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4.オズ
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「そう言えば、両親は戦争でって言ったね。
それはもしかしてアーヴァス帝国とリリア聖教皇国でおこった戦争かな?」
俺が聞いた。
どちらもこの国の隣国だ。
結果は帝国の圧勝だったらしいが吹っ掛けてきたのは意外にもリリア聖教皇国らしい。
「うん。私の両親は帝国の軍人だったの。
クラスタルってアイテム知ってる?
持ってるだけでね、そのクラスになれるんだよ。
私のお父さんは魔剣士のクラスタルを持ってて、お母さんは暗殺者のクラスタルを持ってた。
だからかな、皇国の将軍に殺されて、クラスタルは皇国に奪われたんだ。」
少女が悲しそうに言う。
そうか、クラスタル所持者か。
クラスタルとは先程少女が説明した通りあらゆるクラスの知識や技術が詰め込まれたクリスタルだ。
魔力を込めることで力を発揮し、使用者にそのクラスの全てのスキルや知識を授けてくれる。
と言っても、授けられるのは段階的だ。
クリスタルの力をどれだけ引き出せるかにより、どの程度まで引き出せるかは変わってしまう。
言うなれば、弱い人がいきなり最強になんてのは無理なのだ。
ある程度の実力が無ければ完全にその力を発揮は出来ない。
それでも、持ってると持ってないとでは雲泥の差だが。
でも、こんな偶然はあるだろうか。
俺はそのクラスタルについて他の人よりも詳しい。
「魔剣士と暗殺者か。
君はそのどちらかになりたいのかい?」
俺が聞くと少し悩む。
「なれると、思ってた。
その為に短剣の剣術をお母さんから学んだから。
けど、それは叶わなかった。」
少女が悲しそうに言った。
「そうか、物は試しだけどここに暗殺者のクラスタルがあるんだ。
俺と契約しないかい?
俺は君にクラスタルを与える。
君は俺と旅をする。
どうかな?」
俺が言うと怪しむような顔で俺を見た。
まぁ、皇国に奪われたクラスタルが手元にあったらそうなるか。
「君はクラスタルがどうやって出来たか知っているかい?」
「創世龍が人々に与えたのが始まりだって。その時の実力者に与えた正義の力だって。」
少女が言った。
スラム街に来る前は学校にも通っていたのだろう。
かなり博識だ。
「あぁ、創世龍はクラスタルを作り出してそれを人々に与えた。
この世界をより豊かにするために。
しかし、創世龍の考えは浅はかだった。
力を得た人間達は争いを起こした。
創世龍の望んだ平和とは一番遠い、戦乱の世になった。
そしてその戦乱の中、1人のクラスタル所持者がいた。
『龍騎士』のクラスタル所持者だ。
彼はあろうことか創世龍を殺し、創世龍が持っていたクラスタル全てを奪おうとした。
寝込みを襲われた創世龍は命さながら逃げ延びたがクラスタルは龍騎士の男により世界中にばら蒔かれた。
そうして、今の世の中が出来上がったんだ。
様々なクラスで溢れ、簡単にクラスを取得できるこの世界にね。」
俺が言った。
とても懐かしい話だ。
「詳しいんだね。」
「まぁ、これでも大賢者と呼ばれているからね。
知識だけは誰にも負けないつもりさ。
それに、自分の体験と言うものは忘れ難い物さ。」
俺が言った。
「自分のした体験?」
俺の言葉に少女が疑問を覚える。
「あなたは、何者?普通の人じゃ無いの?」
少女が俺を見て言った。
「そういえば自己紹介がまだだったね。
俺はオズ・ウィズリー。
今はそう名乗っているよ。
クラスは『創世者』。
クラスタルを作るのが仕事、かな?」
俺がそう言って微笑む。
創世者と言うクラスは唯一、クラスタルに出来ないクラスだ。
理由は簡単。
創世龍しか扱えないクラスだからだ。
出来る事はクラスタルの作成と複製、そして肉体覚醒。
「あなたは、創世龍なの?」
「惜しいね。
正確には創世龍とは違う。
言うなれば、2代目創世龍って感じかな。
創世龍は死ぬ時に己の記憶を受け継いだ子の卵を産んで死ぬ。
そして、その卵から産まれたのが俺って訳だ。」
俺がそう言って微笑む。
まさかすぐ隣に座る男がそんな存在だなんて知るよしも無い。
いきなりの事で驚き、開いた口が塞がらないとはこの事だ。
「あなたは、何故こんな所にいるの?」
「簡単な話だよ。
この世界を見届ける為さ。
先代は何故クラスタルを作り出したのか。
その謎を解き明かしたいんだ。
実は記憶の一部が欠落していてね。
クラスタルを作成したのは間違いないんだけど、何故作成したのかが良くわからないんだ。
この世界をより豊かにするためと言うのはわかっているけど具体的な物はわからない。
それを探す為にも旅をしているんだ。」
俺がそう言って立ち上がる。
「もう一度聞こう。
俺と一緒に悠々自適な旅でもしないかい?
