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勝手な行動と見栄

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スリスリと私と寄せるセレスティを優しく撫でた。

「ははっ、セレスティもあやかさんのことが好きみたいだね。じゃあ行こうか」

セレスさんは馬房からセレスティを出し引いていく。
どうやらこれに乗って行くみたいだが、あまり良い思い出は無い…。
もちろんそれは以前連れてこられた時にあった出来事。

セレスさんもまたクロウさんみたいに髪を嗅ぐのでは無いか…と私はモヤッとした。
だから、少し聞いてみることにした。

「えっと…一頭で行くんですか?」

本当は馬なんて気軽に乗れる立場では無いが、お互い一頭ずつで行くことが出来たらこんなモヤッとした気持ちは無くなるはずと思ったからだ。

「一応そのつもりだったけど、あやかさん乗れる?」

「…乗れます!」

嘘をつき見栄を張ってしまった。
言ったものの私が乗っても良い馬なんてあるんだろうか…。
そう思っているとセレスさんが言う。

「兄の馬、勝手に借りちゃえばいいよ。どうせ狩り以外には乗らない人だから」

「バレたら面倒だと思いますけど…」

「大丈夫大丈夫!僕が勝手にしたって事にすれば良いから!ミハエル、クロウリー出して」

困った様子のミハエルさんがおり、いくら頼みと言えども簡単には出そうとはしなかった。

「困ります、もしクロウ様が来たらなんて言えば…」

「だから!僕が乗ってったって言えば良いよ。リリィの元に行くから前に借りたいと言ってあるから、それで納得するはず、ささっ、出して」

無理矢理納得させ馬房からクロウリーを出させた。

「あの…怪我だけはさせないでくださいね。怒られますから…」

「…はい、すみません」

私はミハエルさんからクロウリーを託され引いて行く。
後ろから突き刺さる視線が少し痛かった…。

(いいのかな…本当に。見てないよね…?)

クロウさんが見てないかを私は確認するため屋敷の窓を見上げた。
ざっとみる感じでは人影は無いから少し胸を撫で下ろす。

『あんた、乗れないだろ…すぐバレるぞ?』

「し、しょうがないじゃん。髪嗅がれるよりは…」

『まぁ…バレんようにサポートはするがな。あいつは早いぞ?』

「セレスさんの事?なんで知ってるの?」

『話聞いた事なかったか?あいつはお嬢ちゃんに会いに俺を走らせるから乗せたことあんだよ』

「あっ…そういえば…」

私は先を歩くセレスさんを見た。
振り返り私を待つセレスさんは笑顔だった…。
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