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3.大賢者と幼女
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国を出るためには正門の他にスラム街の方から出る東門がある。
俺は東門の方から出ることにした。
理由は簡単。
行きたい場所があるからだ。
そこに行くにはこちらの門から出た方が近い。
スラム街を通るのは少し嫌だが致し方ない。
俺はそう思いスラム街を歩く。
すると1人の少女が家屋にもたれて倒れているのが見えた。
持って数日だろう。
ただ餓死を待つばかりと言った感じだ。
しかし、その少女から違和感を感じる。
【鑑定】
俺が魔眼を使って鑑定を行う。
俺の唯一のスキルだ。
今のところは。
─────────────
アリス
種族:魔族
年齢:15歳
クラス:無し
スキル
盗技
短剣術
交渉術
闇神龍の加護
─────────────
加護持ちか。
神龍の加護と呼ばれるこのスキルはその属性を司る神より与えられる物でその属性によるあらゆるスキルの効果を高めてくれる。
彼女の場合は闇属性だ。
しかし、彼女は闇属性系統のスキルは持っていない。
闇属性スキルを持てば光るだろうに。
それに、クラスも無いならあらゆるクラスになれる可能性もある。
なかなか良い原石だと思う。
「食べる?」
俺は静かにその子にパンを差し出す。
「良いの?」
俺は微笑みながら頷くと起き上がってパンを受け取った少女の隣に座る。
黒く長いロングストレートに真ん丸な赤い瞳で丸顔。
華奢な体つきで身長は145cm程度。
服装はボロ布の様な薄汚れたTシャツとホットパンツのみだ。
まぁ、スラム街だし良く見る服装だ。
俺は無言でパンを食べる少女を隣で眺める。
今でこそ痩せ細っているが顔つきは可愛らしく将来は相当な美人になりそうだ。
そう言う意味でもここでのたれ死ぬなんて惜しいと思う。
「行く宛、無いの?」
「ん。お父さんとお母さんが戦争で死んでからここで生ゴミ漁ったり、たまに通る人の財布盗んだりかな。
そうしないと、生きていけないから。
ここって。」
少女はそう言ってパンを平らげた。
「俺は悠々自適な旅をしているんだ。
よかったら一緒にどうだい?」
「私、何も出来ないよ?
それとも、お兄さんには盗賊が必要?」
少し怪しむ目付きで俺を見て言った。
「はは、そんな事は無いよ。
俺はただ独り旅も虚しいから共に旅する仲間が欲しいだけだよ。」
俺がそう言って微笑む。
「変わってる。」
「はは、良く言われるよ。変わり者だってね。
けど、その方が人生楽しいだろ?
君の様な魔族は寿命も長いしね。」
俺が言うと少女はとっさにこっちに反抗的な目を向ける。
「安心して。俺も同じ様な者さ。
リュガって種族知ってる?」
「まぁ、神様からの遣いとされる龍と人のハーフだよね?」
「ま、そんなところさ。もうかれこれ数千年は生きているかな。でも、まだまだ寿命は有り余っているんだ。」
俺が言うと少し驚くような、怪しむような顔でこちらを見る。
無理もないだろう。
どんなに長寿でも千年を越えるものはそうそういない。
それこそ、リュガだけだ。
そして、そのリュガも俺を含めて数える程と言っても良いほど少ないし、人前に姿を見せることも少ない。
閉鎖的な山奥で他種族と関わらず独自の風習や文明を持つのがリュガだ。
言ってしまえば俺が変わっているのだ。
外界に出るなんて常人のする事ではないなんて言われる程だからな。
「そんなに生きてて大変じゃない?」
「とても楽しいよ。
数百年経つだけで同じ国でも様相が変わる。
それに、数十年そこに住んで変わり行く国を見るのも面白い物さ。
暇潰しに国のお偉いさんなんかになってみたりね。」
俺がそう言って微笑む。
暇潰しのつもりが300年だもんな。
「私も、寿命は300年はあるって言われてる。
けど、そんなにこの生活するのもつまんないかなって。
けど、私には何もないから。
