上 下
29 / 37

決心した気持ちと突然の来訪

しおりを挟む
私はブラックさんの元に向かった。
もう迷わない、陛下との関係をハッキリさせようと心に決め、前を向いた。

「おや、ソマリア様、もうお相手との話は良かったのですか?」
「はい、私決めました」
「…そうですか。あなたの決めた気持ちです。素直にぶつけたら良いと思います。少し手伝って貰えますか?」
「喜んで!」

自分の中で気持ちが決まったと思うと、楽になった。
陛下とはこれで終わりにしよう。
なに言われても、叩かれても私は挫けない。
私は私の人生を歩んでみたい、決められた道から足を降して自分で歩く事を…。

「ソマリア様、顔が明るくなりましたね」
「そうですか?」
「えぇ、悩みが取れた、そんな顔をしています。よほど先程の男性があなたには合ってるんでしょうね」
「はい。私もそう思います」
「じゃあ、後はこれを乗せたら王宮に戻りましょう」

ブラックさんと共に様々な花を乗せ、王宮に戻ろうとする。

「待った!これ、やる」
「いいのですか…?」
「最初のお詫び」

言葉はぶっきらぼうだけど、ラクスさんって優しいんだなと思った。貰った花束は赤、白、ピンクのバラが沢山摘まれていた。

「ラクス…言葉をしっかり学べ、将来の大事なお客様になる予定だから」
「ブラックさん…」
「行きましょう、ソマリア様」

貰った花束を手に再び王宮を目指す事にした。


「ソマリア様、ブラック、遅いじゃないか」
「なんだ。もうお腹治っちゃったの?つまらない」
「なっ!やっぱり貴方が何か入れたんですね!」
「さぁ~。お腹痛くなったのは執事が弱いだけでしょ」
「まぁまぁ、ソマリア様、早く花を中に運びましょう」

ブラックさんと色んな部屋を周り、花を取り替えていく。もちろん私の部屋も。さっき貰ったバラが一際綺麗だ。

「バラ!陛下からですか?お嬢様」
「いいえー。街の方からです。陛下は私に花とか贈りませんし、何より…」
「何より?」

思うと陛下から物とかはほぼ貰ってない。小さい時にあったかもしれないが、今は私を求めるだけで…。
そんな陛下に私はもう心は無い。

「いえ、なんでもありません」
「そう言えば明日、エフォーリアと言う方が来る予定ですが、ご存知ですか?」
「エフォーリア…?あっ」
「ご存知なんですね、どんな方ですか?」

給仕に以前あったパーティーの件を話した。

「なるほど~それでお嬢様はあんなに酔った状態に…お酒は出さない方が良いですね」
「お願いします…」

突然明日やってくると言うエフォーリア王女、しかし、発せられる言葉は予想外な物で…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

わかったわ、私が代役になればいいのね?[完]

風龍佳乃
恋愛
ブェールズ侯爵家に生まれたリディー。 しかしリディーは 「双子が産まれると家門が分裂する」 そんな言い伝えがありブェールズ夫婦は 妹のリディーをすぐにシュエル伯爵家の 養女として送り出したのだった。 リディーは13歳の時 姉のリディアーナが病に倒れたと 聞かされ初めて自分の生い立ちを知る。 そしてリディアーナは皇太子殿下の 婚約者候補だと知らされて葛藤する。 リディーは皇太子殿下からの依頼を 受けて姉に成り代わり 身代わりとしてリディアーナを演じる 事を選んだリディーに試練が待っていた。

私の恋が消えた春

豆狸
恋愛
「愛しているのは、今も昔も君だけだ……」 ──え? 風が運んできた夫の声が耳朶を打ち、私は凍りつきました。 彼の前にいるのは私ではありません。 なろう様でも公開中です。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

あなたがわたしを捨てた理由。

ふまさ
恋愛
 王立学園の廊下。元婚約者のクラレンスと、クラレンスの婚約者、侯爵令嬢のグロリアが、並んで歩いている。  楽しそうに、微笑み合っている。アーリンはごくりと唾を呑み込み、すれ違いざま、ご機嫌よう、と小さく会釈をした。  そんなアーリンを、クラレンスがあからさまに無視する。気まずそうにグロリアが「よいのですか?」と、問いかけるが、クラレンスは、いいんだよ、と笑った。 「未練は、断ち切ってもらわないとね」  俯いたアーリンの目は、光を失っていた。

処理中です...