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魔法大会
第四六話:予選7
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異世界転移を駆使し、大量の一反木綿を持って、学園内へと帰ってきた。
学園内での争いは禁止なので、一反木綿が燃やされる危険はないが、一応念のためにアイの魔法で一反木綿を氷漬けにしておく。
そして無事校舎に入り、隣のアイが安堵の溜め息を吐いた。
さすがにもう攻撃はされない。
木造校舎の中で火の魔法を使う馬鹿はいないだろう。
俺は、ゆっくりと校舎を歩いた。
「おい、遅えな。そんなに重てえか、それ」
氷を持ちながら歩く俺の速度が遅いため、しびれを切らした親父が溜め息を吐く。
俺の腕力からしたら、確かに重たい。
だけど、違う。俺がノロノロ歩いているのは別の訳があるんだ。
俺は、待っている。
俺の予想だと、そろそろ来るはずなんだけど……。
「あんたら、どうやって校門を通ったんや!?」
職員室の手前で、後ろから聞き覚えのある関西弁で声をかけられる。
その瞬間、俺は心の中で叫んだ。
──キタッ!!──
俺は振り返り、言った。
「俺たちは魔法以外にも神通力があるからな。この世界とは違う世界に行って、移動が可能なんだよ」
「なん……や……それ……」
俺の説明が通じたのかは定かではないが、関西弁女は俺たちの持っている一反木綿の数に驚き、そして悔しそうな顔をした。
関西弁女の顔で、この勝負が俺たち参組の勝ちだということが分かる。
俺たちよりも納品数が多いなら、あんな顔はしない。
「納得でけへん……納得なんか、でけへんで!」
関西弁女は怒鳴った。
「勝負や! ウチと勝負しろ! ウチに勝ったら、あんたらのこと認めたるわ!」
親父が関西弁女に言う。
「嬢ちゃん。悪いけどな、これはこのまま納品させてもらうぜ。俺たちには、どうしても生徒会長にならなくちゃいけねえ訳があるんだ」
親父の肩を叩いて、俺は首を横に振った。
「いや、親父。仕方ないけど、ここは相手の誘いに乗ろう」
親父は驚いて反論する。
「はっ? なんでだ!? ここで負けたら、昨日からの苦労が水の泡だぞ」
「そうだな。そうなる可能性も勿論ある。だけど、ダメなんだ。このまま俺たちが優勝して、俺たちの誰かが生徒会長になったとしても、それは俺たちの目標とはちょっと違うんだ」
アイが不思議そうに言う。
「えっ、私たち、生徒会長になるのが目標だよ?」
俺はアイの質問に答える変わりに、サクヤ様に質問した。
「サクヤ様。俺たちの目標は、生徒会長になって、この学園の指揮権を手に入れて軍事力を手に入れることですよね?」
「ええ、そうよ」
「だとしたら、俺たちはこのまま生徒会長になっちゃダメなんだ。今の俺たちの評価で指揮権を手に入れても、誰も俺たちの言うことなんて聞かない」
「えっ、じゃあ、本当に勝負するの?」
そう言うアイに、俺は頷いた。
「ああ。ここばかりは正々堂々、一切の裏工作無しで勝たなきゃいけない」
皆が驚いて俺を見る。
今まで戦略や策、卑怯なことばかり言っていた俺から、正々堂々だなんて言葉が出るとは思わなかっただろう。
俺は関西弁女を睨み、言った。
「正直、あんたからの誘いを待っていたんだ。あんたは明智家の令嬢。正々堂々と勝負するあんたの気質も、裏工作無しで勝負したい今の俺たちには丁度いい。俺たちの名誉挽回には、あんたはうってつけの相手だ。正々堂々勝負してやるよ!」
俺は氷漬けの一反木綿を床に置き、サクヤ様と親父とアイの一反木綿も床に置くよう指示した。
そして、職員室にいる先生に一声かける。
「先生、これは俺たち壱組が納品予定の一反木綿です。だけど、まだ納品はしません。あの人と勝負して、勝ったら納品します。負けたら破棄しますので、ここに置いときますけどいいですか?」
職員室の中にいた先生は、あまり要領を得られない顔をしていたが、「え、ええ、分かりました」と、困惑しながらも承諾した。
