生活のために、バイト(本業)始めました。

桜月(さくる)

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第9話 林間学校スタート!!

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必死に準備をした翌朝、私は眠い目を擦りながらベットから体を起こす。

「んーはぁー…」

昨日の準備の疲れが残っているだるい体を動かす。ある程度身支度を済ませたら朝ごはんだ。

「たまにはしっかり食べないとなー」

そう言いつつ冷蔵庫を開けるが、案の定ほとんど空っぽだ。

(あー…なんもない…w)

「しゃーない、食パンでいいや!」

気を取り直して食パンを焼き始める。何となくいつもの流れでテレビをつけるといつものニュース番組がまたabilityのことを取り上げていた。

「はい!今週の特集も!『ability』です!2期放送も大好評!いや~すごい人気ですねぇーなかなか人気が衰えない!」
「ここまで人気が衰えないアニメも珍しいですねぇー」
「ちょっとぉーそんなこと言ったら他のアニメの人気が衰えたみたいじゃないですか…」
「あー、ごめんなさいwそゆー意味で言ったんじゃないんですけどね」

(あー、これは文句くるだろうなぁーw)

ニュースを見ながらそんなことを思っているとニュースの定時アナウンスが流れる。

♪~「おはようございます。時刻は7時になりました!さて!今日はエンタメニュースから見ていきましょう。今週のエンタメトップは?…」
「あ、もう7時か準備しないと」

立ち上がり準備を始める。と言っても準備するものは水筒くらいだ。お弁当も今日はいらないので案外すぐに準備が終わった。

(少し早いけどもう出ようかな~)

予定より少し早いが家を出ることにした。重そうに見えて案外軽い荷物を持って家を出る。

(行事の日にかぎって早く出る人多いよねぇ~)

そんなことを思いながら家を出たが大荷物のせいか結局予定していた電車に乗ることとなった。


~学校到着~

集合場所である学校の体育館に入るとほとんどの人が集合完了していた。私は遅い方らしい。

(さすが行事の日、みんな早く来るよねぇーw)

少し笑いながら自分のクラスの列へと向かう。その時後ろから声をかけられた。私は振り返りながら返事をする。

「おはよー咲槻さつき
「あ、おはよー美里みさと

美里は林間学校で使う体育館用のシューズを教室に取りに行っていたみたいだ。ついでに私のシューズも取ってきてくれたらしい。

「もー相変わらずギリギリに来るんだからぁ~ほい、どーせギリギリに来るだろうと思ってついでに取ってきたよ、感謝しなさーい」
「はいはいありがとう。もうほとんどついてるもんだから中入ってビックリしちゃったわ」
「あー、確かにw私がきた時にはもうほとんど来てたよ」
「さすが行事の日はみんなやる気がちがうね」

差し出された袋に入ったシューズを受け取りながら再びクラスの列に向かって美里と歩き始めた。列に入るとすぐに学年主任が前に立って各クラスに点呼するように指示し始めた。思っていたよりもギリギリに私は到着したらしい。美里がシューズを取っていてくれなかったら間に合っていなかった。

「はーいじゃあ全員静かにー」

そこからしばらくして全員が揃ったようで学年主任が全体に話を始める。

「今から荷物検査をしてそのあとクラスごとにバスに乗って行きます。バスの席順に関しては担任から指示があると思いまーす。んじゃ早速荷物検査始めるから~…」

それぞれの担任が各クラスの列の前に立ち前から順に荷物をチェックしていく。美里と悠利ゆうりと私は出席番号が並んでいるので自然と喋り始める。

「2人とも並ぶのギリギリだったな」
「はぁ?私はもっと早く来てましたぁーシューズ取りに言ってただけですぅー」
「ついでに私のも取ってきてくれたしね」
「へぇー?あ、そーいえばさ昨日の…」

