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まだパーティーは始まってない

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「ちょ、ちょっと待ってください!?
ダンスなんて今、初めて聞きましたよ!どうして言ってくれなかったんですか?!」

私は責める相手が違ったが、言わずにはいられなかった。
この役はそこまでやらないといけないなんて知らなかった…。

「ダンスって…相手は、もしかして…」

「そう。クロウ様よ」

「いやいや…それはちょっと…」

「なにいってるの?妻なんだから当然なんだけど…」

ダンスをする事、そして相手はクロウさんと言う事が私に重く重くのしかかってきた。

そんな事はお構いなしにカリファさんは私にドレスをクローゼットから取ってくるように言う。

ただ、隣にいて1日が過ぎるのを耐えれば終わると思っていた私は重い足取りでクローゼットに向かった。

カリファさんに作ってもらったドレスを手に持ち、はぁ…とため息をついた。

「ちょっと~嫌なのは分かるけど準備してくれないと私が怒られちゃうでしょ!」

「はいはい…」

私は無気力に服を脱ぎ、ドレスに初めて袖を通した。

姿見に映る私は青いドレスを身に纏い、ちょっとしたお姫様になった。
しかし、嬉しい気持ちは全く起こらなかった…。
これからコレを着たまま1日妻として役目を全うしないといけないのだから…。

すると、扉をノックされた。

だが、こちらが返事をする前に中に誰か入ってきた。

「く、クロウ、さん…」

その姿は白いタキシードを身に纏い、赤いスカーフが首元を鮮やかに彩り、胸には白いポケットチーフが刺さっていた。

不覚にも少しだけ見惚れてしまった私がいた…。

「ふっ、お前、とうとう俺に惚れたな」

「なっ!?誰が!?それより何しに来たんですか?!
ちゃんと返事してから入ってきてください!」

「あぁ、悪い。気をつける」

でもクロウさんも何故か私を直視しようとしてなかった。
それより、床に散らばったナプキンを見て言う。

「これはなんだ…?まさか、お前…。そんなので踊れるのか…?」

あろう事かクロウさんは私が生理では無いかと疑ってきた。

「違う、それは…」

「違うならなんだ。言ってみろ」

「…いいでしょ、なんでも。気にしないでください。
用件を言ってください、用件を!」

アランさんの血、なんて私は口にしたくなかった。
気にしない様にしていたのに無理矢理話題にされた事で、少し動悸がしてしまった。

落ち着こうと、ふぅ…ふぅ…とクロウさんやカリファさんにバレない様に呼吸をした。

「ところでお前、ダンスは出来るのか?」

「…した事なんてないです。
と言うか、なんで今日まで隠していたんですか?
マナーよりそっちでしょ!?
ダンスは他の人とお願いします。無理です」

「あ??馬鹿か。妻じゃない奴と踊る夫が何処にいる!
した事ないだと!
直ぐにこっち来い!?」

怒り心頭なクロウさんは準備が完了してない私を連れ出し何処かに向かい出した。
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