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私の能力

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「あやかさんなんで分かったんですか?」

「えっとぉ…」

私は動物と話せる事をバラしてしまい、なんとかしてうまく乗り切ろうと考えた。
しかし、私を見てくる二人は気付いたのだろうか、無言だ。

『言った方がいいわよ。変に隠すとややこしくなるから』

アッシュの一言で私は二人に話そうと決めた。

「あ、あの…」

「あやかさんは動物の気持ちも分かるんですよね?
先程クロウが父上に言ってましたからね」

私が言うよりアランさんが先に話す。
でも、気持ちと言うより実際に話せるのだが…。

「違うな。気持ちより実際に言葉が分かるんだろ?」

クロウさんが的確に、しかも正解をアランさんにぶつけていた。

(鋭い、というより、何故分かったならもっと前に言わなかったんだろう?人には気持ちが~…って)

アッシュは私の胸からピョンと飛び、部屋から出て行こうとしていく。

「待って」

『私よりそっちを解決しないとダメよ』

言われて振り返るとこの状況を解決するには話すしかないといった感じだ。

『じゃあ』

そのままアッシュは部屋を出て何処かに行ってしまった…。
私は話そうと二人に話の場を作ってもらい、しっかりと伝えることにした。

私はピアノ近くの椅子、クロウさんはピアノに、アランさんはピアノにもたれる形で立っている。

「で、いつから話せるんだ?」

クロウさんが少し上から目線で聞くのが少しカチンと来たが、今は堪えて話し始めた。


「ははは!夢で告げられたら話せた、だと!笑わせる!」

盛大に笑うクロウさんを叩きたくなるが、アランさんはちゃんと聞いてくれているみたいだ。
私も動物と話すなんてファンタジーの世界しかないと思っていたが、それが現実に出来てしまったので不思議でならない。

「俺は信じますよ。動物と話せるなんて優しい証拠だと思いますから」

アランさんの気持ちが嬉しかった。
それと同時に少しだけ心が暖かくなっていくのが分かった。

「あやかさんといればアッシュにも触れますからね」

「アランさん…」

私とアランさんのやり取りが気に入らないのか、また不機嫌気味になるクロウさんはこの話をサッサと切り上げようと別の話題に話を振り始めた。

「ところで、あやかの格好はこの国では変だ。着替えをやるからこっちに来い」

言われてみれば現実世界のパジャマ姿のまま…。
白い薄手のフリース素材のスウェットの上下なんてこの世界にはいるはずも無い。
言われて急に恥ずかしくなる。

椅子から立ち、付いてくるように私を指示してきた。

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