美里と悠利はいつも喧嘩ごしで話をするが、なんだかんだ仲がいい。私はこの2人が涼太りょうたさんと汐梛しなさんのように見えて仕方がない。

「ねぇねぇ、今日どんなお菓子持ってきたの?」
「あー、俺はなぁーもう出そうぜこれ。どーせ検査されるし」
「だね、ついでだしだそーか」
「よし!じゃあせーので出そう!」
「「せーのっ!」」

入学から数ヶ月過ごして分かったことだが、この学校は校則やその他の細かい学校のルールがゆるい。挙句の果てには林間学校が若干遠足のようになっている。その証拠にしおりの準備物のページの下の方には、「お菓子 1,000円まで」と書いてあったのだ。

ガサッ

三人でそれぞれお菓子の入った袋をひっくり返す。中身は三者三様と言った感じで全然違うそれぞれ気になったものを手に取り質問をする。

「あー!これ私も買おうかまよった!」
「そうなの?部屋同じだし一緒に食べる?」
「食べる!食べる!」
「あ、咲槻お前のお菓子チョコばっかじゃんw」
「いや、ちゃんとポテチもあるもん」
「そう言う悠利だってスナック菓子ばっかでしょー」
「そう言う美里だってクッキーばっかじゃねーか」

そんな風に話していると担任の浜風はまかぜ先生が来た。荷物点検の順番が回ってきたようだ。

「おーお前ら仲良く喋ってるのは結構だが荷物点検するからカバン開けろー」
「「はーい」」(三人同時)

私達がカバンのチャックを開けると浜風先生はしゃがみ、中をチェックし始める。(←ちなみに女子のカバンの中身は女の先生がチェックしてくれてます)確認が終わるのを待っていると先に点検が終わった翔奏かなたが私達に声をかける。

「おー、おはようー」
「あ、おはよ!翔奏」
「おはよー」
「おっ!翔奏おはよ!いいのか?さっき前の方で喋ってた女子達」
「え?あー、多分…大丈夫…w今はみんな荷物点検中だし、こっちには来ないと思う」
「おいおい、そんなんじゃいつか女子に恨まれて腹刺されんぞーw」
「気をつけるってーw」

翔奏と悠利が冗談を言い合う。その様子を呆れた様子で見る美里と少し笑いながら見る私を交互に見つつ、いつの間にか点検が終わっていた浜風先生が立ち上がる。

「お前ら仲良くおしゃべりするのはいいが、そろそろ点検終わるからそれぞれの場所に戻っとけよ」
「はーい」(4人同時)

浜風先生はそう言って次の人へと向かった。それと同時ぐらいで翔奏が自分の場所に帰っていく。それを見送っていると、トントンと肩を叩かれた。振り返ると美里がある方向を指さしている。

「見て、あそこ碧のいる方」
「え?」

言われた方向を見るとなぜか羨ましそうにこっちを見る碧の姿があった。

「あー、あれは俺らが喋ってたのが羨ましかったんだろ。碧の近くに仲いいヤツいねぇからなぁー」
「へぇー、そーゆー嫉妬?みたいなことするんだね、碧」
「昔からあんな感じだよ?手ー振ってみ、満面の笑みで振り返してくるから」

言われた通りに手を振ってみると、美里が言った通り満面の笑みで手を振り返してきた。なんだか犬みたいだなと思いつつ手を振っていると先生たちの荷物点検が終わったらしく再び学年主任が前に立った。

「はい!それではいよいよバスに乗って移動して行きます。各クラス担任の先生の指示に従ってバスに乗り込んでいってくださーい!」

学年主任の話が終わると、一斉に担任の指示が飛び交う。生徒たちがその指示に従ってバスに乗っていく。私たちのクラスは活動班で固まって座ることになった。


~バス移動中~


「いやぁーまさか同じ班だったとは」
「はぁ?これは間違いなく先生がわざとしたのよ。あんた達にときめかない女子を活動班に入れたのよ!」

活動班で固まれとを言われてから私と美里はしおりを見て活動班を確認すると私、美里、翔奏、悠利、碧は活動班が同じだった。なので、1番後ろの1列に5人で座ることにした。席に着くと何故か美里がご立腹の様子だ。

