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6.噂話
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俺はアリスのセカンドリミットを解放した後近場の街で休む事にして今は帝国との国境にある街、『アスファルス』の宿に泊まっている。
「本当に良かったのかい?同じ部屋で。」
「うん。2部屋もなんてお金かかるしスラム街ではそこら辺の水道とか井戸水で裸になって体洗ってたしで人前で脱ぐのは慣れてるし。
それに、オズさんは私を襲うなんて事する人じゃないでしょ?」
この短期間で随分と信頼してくれている様だ。
やはり、両親のクラスを手に入れる事が出来たのが相当嬉しかったのだろう。
「まぁ、信頼して貰えているなら嬉しいよ。
だけど、できれば呼び捨てが良いかな。
共に旅をする仲間だろ?」
俺が言うとアリスが少し悩んで頷いた。
「オズがそう言うなら、そうするね。」
アリスはふふっと微笑むと2振りの短剣をベッドの脇にある棚に置いた。
それを確認して部屋を出ると1階にある食堂へ向かう。
この宿は一階が食堂になっている為便利で良い。
「ねぇ、クラスタルって沢山あるの?」
アリスが食事をしながら聞いてきた。
アリスが聞きたいのは同じクラスタルが幾つかあるかどうかだろう。
「そうだね。俺の作り出したオリジナルは1つだけさ。
けれど、それを模倣したコピーは沢山ある。
俺でも数えられない程沢山だ。
それこそ、物によっては店売りさえしている消耗品の様な感覚の物もあるね。」
俺が言った。
俺が作り出したクラスタルと違いがほぼ無い精巧な物まで出回っている始末だ。
「お母さん達が持ってたのも偽物なのかな。」
アリスが言った。
世界に1つだと思っていたアリスにとっては残念なのだろう。
「どうだろうね。
暗殺者も魔剣士も元は魔族に与えたクラスタルだし、2つとも数も少ない。
あまり複製は進んでいない様なんだ。
だからもしかしたらオリジナルかもね。」
俺がそう言って微笑む。
「そっか、なら、良いな。」
アリスが言った。
「なぁ、聞いたかよ。皇帝陛下が王国に戦争おこすつもりらしいぜ。」
「なんでまた・・・って奴隷か。
皇帝陛下は奴隷制度撲滅を掲げてるもんな。」
隣の席から聞こえてきた。
奴隷か。
確か西大陸で一番盛んなのはヒューゼル王国だ。
そして、アーヴァス帝国の皇帝は奴隷制度撲滅を掲げていると聞く。
それで戦争か。
「けどよ、皇帝陛下は手を出さないんだろ?」
「たりめぇだろ。
王国には大賢者様がいるだろうが。
大賢者様相手じゃ手も足もでねぇよ。」
「いくら皇帝陛下でもさすがに大賢者様には勝てないか。」
良くないとわかっていてもつい隣の席の話に聞き耳をたててしまう。
「オズ、大賢者って王国の頭脳って言われてる宰相だよね?
そんなに凄いの?」
「昔の話さ。
数十年前戦争があった時、大賢者の立案した作戦により無血投降させたんだよ。
完璧な作戦で全てが大賢者の手の平の上だったんだ。
大賢者は相手の言動全てを予測して作戦を立案した。
それが見事にあたったんだ。」
俺が言った。
懐かしい話だ。
「そんなに凄い人なんだ。
やっぱりおじいちゃんなのかな?
杖とか持っててふぉっふぉっふぉって。」
「どうだろうね。案外その辺にいそうな感じかも知れないよ。」
俺はそう言いながら次の目的地を皇帝陛下のいるアーヴァス帝国の帝都『アルヴァ』に決めた。
「本当に良かったのかい?同じ部屋で。」
「うん。2部屋もなんてお金かかるしスラム街ではそこら辺の水道とか井戸水で裸になって体洗ってたしで人前で脱ぐのは慣れてるし。
それに、オズさんは私を襲うなんて事する人じゃないでしょ?」
この短期間で随分と信頼してくれている様だ。
やはり、両親のクラスを手に入れる事が出来たのが相当嬉しかったのだろう。
「まぁ、信頼して貰えているなら嬉しいよ。
だけど、できれば呼び捨てが良いかな。
共に旅をする仲間だろ?」
俺が言うとアリスが少し悩んで頷いた。
「オズがそう言うなら、そうするね。」
アリスはふふっと微笑むと2振りの短剣をベッドの脇にある棚に置いた。
それを確認して部屋を出ると1階にある食堂へ向かう。
この宿は一階が食堂になっている為便利で良い。
「ねぇ、クラスタルって沢山あるの?」
アリスが食事をしながら聞いてきた。
アリスが聞きたいのは同じクラスタルが幾つかあるかどうかだろう。
「そうだね。俺の作り出したオリジナルは1つだけさ。
けれど、それを模倣したコピーは沢山ある。
俺でも数えられない程沢山だ。
それこそ、物によっては店売りさえしている消耗品の様な感覚の物もあるね。」
俺が言った。
俺が作り出したクラスタルと違いがほぼ無い精巧な物まで出回っている始末だ。
「お母さん達が持ってたのも偽物なのかな。」
アリスが言った。
世界に1つだと思っていたアリスにとっては残念なのだろう。
「どうだろうね。
暗殺者も魔剣士も元は魔族に与えたクラスタルだし、2つとも数も少ない。
あまり複製は進んでいない様なんだ。
だからもしかしたらオリジナルかもね。」
俺がそう言って微笑む。
「そっか、なら、良いな。」
アリスが言った。
「なぁ、聞いたかよ。皇帝陛下が王国に戦争おこすつもりらしいぜ。」
「なんでまた・・・って奴隷か。
皇帝陛下は奴隷制度撲滅を掲げてるもんな。」
隣の席から聞こえてきた。
奴隷か。
確か西大陸で一番盛んなのはヒューゼル王国だ。
そして、アーヴァス帝国の皇帝は奴隷制度撲滅を掲げていると聞く。
それで戦争か。
「けどよ、皇帝陛下は手を出さないんだろ?」
「たりめぇだろ。
王国には大賢者様がいるだろうが。
大賢者様相手じゃ手も足もでねぇよ。」
「いくら皇帝陛下でもさすがに大賢者様には勝てないか。」
良くないとわかっていてもつい隣の席の話に聞き耳をたててしまう。
「オズ、大賢者って王国の頭脳って言われてる宰相だよね?
そんなに凄いの?」
「昔の話さ。
数十年前戦争があった時、大賢者の立案した作戦により無血投降させたんだよ。
完璧な作戦で全てが大賢者の手の平の上だったんだ。
大賢者は相手の言動全てを予測して作戦を立案した。
それが見事にあたったんだ。」
俺が言った。
懐かしい話だ。
「そんなに凄い人なんだ。
やっぱりおじいちゃんなのかな?
杖とか持っててふぉっふぉっふぉって。」
「どうだろうね。案外その辺にいそうな感じかも知れないよ。」
俺はそう言いながら次の目的地を皇帝陛下のいるアーヴァス帝国の帝都『アルヴァ』に決めた。
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