、私達がベットにいる状態を直視する…。
三人が固まっている。
一番最初に口を開いたのは給仕だった。

「あの…お、お茶を…」と、テーブルに置いたら後退りしながら部屋を出ていった。

「あら、刺激が強かったかしら、あの子には」
「ビックリしただけです!変な誤解生ませないで下さい、早く離れて!」
「もう、頭が硬いわね。ちょっと入れましょうか」
と、いつの間に持っていたのか、ワインをテーブルにドンっと置いた。

「何処から持ってきたんですか?!」
「マジックよ」
と意味のわからない事をいい、コルクをポンっと抜いた。

「飲みませんからね、私は」
「はぁ…じゃあ婚約破棄は私は受け入れないわ、飲まないなら。それが条件。どうする?」
「卑怯じゃないですか?」
「交渉ってこうやるのよ、お子様」

ムカッときて、グラスにワインを多めに注いだ。

「あら~いいわね、勇ましくて。じゃあ乾杯」

チンとグラスを鳴らし、私はまたお酒を口にした。
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