「まぁまぁ、そんなに怒らなくてもいいんじゃない?いつものメンバーでやりやすいし」
「そうそう!こーゆーのは仲良い人との方が楽しいでしょ?」

私と碧が美里をなだめても美里は怒り続ける。

「だって!このメンバーになったら絶対!ぜぇーったい女子に睨まれるじゃん!ただでさえココ最近大変だったのにぃー」
「まぁ、大変だったのは否定しないけど…」

私がどう説得しようか悩んでいると、碧の横に座っている翔奏が覗き込みながら言った。

「いいじゃねーか、楽しいのが1番だろ。なんか言って来るやつがいたら俺らが何とかするし」
「おい、強制的に俺らも参加させんなよ女子なだめんのはお前の仕事だろ」
「そこを何とか…碧は手伝ってくれるだろ?」

わがままを言う子供のような目をしながら翔奏が碧の方を見る。見られた碧は意地悪な顔をしながら言った。

「え~?どーしよっかなぁー?」
「おい!そこは手伝ってやるよってゆうとこだろーがw」
「「あっははは」」

やり取りがアホらしくてついつい全員笑ってしまう。いつものノリだ。笑い終えると美里がさっきまで怒っていたのが嘘のようにこう言った。

「あーもう、怒ってた私がバカみたいじゃない。ま、何かあっても守ってくれるって言うなら問題ないか!楽しい方が絶対いいし!ね!咲槻!」
「え?うん、いや、私は最初からそう言ってたんだけど」

私が少し呆れ気味に答える。話を聞いているのかいないか美里は悠利と話し始める。

「言ったからにはちゃんと守ってよね!男子ども!」
「しゃーねーな、何かあったらすぐ言えよ守ってやるから」
「あら?珍しくかっこいいこと言っちゃって何?w」
「はぁ!?」

悠利と美里が話すのを見てやはり汐梛さんと涼太さんが頭に浮かぶ。そうこうしている内にバスは目的地に到着した。浜風先生がバスのマイクで話し始める。

「はい、じゃあバスが止まったら前から順番に降りてってー降りたらまず集合写真とるからカメラの前に集まってくださーい。委員長点呼頼んだー」
「「わかりましたー」」(綾風奈希あやかぜなの+翔奏同時)

少ししてバスが止まると浜風先生から合図があり、前から順番にバスから降りる。委員長の仕事をするため翔奏は先に降りていった。私たちは1番最後に降りた。

「やーっと着いたねー咲槻」
「そーだね、ずっと座ってるのって意外としんどいね」
「ねー、おっ!結構建物大きい!部屋がどうなってるのか楽しみぃ~」

バスを降りてまず見えてくるのは大きめの私立学校のような外観の建物。学校の校舎なら教室があるべき場所にはおそらく寝泊まりする部屋があるのだろう。

「え、夜、部屋でなんかするの?」
「はぁ!?お泊まりの日の夜は女子会で決まりでしょ!わかってないなぁー咲槻はぁー」
「えー、私寝たいわ」
「あんたらしいな~もー」

私にはその辺の常識がない、というか今までそれをしてこなったのだから仕方がない。何故かって?それはまぁ…色々だ。

「はーい、んじゃテキトーに3列くらいに並んでくれーあ、背高い奴は後ろなー」

浜風先生の指示を受けてテキトーに仲の良いメンツと近くに並び始める。1部の女子は翔奏や悠利の方へ集まってたりしてたけど…私と美里も適度な位置に並んだ。

「では、カメラマンさんお願いします。」
「はい、あ、そこの端の子もうちょっとよって~」

カメラマンが位置の微調整をしていく。全員がカメラに入ってなおかつ後ろの石碑がいい感じに入るようにしているらしい。

「はい!では撮りマース!はいチーズっ!…もう1枚行きマース」

何枚か写真を撮るシャッター音がする。

「OKでーす」
「ありがとうございます。よし!じゃあ各自部屋のメンバーで一緒に中の先生方の指示に従って荷物置いて来てー荷物置いたら体育館集合なぁー」
「「はーい」」(クラスみんな)