ここでこうしてのたれ死ぬしか、無いから。」
少女はそう言って体育座りでうずくまる。
両親を失った彼女にはもう生きる気力すら無いようにも思えた。
俺は東門の方から出ることにした。
理由は簡単。
行きたい場所があるからだ。
そこに行くにはこちらの門から出た方が近い。
スラム街を通るのは少し嫌だが致し方ない。
俺はそう思いスラム街を歩く。
すると1人の少女が家屋にもたれて倒れているのが見えた。
持って数日だろう。
ただ餓死を待つばかりと言った感じだ。
しかし、その少女から違和感を感じる。
【鑑定】
俺が魔眼を使って鑑定を行う。
俺の唯一のスキルだ。
今のところは。
─────────────
アリス
種族:魔族
年齢:15歳
クラス:無し
スキル
盗技
短剣術
交渉術
闇神龍の加護
─────────────
加護持ちか。
神龍の加護と呼ばれるこのスキルはその属性を司る神より与えられる物でその属性によるあらゆるスキルの効果を高めてくれる。
彼女の場合は闇属性だ。
しかし、彼女は闇属性系統のスキルは持っていない。
闇属性スキルを持てば光るだろうに。
それに、クラスも無いならあらゆるクラスになれる可能性もある。
なかなか良い原石だと思う。
「食べる?」
俺は静かにその子にパンを差し出す。
「良いの?」
俺は微笑みながら頷くと起き上がってパンを受け取った少女の隣に座る。
黒く長いロングストレートに真ん丸な赤い瞳で丸顔。
華奢な体つきで身長は145cm程度。
服装はボロ布の様な薄汚れたTシャツとホットパンツのみだ。
まぁ、スラム街だし良く見る服装だ。
俺は無言でパンを食べる少女を隣で眺める。
今でこそ痩せ細っているが顔つきは可愛らしく将来は相当な美人になりそうだ。
そう言う意味でもここでのたれ死ぬなんて惜しいと思う。
「行く宛、無いの?」
「ん。お父さんとお母さんが戦争で死んでからここで生ゴミ漁ったり、たまに通る人の財布盗んだりかな。
そうしないと、生きていけないから。
ここって。」
少女はそう言ってパンを平らげた。
「俺は悠々自適な旅をしているんだ。
よかったら一緒にどうだい?」
「私、何も出来ないよ?
それとも、お兄さんには盗賊が必要?」
少し怪しむ目付きで俺を見て言った。
「はは、そんな事は無いよ。
俺はただ独り旅も虚しいから共に旅する仲間が欲しいだけだよ。」
俺がそう言って微笑む。
「変わってる。」
「はは、良く言われるよ。変わり者だってね。
けど、その方が人生楽しいだろ?
君の様な魔族は寿命も長いしね。」
俺が言うと少女はとっさにこっちに反抗的な目を向ける。
「安心して。俺も同じ様な者さ。
リュガって種族知ってる?」
「まぁ、神様からの遣いとされる龍と人のハーフだよね?」
「ま、そんなところさ。もうかれこれ数千年は生きているかな。でも、まだまだ寿命は有り余っているんだ。」
俺が言うと少し驚くような、怪しむような顔でこちらを見る。
無理もないだろう。
どんなに長寿でも千年を越えるものはそうそういない。
それこそ、リュガだけだ。
そして、そのリュガも俺を含めて数える程と言っても良いほど少ないし、人前に姿を見せることも少ない。
閉鎖的な山奥で他種族と関わらず独自の風習や文明を持つのがリュガだ。
言ってしまえば俺が変わっているのだ。
外界に出るなんて常人のする事ではないなんて言われる程だからな。
「そんなに生きてて大変じゃない?」
「とても楽しいよ。
数百年経つだけで同じ国でも様相が変わる。
それに、数十年そこに住んで変わり行く国を見るのも面白い物さ。
暇潰しに国のお偉いさんなんかになってみたりね。」
俺がそう言って微笑む。
暇潰しのつもりが300年だもんな。
「私も、寿命は300年はあるって言われてる。
けど、そんなにこの生活するのもつまんないかなって。
けど、私には何もないから。
ここでこうしてのたれ死ぬしか、無いから。」
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