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カリファさん
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(話って…なんだろう…)
私は一人で頭の中でずっと考えてしまっていた。
「おい、あやか。なに立ち止まっている。着いたぞ?」
クロウさんの呼びかける声も聞こえているのに反応出来ずにいる私。
それを見てアランさんがゆっくりと近づいて来た。
「あやかさん、さぁ、こっちです」
私の目線の高さに腰を落とし目を見て話しかけてきた。
その目は優しくもあり、真剣な感じだった…。
咄嗟に横を向いてしまい、素っ気ない態度見せたと思い込んだクロウさんがアランさんに言う。
「なんだ、アラン。あやかに嫌われたか?ははっ!」
そんな言葉をアランさんに全く気にする様子はなく、私を見ていた。
横目でそれを見る私は、どうしたらよいか悩むが、次の瞬間、そっと背中に手を当て私をエスコートし始めた。
「さぁ、行きましょう」
スマートに卑しくなく私を歩かせるアランさんは紳士だった…。ただ、クロウさんは眉間にシワを寄せ睨んでいるのが分かった。
「アラン、あまりあやかに触るな」
「何故?」
「お前にも決まった奴がいるだろう、見境のない奴は嫌われるぞ。…いや、もう嫌われてるかもな!」
ふっ、と笑いアランさんに告げた。
しかし、隣を歩くアランさんはクロウさんをまっすぐ見つめたまま今の言葉に反論をし始めた。
「決まった奴、ってなんだ?そんな嘘をついて何がしたい?
あやかさんを取られるのが嫌なだけだろう、クロウ」
「…」
「沈黙は肯定。だから今のは咄嗟についた嘘だろう?
そっちこそそんな事ばかり言っていたら嫌われるよ。
さぁ、服をあげるならそこをどいてくれ」
アランさんの言葉を否定する事なく。ただ黙ったままのクロウさんを他所に私を部屋の中に案内していく。
横を通り過ぎる時にクロウさんの顔をチラッと私は見たが、全く目を合わそうとせず、伏したままだった。
それに、唇を少し噛んでいるようにも見えた。
中に入るとファッションショー並の衣装やドレスが沢山かけられていた。
その中から一人の女性が姿を見せる。
お世辞にも格好はこの服に囲まれた部屋には合ってなく、所々に布の切れ端や仕立てに使っているのかノリが服についている状態だ。
「アラン様、珍しいですね。ここにくるのは」
「やぁ、カリファ。この人に似合う服が欲しいんだけど、良いのないかな?」
横に立つ白いスウェット姿の私に目を移し話す。
「あなたは…?それにその髪…」
髪について私は失念していた。この世界では黒髪なんて人がいないという事を…。
だから咄嗟にアランさんの背に身を隠してしまった。
「…カリファ、髪については問わないでくれないか?頼む」
頭を下げお願いする姿を私は背中から見て思う。
(他人にこれだけ敬意を払い、頼むなんてなかなか出来ないのに、この人は…)
「…分かりました。あなたお名前は?」
「あ…あやか、といいます」
「私はカリファ。この屋敷で服を作ったり直したりしています。王妃様や客人をもてなすためのメイドの服などを扱ってます。アラン様の頼みですから良い服を選びますね」
「いえいえ、そんな…」
謙遜する私を他所にアランさんの背に隠れた私の手を掴み、服が並べられた場所に引いていった。
私は一人で頭の中でずっと考えてしまっていた。
「おい、あやか。なに立ち止まっている。着いたぞ?」
クロウさんの呼びかける声も聞こえているのに反応出来ずにいる私。
それを見てアランさんがゆっくりと近づいて来た。
「あやかさん、さぁ、こっちです」
私の目線の高さに腰を落とし目を見て話しかけてきた。
その目は優しくもあり、真剣な感じだった…。
咄嗟に横を向いてしまい、素っ気ない態度見せたと思い込んだクロウさんがアランさんに言う。
「なんだ、アラン。あやかに嫌われたか?ははっ!」
そんな言葉をアランさんに全く気にする様子はなく、私を見ていた。
横目でそれを見る私は、どうしたらよいか悩むが、次の瞬間、そっと背中に手を当て私をエスコートし始めた。
「さぁ、行きましょう」
スマートに卑しくなく私を歩かせるアランさんは紳士だった…。ただ、クロウさんは眉間にシワを寄せ睨んでいるのが分かった。
「アラン、あまりあやかに触るな」
「何故?」
「お前にも決まった奴がいるだろう、見境のない奴は嫌われるぞ。…いや、もう嫌われてるかもな!」
ふっ、と笑いアランさんに告げた。
しかし、隣を歩くアランさんはクロウさんをまっすぐ見つめたまま今の言葉に反論をし始めた。
「決まった奴、ってなんだ?そんな嘘をついて何がしたい?
あやかさんを取られるのが嫌なだけだろう、クロウ」
「…」
「沈黙は肯定。だから今のは咄嗟についた嘘だろう?
そっちこそそんな事ばかり言っていたら嫌われるよ。
さぁ、服をあげるならそこをどいてくれ」
アランさんの言葉を否定する事なく。ただ黙ったままのクロウさんを他所に私を部屋の中に案内していく。
横を通り過ぎる時にクロウさんの顔をチラッと私は見たが、全く目を合わそうとせず、伏したままだった。
それに、唇を少し噛んでいるようにも見えた。
中に入るとファッションショー並の衣装やドレスが沢山かけられていた。
その中から一人の女性が姿を見せる。
お世辞にも格好はこの服に囲まれた部屋には合ってなく、所々に布の切れ端や仕立てに使っているのかノリが服についている状態だ。
「アラン様、珍しいですね。ここにくるのは」
「やぁ、カリファ。この人に似合う服が欲しいんだけど、良いのないかな?」
横に立つ白いスウェット姿の私に目を移し話す。
「あなたは…?それにその髪…」
髪について私は失念していた。この世界では黒髪なんて人がいないという事を…。
だから咄嗟にアランさんの背に身を隠してしまった。
「…カリファ、髪については問わないでくれないか?頼む」
頭を下げお願いする姿を私は背中から見て思う。
(他人にこれだけ敬意を払い、頼むなんてなかなか出来ないのに、この人は…)
「…分かりました。あなたお名前は?」
「あ…あやか、といいます」
「私はカリファ。この屋敷で服を作ったり直したりしています。王妃様や客人をもてなすためのメイドの服などを扱ってます。アラン様の頼みですから良い服を選びますね」
「いえいえ、そんな…」
謙遜する私を他所にアランさんの背に隠れた私の手を掴み、服が並べられた場所に引いていった。
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