「それじゃあ、校門の外に行くぞ」
関西弁女にそう言って、俺たちは校舎を出て校門へと向かった。
学園内での争いは禁止なので、一反木綿が燃やされる危険はないが、一応念のためにアイの魔法で一反木綿を氷漬けにしておく。
そして無事校舎に入り、隣のアイが安堵の溜め息を吐いた。
さすがにもう攻撃はされない。
木造校舎の中で火の魔法を使う馬鹿はいないだろう。
俺は、ゆっくりと校舎を歩いた。
「おい、遅えな。そんなに重てえか、それ」
氷を持ちながら歩く俺の速度が遅いため、しびれを切らした親父が溜め息を吐く。
俺の腕力からしたら、確かに重たい。
だけど、違う。俺がノロノロ歩いているのは別の訳があるんだ。
俺は、待っている。
俺の予想だと、そろそろ来るはずなんだけど……。
「あんたら、どうやって校門を通ったんや!?」
職員室の手前で、後ろから聞き覚えのある関西弁で声をかけられる。
その瞬間、俺は心の中で叫んだ。
──キタッ!!──
俺は振り返り、言った。
「俺たちは魔法以外にも神通力があるからな。この世界とは違う世界に行って、移動が可能なんだよ」
「なん……や……それ……」
俺の説明が通じたのかは定かではないが、関西弁女は俺たちの持っている一反木綿の数に驚き、そして悔しそうな顔をした。
関西弁女の顔で、この勝負が俺たち参組の勝ちだということが分かる。
俺たちよりも納品数が多いなら、あんな顔はしない。
「納得でけへん……納得なんか、でけへんで!」
関西弁女は怒鳴った。
「勝負や! ウチと勝負しろ! ウチに勝ったら、あんたらのこと認めたるわ!」
親父が関西弁女に言う。
「嬢ちゃん。悪いけどな、これはこのまま納品させてもらうぜ。俺たちには、どうしても生徒会長にならなくちゃいけねえ訳があるんだ」
親父の肩を叩いて、俺は首を横に振った。
「いや、親父。仕方ないけど、ここは相手の誘いに乗ろう」
親父は驚いて反論する。
「はっ? なんでだ!? ここで負けたら、昨日からの苦労が水の泡だぞ」
「そうだな。そうなる可能性も勿論ある。だけど、ダメなんだ。このまま俺たちが優勝して、俺たちの誰かが生徒会長になったとしても、それは俺たちの目標とはちょっと違うんだ」
アイが不思議そうに言う。
「えっ、私たち、生徒会長になるのが目標だよ?」
俺はアイの質問に答える変わりに、サクヤ様に質問した。
「サクヤ様。俺たちの目標は、生徒会長になって、この学園の指揮権を手に入れて軍事力を手に入れることですよね?」
「ええ、そうよ」
「だとしたら、俺たちはこのまま生徒会長になっちゃダメなんだ。今の俺たちの評価で指揮権を手に入れても、誰も俺たちの言うことなんて聞かない」
「えっ、じゃあ、本当に勝負するの?」
そう言うアイに、俺は頷いた。
「ああ。ここばかりは正々堂々、一切の裏工作無しで勝たなきゃいけない」
皆が驚いて俺を見る。
今まで戦略や策、卑怯なことばかり言っていた俺から、正々堂々だなんて言葉が出るとは思わなかっただろう。
俺は関西弁女を睨み、言った。
「正直、あんたからの誘いを待っていたんだ。あんたは明智家の令嬢。正々堂々と勝負するあんたの気質も、裏工作無しで勝負したい今の俺たちには丁度いい。俺たちの名誉挽回には、あんたはうってつけの相手だ。正々堂々勝負してやるよ!」
俺は氷漬けの一反木綿を床に置き、サクヤ様と親父とアイの一反木綿も床に置くよう指示した。
そして、職員室にいる先生に一声かける。
「先生、これは俺たち壱組が納品予定の一反木綿です。だけど、まだ納品はしません。あの人と勝負して、勝ったら納品します。負けたら破棄しますので、ここに置いときますけどいいですか?」
職員室の中にいた先生は、あまり要領を得られない顔をしていたが、「え、ええ、分かりました」と、困惑しながらも承諾した。
「それじゃあ、校門の外に行くぞ」
関西弁女にそう言って、俺たちは校舎を出て校門へと向かった。
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