少なくとも衣食住は保証するよ。」
俺がそう言って手を伸ばす。
すると、少女はその手をとって立ち上がった。
「これからよろしく。えっと、」
「アリス。
家名は無いよ。両親が死んで、私は家から出てるからね。」
アリスは言った。
「これからよろしく、アリス。」
俺はそう言ってアリスと共に国を出た。
それはもしかしてアーヴァス帝国とリリア聖教皇国でおこった戦争かな?」
俺が聞いた。
どちらもこの国の隣国だ。
結果は帝国の圧勝だったらしいが吹っ掛けてきたのは意外にもリリア聖教皇国らしい。
「うん。私の両親は帝国の軍人だったの。
クラスタルってアイテム知ってる?
持ってるだけでね、そのクラスになれるんだよ。
私のお父さんは魔剣士のクラスタルを持ってて、お母さんは暗殺者のクラスタルを持ってた。
だからかな、皇国の将軍に殺されて、クラスタルは皇国に奪われたんだ。」
少女が悲しそうに言う。
そうか、クラスタル所持者か。
クラスタルとは先程少女が説明した通りあらゆるクラスの知識や技術が詰め込まれたクリスタルだ。
魔力を込めることで力を発揮し、使用者にそのクラスの全てのスキルや知識を授けてくれる。
と言っても、授けられるのは段階的だ。
クリスタルの力をどれだけ引き出せるかにより、どの程度まで引き出せるかは変わってしまう。
言うなれば、弱い人がいきなり最強になんてのは無理なのだ。
ある程度の実力が無ければ完全にその力を発揮は出来ない。
それでも、持ってると持ってないとでは雲泥の差だが。
でも、こんな偶然はあるだろうか。
俺はそのクラスタルについて他の人よりも詳しい。
「魔剣士と暗殺者か。
君はそのどちらかになりたいのかい?」
俺が聞くと少し悩む。
「なれると、思ってた。
その為に短剣の剣術をお母さんから学んだから。
けど、それは叶わなかった。」
少女が悲しそうに言った。
「そうか、物は試しだけどここに暗殺者のクラスタルがあるんだ。
俺と契約しないかい?
俺は君にクラスタルを与える。
君は俺と旅をする。
どうかな?」
俺が言うと怪しむような顔で俺を見た。
まぁ、皇国に奪われたクラスタルが手元にあったらそうなるか。
「君はクラスタルがどうやって出来たか知っているかい?」
「創世龍が人々に与えたのが始まりだって。その時の実力者に与えた正義の力だって。」
少女が言った。
スラム街に来る前は学校にも通っていたのだろう。
かなり博識だ。
「あぁ、創世龍はクラスタルを作り出してそれを人々に与えた。
この世界をより豊かにするために。
しかし、創世龍の考えは浅はかだった。
力を得た人間達は争いを起こした。
創世龍の望んだ平和とは一番遠い、戦乱の世になった。
そしてその戦乱の中、1人のクラスタル所持者がいた。
『龍騎士』のクラスタル所持者だ。
彼はあろうことか創世龍を殺し、創世龍が持っていたクラスタル全てを奪おうとした。
寝込みを襲われた創世龍は命さながら逃げ延びたがクラスタルは龍騎士の男により世界中にばら蒔かれた。
そうして、今の世の中が出来上がったんだ。
様々なクラスで溢れ、簡単にクラスを取得できるこの世界にね。」
俺が言った。
とても懐かしい話だ。
「詳しいんだね。」
「まぁ、これでも大賢者と呼ばれているからね。
知識だけは誰にも負けないつもりさ。
それに、自分の体験と言うものは忘れ難い物さ。」
俺が言った。
「自分のした体験?」
俺の言葉に少女が疑問を覚える。
「あなたは、何者?普通の人じゃ無いの?」
少女が俺を見て言った。
「そういえば自己紹介がまだだったね。
俺はオズ・ウィズリー。
今はそう名乗っているよ。
クラスは『創世者』。
クラスタルを作るのが仕事、かな?」
俺がそう言って微笑む。
創世者と言うクラスは唯一、クラスタルに出来ないクラスだ。
理由は簡単。
創世龍しか扱えないクラスだからだ。
出来る事はクラスタルの作成と複製、そして肉体覚醒。
「あなたは、創世龍なの?」
「惜しいね。
正確には創世龍とは違う。
言うなれば、2代目創世龍って感じかな。
創世龍は死ぬ時に己の記憶を受け継いだ子の卵を産んで死ぬ。
そして、その卵から産まれたのが俺って訳だ。」
俺がそう言って微笑む。
まさかすぐ隣に座る男がそんな存在だなんて知るよしも無い。
いきなりの事で驚き、開いた口が塞がらないとはこの事だ。
「あなたは、何故こんな所にいるの?」
「簡単な話だよ。
この世界を見届ける為さ。
先代は何故クラスタルを作り出したのか。
その謎を解き明かしたいんだ。
実は記憶の一部が欠落していてね。
クラスタルを作成したのは間違いないんだけど、何故作成したのかが良くわからないんだ。
この世界をより豊かにするためと言うのはわかっているけど具体的な物はわからない。
それを探す為にも旅をしているんだ。」
俺がそう言って立ち上がる。
「もう一度聞こう。
俺と一緒に悠々自適な旅でもしないかい?
少なくとも衣食住は保証するよ。」
俺がそう言って手を伸ばす。
すると、少女はその手をとって立ち上がった。
「これからよろしく。えっと、」
「アリス。
家名は無いよ。両親が死んで、私は家から出てるからね。」
アリスは言った。
「これからよろしく、アリス。」
俺はそう言ってアリスと共に国を出た。
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