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1000年の命を持つ魔女としてこの地に生まれてから、随分と時間が経ったようだ。

同胞は既に、魔女狩りによって全滅した。親も友人も私には誰一人として残っていない。

最後の生き残りの友人が十字架のもとで散ったとき、私は人間の前に絶対に姿を表さない事を決心した。

友人の分まで生きなければと、そんな焦燥感に駆られたのだ。

それからというもの私は森の奥深くで自分の屋敷を守りながら生きてきた。

自給自足の生活。けれど特に困ったことなどなく過ごせていた。

魔法があれば大抵どうにかなるし、暇な時間は大好きな森を散歩して、魔法薬の材料に目ぼしいものを持って帰れる。

ここでは何をしても、何を取っても誰も文句を言わない。そうやって自分なりにこの生活を謳歌していた。

けれどずっと一人ぼっちだったわけではない。

日課の森の探索中に見つけた、捨て子に小さな男の子を気まぐれに拾ってから、私の生活は常に人間とともにあるものになったのだ。

久しぶりに誰かと過ごす日々はとても充実したものだった。

ただ、やはり他人を気にしながらの生活は慣れていなくて、厄介事が起きてしまうことも何度かあったが。

当初、子供は怯えた様子で部屋の片隅で震えていた。

だが本来は破天荒な性格の持ち主だったようで、私に心を開いてからの暴れぶりがすごかった。

それこそ初めの怯えぶりが嘘であったかのようだった。


あれから15年。


小さな子供だったあの子は今ではすっかり大人になって背丈もいつの間にか抜かされていたし、体つきも男らしくなった。

出会った時点での年齢はわからないが、もう立派な大人の男性の仲間入りをしたと言えるだろう。

そう思って、何度か人里に下りて人間社会に戻ることを薦めたのだが、何故か私に懐いてくれた彼は今もこの屋敷で小間使いとして動き回っている。

彼とそばにいれることは嬉しいいが、本人の幸せを考えるとどうにも複雑な気持ちである。

今のところここを出るつもりは無いらしく、日々穏やかな生活を過ごしている。


そして今日は森の散策に付き添ってくれる予定───のはずだった。



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