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好かれている?

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「分かりました」

私の返事に反応し、セレスさんは急に顔を上げた。

「それは仲良くなっても良い、って事?」

コクンと私は首を縦に振る。
それを見たセレスさんには立ち上がり両手を上に上げ、ガッツポーズをし始めた。
そんなに嬉しい事なんだろうか…?

『鈍いわね…そろそろ気付いたら?』

いつの間にかベッドにアッシュは移動していた。

「気付くって何が?」

『はぁ…確信したわ。あなた、嘘ついたわね?誰とも付き合った事ないでしょ。白状しなさい!』

「何いってんだか…」

完全にバレたな…と思っているが顔には出さず平静を装って対応を心がけた。
今はセレスさんの方が大事なのでアッシュの事はそこそこに話を切り上げた。

「食べた?」

「あ、はい」

「じゃあ行こうか!…アッシュ、留守番しといてね」

どうやらセレスさんはアッシュを連れて行く気は無いみたいだ。
でも考えたらそうだよなぁ…と思う。
猫を連れてデートってないような。

運んできたお盆に食器を乗せ、私達は部屋を出た。
セレスさんは鼻歌交じりに廊下を歩く。
とてもご機嫌のようだ…私といるのがそんなに嬉しいんだろうか?

たまにチラリと私を見てくる。
卑しく見てくるわけでないが、チラチラと…。

「あの、私に何か付いてますか?」

「えっ!いや、何も!」

あれ…いまさらだけど…アッシュが言う好かれてるって、この人に?
途中メイドと鉢合わせになり、食器を持つセレスさんに気付いたメイドは慌てて言う。

「セレス様!片付けは私達がしますから早く渡してください!」

セレスさんからお盆を取り上げ、すぐに私達の視界から消えていった…。

「別に良いのに…」

ボソッと言うが、もうメイドはいない。
そして、再びカリファさんの元へと歩き出す。

「あやかさんって動物と話せるんですよね?どんな動物でも?そうなら羨ましいなぁ…アッシュと話してみたいんだよ~」

「アッシュ、ですか?辞めた方が良いですよ。見た目以上に厄介と言うか…」

『悪かったわね、厄介で!』

「アッシュ!…なんでいるの?」

「ははっ、ついて来てしまったかぁ。いいよ、一緒にあやかさんと外行こう」

セレスさんはアッシュを抱くと、一緒にカリファさんの元へと行く事にした。
私からしたら複雑な感じだったが…。

コンコンッ

「どうぞー」

「お邪魔するよ、カリファ」

「あら、珍しい。セレス様。それにあなたは…あれから大丈夫だった?」

私は咄嗟にシーッ!と喋らないで!と合図を出していた。
何故すぐにそうしたかは分からなかったが、無意識に体が行動していた。

(なんか言ってくるかな?)

私は恐る恐るセレスさんを見るが、空気を読んだのかセレスさんはその事には触れず、カリファさんに私に合う服は無いかを尋ねていた。




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