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対照的な者達
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私は今話してきた馬をじっーと見てしまった。
『なんだよ、お前、俺の言葉わかるのか!?』
何も言わず、私はただ頷いた。
そして、クロウさんが引いている手綱を私は取り、川の方に歩き始めた。
「おい、俺の馬に何をする」
「この子は水が飲みたいんです。さっきからイライラしてましたよ、気付きませんでしたか?」
私はそう言うと川に馬を引いていき、勢いよく水を飲み始めた。
ガブガブと飲む馬を見ながら私は首筋を撫でた。
『悪いな』
私は縦に首を振りお礼の態度を見せた。
本当なら馬と話しても良いのだが、今ここでそれをするとクロウさんに変な奴だと思われ、どうされるか分からなかったからだ。
「お前、なんで分かったんだ?」
「えっ?なにがですか?」
「馬だよ、医師になるとそんなことも分かるのか?凄いな。…それよりお前、名前は?」
「私は榊原彩香です」
「さばらやか…?なんだ、その名前は?」
どうやらクロウさんは私の名前を聞き取れなかったみたいだった…。
でも考えてみたらこの国ではこんな名前の人なんていないからなぁって思った。
だから…
「さ、か、き、ば、ら、あ、や、か」
ゆっくり分かりやすく一言ずつ言った。
「あやか。そうか、お前はあやかというのか。分かった。助かったぞ、あやか」
(何回『あやか』を連呼するんだろう…)
「いいえ、どういたしまして」
馬は水を飲み終え、私に寄り添い始めた。
「ところで、お前はこれからどこにいくんだ?」
「私はこの国の事は何も知りません。だから行く当てもないです。それより元の世界に帰りたいのですが…」
私は明日の仕事もあるし、こんな場所にずっと居る訳にもいかず、早く帰って寝たかった。
寝たかった…。そう、寝たらこの世界だったから寝たら戻れると期待をした。
「とりあえず一晩だけ寝れる場所があれば嬉しいのですが…」
「そうか、なら俺の家に来い。連れて行ってやる」
「家って…」
まさかね…と思うけど、連れていき何かされるんじゃないかと不安がよぎった。
全く何も知らない人だから…。
私は『家』とはどんな場所かを聞いてみた。
「あの…家ってどんな家なんですか?」
「なんだ?家といったら王宮に決まってるだろ?俺を誰だと思ってる、第一王子だぞ」
「はぁ…そうですか」
「とにかく、もうすぐ日が落ち始める。暗くなる前に行くぞ」
私から手綱を取り、ひらりと馬に跨り、そんな様子を
私は見上げた。
「あ、あの…私は?」
『本当に自分勝手だよな、このクソ王子は。待ってな』
馬は前足を折り、私が乗りやすい姿勢を取った。
クロウさんとは対照的に紳士な対応を見せる馬に私は、ふふっと笑った。
「なに笑ってる?早く乗れ」
「はいはい」
乗りやすくなった馬に私は跨がり、クロウさんがいう『王宮』を目指すことにした。
『なんだよ、お前、俺の言葉わかるのか!?』
何も言わず、私はただ頷いた。
そして、クロウさんが引いている手綱を私は取り、川の方に歩き始めた。
「おい、俺の馬に何をする」
「この子は水が飲みたいんです。さっきからイライラしてましたよ、気付きませんでしたか?」
私はそう言うと川に馬を引いていき、勢いよく水を飲み始めた。
ガブガブと飲む馬を見ながら私は首筋を撫でた。
『悪いな』
私は縦に首を振りお礼の態度を見せた。
本当なら馬と話しても良いのだが、今ここでそれをするとクロウさんに変な奴だと思われ、どうされるか分からなかったからだ。
「お前、なんで分かったんだ?」
「えっ?なにがですか?」
「馬だよ、医師になるとそんなことも分かるのか?凄いな。…それよりお前、名前は?」
「私は榊原彩香です」
「さばらやか…?なんだ、その名前は?」
どうやらクロウさんは私の名前を聞き取れなかったみたいだった…。
でも考えてみたらこの国ではこんな名前の人なんていないからなぁって思った。
だから…
「さ、か、き、ば、ら、あ、や、か」
ゆっくり分かりやすく一言ずつ言った。
「あやか。そうか、お前はあやかというのか。分かった。助かったぞ、あやか」
(何回『あやか』を連呼するんだろう…)
「いいえ、どういたしまして」
馬は水を飲み終え、私に寄り添い始めた。
「ところで、お前はこれからどこにいくんだ?」
「私はこの国の事は何も知りません。だから行く当てもないです。それより元の世界に帰りたいのですが…」
私は明日の仕事もあるし、こんな場所にずっと居る訳にもいかず、早く帰って寝たかった。
寝たかった…。そう、寝たらこの世界だったから寝たら戻れると期待をした。
「とりあえず一晩だけ寝れる場所があれば嬉しいのですが…」
「そうか、なら俺の家に来い。連れて行ってやる」
「家って…」
まさかね…と思うけど、連れていき何かされるんじゃないかと不安がよぎった。
全く何も知らない人だから…。
私は『家』とはどんな場所かを聞いてみた。
「あの…家ってどんな家なんですか?」
「なんだ?家といったら王宮に決まってるだろ?俺を誰だと思ってる、第一王子だぞ」
「はぁ…そうですか」
「とにかく、もうすぐ日が落ち始める。暗くなる前に行くぞ」
私から手綱を取り、ひらりと馬に跨り、そんな様子を
私は見上げた。
「あ、あの…私は?」
『本当に自分勝手だよな、このクソ王子は。待ってな』
馬は前足を折り、私が乗りやすい姿勢を取った。
クロウさんとは対照的に紳士な対応を見せる馬に私は、ふふっと笑った。
「なに笑ってる?早く乗れ」
「はいはい」
乗りやすくなった馬に私は跨がり、クロウさんがいう『王宮』を目指すことにした。
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