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行商を決めてください!
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「ちくしょう!離せ!」
ニックさんに取り押さえられている男性は大声を上げながら抵抗しているが、周囲の手助けもあり、縛り上げられるとようやく観念した。
男性に倒されていた兵も私の元に集まり、縛り上げた男性を引き起こす。
「ソマリア様、外出はここまでです。またこの様な事が無いとはいいきれません」と王宮へと戻そうとする。
会いたかったニックさんとは何も話していない…それに牢屋に入れられた件についても謝りたかった。
兵に腕を引かれ、この場を後にしようとするが
「あなた達、まだ助けて貰ったお礼をいってませんよ」と兵達に私は言った。
兵達は、確かに…と言った表情を見せ
「この度はソマリア様を助けていただき、本当にありがとうございます。何かお礼をするべきですが…ご要望はございますか?」
「なら…ソマリア様とお話をさせてください」とニックさんは言い、兵達は私達から少し距離を離した。
「会いたかった…アリス、いやソマリア様」
「すみません、嘘をついてしまって…それに牢屋に入る羽目になってしまい、本当にごめんなさい」
私は嘘と父の独断について、深く頭を下げ謝った。
嘘については仕方ない事だといい、牢屋にいる間もあなたに会いたいと思っていたと言う。
同じ気持ちだった、と知ると嬉しく抱きしめてほしい…と願ってしまった。
しかし、今は私の周りには兵がおり、また祭事に集まった多くの人々がいるため、それは叶わない…。
ニックさんは周りにバレないように、そっと近づき、手を繋いできた。見方によれば握手してるような感じだが、ニックさんの手の温もりが伝わり、鼓動が早くなる。
ずっとこうしていたい…。
望むなら陛下よりもこの人と一緒に…と。
「ソマリア様、もう時間です」
夕刻までに戻らないと連れ戻しにくる、それが父との約束だ。
名残惜しい気持ちだが、手を離し、ニックさんと別れた。
「帰ったか、ソマリア。少しは気分は晴れたか?」
「えぇ、外に行くのを許していただき、ありがとうございます」
行く前の曇った気持ちは、ニックさんに会えたことで嘘のように晴れた。いまだにニックさんの手の温もりも感じる。
「お父様、お話が…」
「なんだ?」
「実は…」
私は街で聞いた兵の鎧は行商のを使うという話を父にし、長年懇意にしてる行商もいるかと思うが、私の婚礼も兼ねて、新しい物に変えてはどうか?と提案してみた。
婚礼…今、私自身が口にしたが、陛下との婚姻は望んでいない…。ただ、いきなり行商を変えて欲しいといっても、変に疑われるだけだから、矛先を婚礼と言う言葉ですげ替えた。
「ふむ…」と顎に手を置き、考えてくれている様子であり、感触としては悪くない。
後は、どうやって行商相手をニックさんに決めさすかと言う事だ。
しかし…
「なるほどな…それも良いかも知れん。ただ、もう新しい鎧は頼んである。だから行商を変えるならお前の婚礼が終わってからなら良いぞ」と言う。
そんな…もう頼んであるなんて知らなかった。それに婚礼が終わった後なんていったら遅すぎる。
「婚礼前では無理ですか?」と疑われてしまうかもしれないのに、必死に食い下がった。
「何をムキになっている」と父はいい、さっきまでの好感触を台無しにしていく。
それどころかこのままでは行商の話を今後口にするのはタブーにされそうだった。
「儂が選ぶ鎧が気に入らんと言いたいのか?それとも何か裏があるのか?」と徐々に疑いの目を向けてくるようになり、この流れでは諦めるしかないと悟った…。
「いえ…そう言う訳では…この話は忘れて下さい」
せっかくの大きなチャンスだったが、父の一歩先を行く行動と私自身の浅はかな言動によりフイにしてしまった…。
ニックさんに取り押さえられている男性は大声を上げながら抵抗しているが、周囲の手助けもあり、縛り上げられるとようやく観念した。
男性に倒されていた兵も私の元に集まり、縛り上げた男性を引き起こす。
「ソマリア様、外出はここまでです。またこの様な事が無いとはいいきれません」と王宮へと戻そうとする。
会いたかったニックさんとは何も話していない…それに牢屋に入れられた件についても謝りたかった。
兵に腕を引かれ、この場を後にしようとするが
「あなた達、まだ助けて貰ったお礼をいってませんよ」と兵達に私は言った。
兵達は、確かに…と言った表情を見せ
「この度はソマリア様を助けていただき、本当にありがとうございます。何かお礼をするべきですが…ご要望はございますか?」
「なら…ソマリア様とお話をさせてください」とニックさんは言い、兵達は私達から少し距離を離した。
「会いたかった…アリス、いやソマリア様」
「すみません、嘘をついてしまって…それに牢屋に入る羽目になってしまい、本当にごめんなさい」
私は嘘と父の独断について、深く頭を下げ謝った。
嘘については仕方ない事だといい、牢屋にいる間もあなたに会いたいと思っていたと言う。
同じ気持ちだった、と知ると嬉しく抱きしめてほしい…と願ってしまった。
しかし、今は私の周りには兵がおり、また祭事に集まった多くの人々がいるため、それは叶わない…。
ニックさんは周りにバレないように、そっと近づき、手を繋いできた。見方によれば握手してるような感じだが、ニックさんの手の温もりが伝わり、鼓動が早くなる。
ずっとこうしていたい…。
望むなら陛下よりもこの人と一緒に…と。
「ソマリア様、もう時間です」
夕刻までに戻らないと連れ戻しにくる、それが父との約束だ。
名残惜しい気持ちだが、手を離し、ニックさんと別れた。
「帰ったか、ソマリア。少しは気分は晴れたか?」
「えぇ、外に行くのを許していただき、ありがとうございます」
行く前の曇った気持ちは、ニックさんに会えたことで嘘のように晴れた。いまだにニックさんの手の温もりも感じる。
「お父様、お話が…」
「なんだ?」
「実は…」
私は街で聞いた兵の鎧は行商のを使うという話を父にし、長年懇意にしてる行商もいるかと思うが、私の婚礼も兼ねて、新しい物に変えてはどうか?と提案してみた。
婚礼…今、私自身が口にしたが、陛下との婚姻は望んでいない…。ただ、いきなり行商を変えて欲しいといっても、変に疑われるだけだから、矛先を婚礼と言う言葉ですげ替えた。
「ふむ…」と顎に手を置き、考えてくれている様子であり、感触としては悪くない。
後は、どうやって行商相手をニックさんに決めさすかと言う事だ。
しかし…
「なるほどな…それも良いかも知れん。ただ、もう新しい鎧は頼んである。だから行商を変えるならお前の婚礼が終わってからなら良いぞ」と言う。
そんな…もう頼んであるなんて知らなかった。それに婚礼が終わった後なんていったら遅すぎる。
「婚礼前では無理ですか?」と疑われてしまうかもしれないのに、必死に食い下がった。
「何をムキになっている」と父はいい、さっきまでの好感触を台無しにしていく。
それどころかこのままでは行商の話を今後口にするのはタブーにされそうだった。
「儂が選ぶ鎧が気に入らんと言いたいのか?それとも何か裏があるのか?」と徐々に疑いの目を向けてくるようになり、この流れでは諦めるしかないと悟った…。
「いえ…そう言う訳では…この話は忘れて下さい」
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