カメラマンが終わりの声を出すと、浜風先生の指示が出る。返事をしたあとクラス全員動き出す。

心結ここなちゃんと瑞希みずきちゃん探さないとね」
「そーねーこの辺私たちのクラスしかいないからすぐ見つかると思うけど…」

そう言って美里が周りを見渡す。

「あ!いたいた」
「よし!じゃあいこーか!」

黒川くろかわ瑞希の合図で歩き出す。

~部屋到着~

「着いたー」

部屋は2段ベットが2つあり、奥の方に少し畳があって座れるようになっていた。そこまで広くはない。

「どこで寝る?私落ちそうで怖いから下がいいなぁー」
「じゃあ私その上で寝るよ、それでい?」
「いいよー」
「うん、大丈夫」

黒川瑞希と倉本くらもと心結が会話する。必然的に私達はもう1つの2段ベットの上下になった。それからそれぞれの荷物を適当に置き、準備が終わったので部屋から出て体育館に向かう。

「いよいよ始まるねぇーまずはなんだっけ…山登りか!」
「しんどいかなぁー、私体力に自信ないから…」
「大丈夫!私がちゃーんとついててあげるから!」

美里と瑞希ちゃん、心結ちゃんの会話を聴きながら私はしおりのスケジュール表を思い返す。1日目はこの後施設の説明や部屋の注意事項、山登りの詳しい説明が行われる。その後は先に軽く昼ごはんだ。昼ごはんの後はもう一度体育館に集まってクラスごとに施設の裏側にある山に登り始める。今日の夜はBBQだ。楽しみ。
2日目は午前中は大縄、午後から球技大会その後表彰式って感じだ。

「BBQ楽しみだねぇーどんなお肉出てくるんだろぉ~」
「まぁ、高級なものではないだろうねw」
「咲槻~そんな夢のないこと言わないのー」
「あははは、まぁ、どーせほとんど男子に食べられちゃいそうだけどw」
「私はあんまり食べられないから、施設の人が出してくれるご飯じゃないのありがたいな」

4人で話しながら体育館へ向かう。


~体育館集合完了~


全員が体育館に集まったのを確認すると学年集会のように説明会が始まる。山登りに関しての説明も行われる。

「えー、続いては昼食後の山登りについてですが、専門のインストラクターに来ていただいていますので各クラス2名ずつ、ついてもらいます。では富成さんよろしくお願いします。」
「はい、先程ご紹介に預かりました富成と言います。半日ですけどよろしくお願いします。早速注意事項について説明していきたいと思います。」

説明が始まる。注意事項は要約するとインストラクターの歩いた道から大きくそれないこと、遅れないようについてくること、体調が悪くなったらすぐ言うこと、などなどごく普通の注意事項だった。

「はい!これで説明を終わります。」
「富成さんありがとうございました~、それでは昼ごはん食べましょうか。席はクラスの出席番号順に座ってねぇ~。A組から移動してくださーい」

その言葉とともにクラス順に移動が始まる。

その後何事もなく昼ごはんを食べ終わった私達は山へ向けて宿泊施設をあとにした。

「いやぁ~いよいよ本格的にはじまるね!林間学校!」
「そーだねぇ~」

施設の裏にある山へと向かう道中、美里とそんな会話を交わす。いよいよ林間学校が始まる。どんなことが待っているのだろうか、少しワクワクしている自分がいる。いつしか忘れていた気持ちを思い出したような感覚だった。
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