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17.水の神殿
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水の神殿はアトラティアにある水のエレメントスフィアを守る神殿だ。
真っ白い白亜の神殿からは水が流れておりとても神秘的な雰囲気を醸し出している。
内部に入るとマイナスイオンたっぷりの澄んだ空気に包まれる。
水の力が溢れるせいだ。
「オズです。スフィアの元に行かせて下さい。」
神殿の内部は奥へと続く一本道で大きな扉の先がスフィアのある部屋になっており扉の前には神殿騎士と呼ばれる護衛がいる。
各神殿に配属されている白亜の鎧を身に纏う騎士団だ。
俺はその門番に一枚のカードを見せて言った。
「これはこれはオズ様。
どうぞ、お通りください。」
そう言って扉の両脇にいた騎士団が同時に扉の左右の窪みに剣を差し込む。
「「《揺蕩う水の力よ剣に宿りて鍵を開け。》」」
2人が同時にそう言って剣を捻ると扉が開く。
この扉は神殿騎士のみが持つ特殊な剣でしか開かない仕組みだ。
神殿騎士の剣を奪っても神殿騎士しか使えない魔法で開ける物だから無理だし、その神殿毎に魔法も違う為他の神殿の騎士も開けられない。
この扉を開けるのはそれだけ大事なのだ。
「入るよ、アリス。」
俺が言うとアリスは静かに頷いて俺に続く。
内部は中央に透明な球体の物体が浮いており、その内部には水が巡っている。
そして、スフィアの上部から青い粒子が部屋に撒かれている。
「これが水のエレメントスフィア。」
「そうだよ。凄い力が伝わってくるだろう?」
「うん。肌がピリピリするよ。」
俺が言うとアリスがそう言って1歩後ろに下がった。
「さて、これは・・・」
俺がスフィアに触れる。
普通の人間なら触れただけで体内の魔力が飽和を軽く通り越して魔力過多で死に至るだろう。
創世龍や神龍にしか出来ない芸当だ。
「《創世龍オズの名の元に命ずる。
水の力を封じしスフィアよ、その力を閉ざし今一度眠りにつけ。
鍵は今ここに閉じられる。》」
俺が唱えるとスフィアから出る粒子の量が少なくなる。
触れたときに溢れる魔力が許容を越えているのがすぐにわかった。
スフィアの力には鍵が掛けられている。
それを誰かが開けたのだ。
だから、それを閉じた。
これで元通りに戻るはずだ。
まぁ、多少は時間がかかるけどね。
「凄い。肌のピリピリが和らいでいくよ。」
アリスがそう言って俺に近づく。
すると、俺の貸したコートの両袖から黒い龍の頭の付いた楔が出てきてアリスを守るように前に出た。
楔の継ぎ目と眼は爛々と紅い輝きを放っている。
「うわっ!?なにこれ!?」
「龍頭外套と呼ばれる魔法のコートでね。
所有者に身の危険を感じるとそうして守ってくれるんだ。
ま、俺が着てても俺に危険なんてないから滅多に出ないけどね。」
俺が言った。
これはあくまでも所有者の実力を見てそれに合わせて危険の度合いを判断する。
つまり、俺の場合危険でないから俺がここで着ていても出なかっただろう。
が、アリスにとってはこれ以上近づくと危険だから出てきたのだろう。
「へぇ、凄いんだね。」
「まぁ、自分から出すことも出来るから一応は武器に分類されるかな。
袖を通すなと言ったのはそれが理由さ。」
俺が言うとアリスはそうっと袖から出てきた龍の頭に触れる。
「鉄みたい?」
「まぁ、そう感じるよね。
正確には楔龍って言う種族の龍さ。
楔の様な体を持つ龍でね。
魔力で自身の長さを自由に変えられるんだ。
そいつをコートに隠してるってわけ。」
俺が言うとアリスは興味津々に龍を見つめた。
「凄いねぇ。
こんな龍もいるんだ。」
アリスはコート気に入った様子だ。
「さて、長居は良くないし早く出てしまおう。」
俺がそう言ってアリスと共に外へ出る。
真っ白い白亜の神殿からは水が流れておりとても神秘的な雰囲気を醸し出している。
内部に入るとマイナスイオンたっぷりの澄んだ空気に包まれる。
水の力が溢れるせいだ。
「オズです。スフィアの元に行かせて下さい。」
神殿の内部は奥へと続く一本道で大きな扉の先がスフィアのある部屋になっており扉の前には神殿騎士と呼ばれる護衛がいる。
各神殿に配属されている白亜の鎧を身に纏う騎士団だ。
俺はその門番に一枚のカードを見せて言った。
「これはこれはオズ様。
どうぞ、お通りください。」
そう言って扉の両脇にいた騎士団が同時に扉の左右の窪みに剣を差し込む。
「「《揺蕩う水の力よ剣に宿りて鍵を開け。》」」
2人が同時にそう言って剣を捻ると扉が開く。
この扉は神殿騎士のみが持つ特殊な剣でしか開かない仕組みだ。
神殿騎士の剣を奪っても神殿騎士しか使えない魔法で開ける物だから無理だし、その神殿毎に魔法も違う為他の神殿の騎士も開けられない。
この扉を開けるのはそれだけ大事なのだ。
「入るよ、アリス。」
俺が言うとアリスは静かに頷いて俺に続く。
内部は中央に透明な球体の物体が浮いており、その内部には水が巡っている。
そして、スフィアの上部から青い粒子が部屋に撒かれている。
「これが水のエレメントスフィア。」
「そうだよ。凄い力が伝わってくるだろう?」
「うん。肌がピリピリするよ。」
俺が言うとアリスがそう言って1歩後ろに下がった。
「さて、これは・・・」
俺がスフィアに触れる。
普通の人間なら触れただけで体内の魔力が飽和を軽く通り越して魔力過多で死に至るだろう。
創世龍や神龍にしか出来ない芸当だ。
「《創世龍オズの名の元に命ずる。
水の力を封じしスフィアよ、その力を閉ざし今一度眠りにつけ。
鍵は今ここに閉じられる。》」
俺が唱えるとスフィアから出る粒子の量が少なくなる。
触れたときに溢れる魔力が許容を越えているのがすぐにわかった。
スフィアの力には鍵が掛けられている。
それを誰かが開けたのだ。
だから、それを閉じた。
これで元通りに戻るはずだ。
まぁ、多少は時間がかかるけどね。
「凄い。肌のピリピリが和らいでいくよ。」
アリスがそう言って俺に近づく。
すると、俺の貸したコートの両袖から黒い龍の頭の付いた楔が出てきてアリスを守るように前に出た。
楔の継ぎ目と眼は爛々と紅い輝きを放っている。
「うわっ!?なにこれ!?」
「龍頭外套と呼ばれる魔法のコートでね。
所有者に身の危険を感じるとそうして守ってくれるんだ。
ま、俺が着てても俺に危険なんてないから滅多に出ないけどね。」
俺が言った。
これはあくまでも所有者の実力を見てそれに合わせて危険の度合いを判断する。
つまり、俺の場合危険でないから俺がここで着ていても出なかっただろう。
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「へぇ、凄いんだね。」
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「鉄みたい?」
「まぁ、そう感じるよね。
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魔力で自身の長さを自由に変えられるんだ。
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「凄いねぇ。
こんな龍もいるんだ。」
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「さて、長居は良くないし早く出てしまおう。」
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