1 / 62
異なる歴史の二つの世界
第一話:著作権侵害は重罪だった
しおりを挟む
もう四月の中頃だというのに、神社という所の早朝はなぜか寒い。
新宿にある花園神社の境内摂社、芸能浅間神社の鳥居で、俺は少し体を震わせて、アンプ内蔵のエレキギターを取り出した。
「神様。賽銭代わりに歌を聞いてください。そしてどうか、売れますように」
そう願った後、ギターの弦に指を掛ける。
「神様、聞いてください。新曲のゾシカクです」
早朝ということもあって、周りには誰もいない。
一指弦を弾くと、静かな境内でエレキの不謹慎な音が響いた。
神社の人が来るだろうか?
いいや、構うもんか。神様に聞いてもらえばそれでいい。
後で神社の人に怒られる覚悟を決めた俺は、思いっきりギターを弾いて歌った。
『三つの刀で 切る切る切る
緑の短髪 ナイスガイ
刀を咥えて 切る切る切る
麦わら帽子は メじゃないぜ
地面に着いたおにぎりを
あの子の為に胃の中へ
素敵なバンダナ巻き付けて
首の修行は怠らない
カッコいいけど 単細胞!
強い割には 傷だらけ!
お酒大好き 大食い野郎!
陰るその目が イッちゃってるもん!
三つの刀で 切る切る切る
緑の短髪 ナイスガイ
あの子もこの子も ゾ□ゾ□ゾ□
方向音痴が 萌えてるぜ
切る 切る 切る ナイスガイ!
ゾ□ ゾ□ ナイスガイ!
キル キル キル ナイスガイ!
ゾ□ ゾ□ ナイスガイ!』
なんとか神社の人の邪魔が入らずに歌い終えることが出来た。
安堵のため息を吐き、ギターケースにギターをしまう。
神社の人が来る前にズラかろう。
そう思いながらギターケースをリュックサックのように背負うと、女の人の声が聞こえた。
「待ちなさい」
ヤバい。神社の人に見つかったか!
そう思い周囲を見渡すが、誰もいない。
「あれ?」
首を傾げると、また女の声が聞こえた。
「そこのあんた、待ちなさい!」
今度ははっきりと聞こえた。誰もいないはずの、鳥居の奥から……。
恐る恐る振り返ると、白い服に真っ赤なロングスカートを穿いた、黒いストレートの髪が腕くらいまである、二十歳くらいの裸足の女が立っていた。
その女を見た俺は、驚きを通り越し、悲鳴すらあげることが出来なかった。
なぜならその女は、体がうっすら透明がかっていたからだ。
人ではない、何か……。
神社の境内で人ではない何かと考えると、答えはもう幽霊か神しかない。
俺は足を震えさせながら、女を見つめた。
「あんた、このサクヤ様に喧嘩を売ってんの?」
「さ、サクヤ様……?」
恐る恐る聞き返すと、女は溜め息を吐いて言った。
「私はここの女神、コノハナノサクヤビメよ」
「め、女神……様?」
「そうよ」
そう頷いて、自らを女神と名乗る女は近づいて来た。
靴は履いていないが、一応、足はあるようなので幽霊ではないようだ。
正直、近づいてきて欲しくない。
自分の事を女神だと言う部分に疑念はあるが、半透明の姿がそれを裏付けているように感じる。
逃げたい一心だが、足がすくんで逃げられない。
「あんたは私に歌を聞けと言ったわね?」
「は、はい……」
「何、あの歌? あんたの罪は重いわよ」
罪だと……?
俺が、どんな罪を……。
そう思いかけて、気付いた。
朝っぱらから静かな境内でギターを鳴らしていたことに。
「じ、神社の境内で勝手に演奏して申し訳ありませんでした」
女は首を横に振った。
「あんたの罪はそれもある。だが、それよりも遥かに重い罪を犯してる」
遥かに重い罪……?
なんだそれ……。
俺、何かやったか……?
「自分の罪が分からないみたいね」
女は、右の掌を俺に向けた。
「まあいいわ。あんたは、罪により別の世界へ送るから」
何やら念じだす女を見て、危機感に襲われる。
別の世界だって!?
つまり、あの世ってことか!?
全く何を言ってるのか分からないが、冗談じゃない!
死んでたまるか!
俺はバンドマンになる夢があるんだ!
震える足を何とか動かし、俺は無我夢中で女の元に走り、土下座した。
「痛ッ!」
土下座した拍子に、背負っていたギターケースの先が女の足に当たる。
「あわわ……すみません! 赦して下さい! お願いします!」
「ダメ」
女が首を横に振ると、俺の体は少しずつ地面に沈んでいった。
何だこれ!? 嫌だ! 死にたくない!
女の赤いロングスカートにすがりながら懇願する。
「何でもします! お願いします!」
「や、やめなさい。足を持つな!」
体が地面に引き込まれていく。
俺は無我夢中で女の足にしがみついた。
「ちょっと、放しなさいよ! 私も引き込まれるでしょ!」
女は俺を振り払おうと足を動かそうとするが、俺はさらに力を入れて足にしがみついた。
「じゃあ、止めてくださいよこれ!」
「もう止められないわよ!」
「嫌だ!死にたくない!」
ジタバタと動かそうとする女の足が、地面に沈んでいくのが見えた。
「や、やめなさい! きゃああ!」
神らしからぬ悲鳴が響き、俺の視界は地面の奥、暗闇へと移っていった。
「ちょっと! 起きなさい!」
女の声が聞こえ、意識がぼんやり戻ってくる。
「起きなさいよ!」
体を揺らされ、俺は目を開けると、地面が見えた。どうやらうつ伏せで寝ていたらしい。
目を擦りながら体を起こす。
体を起こすと、背負っていたギターケースの底が地面に当たり、コツリと音が鳴った。
「どこだ……ここ」
石造りの街並み……まるで古代ローマの街の道路に、俺は座っていた。
寝ぼけている……?
確認の為、再度目を擦る。
……が、景色は変わらない。
「あんたが私を道連れにするから、私もこっちの世界に来ちゃったじゃない!」
隣にいた女は、俺の肩を揺すった。
「どうしてくれんのよ!」
女は、自分を女神だと言っていた、赤いロングスカートの女だ。
さっきは体がうっすら透明がかっていたのに、今は全く透けていない。
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
肩の揺すりを抑止する。
「ここはどこですか?」
女の顔を見ると、女神というより鬼という方がピッタリだ。
「あんたからしたら異世界よ!」
「異世界って……」
「本当はあんた一人が来る所だったんだから!」
「なぜ俺が……?」
「あんたが罪を犯したからよ!」
俺は先ほどの神社の境内でのやり取りを思い出した。女の、違う世界に送るという言葉を思い出し、安堵の溜め息を吐く。
「あっ、俺……死んだ訳じゃないんだ……」
「死んでなんかいないわよ!」
「違う世界って言ってたから、あの世……死後の世界のことかと思った」
俺の言葉に、女は歯ぎしりをした。
「だから……死ぬと思ってあんなに抵抗しようとしてたのね。そのせいで私は道連れになって……」
そして、俺を睨んで怒鳴る。
怖いから怒鳴らないでほしい。
「あんたバカなの!? 神が人を殺せるわけないじゃない! 死神ですら人を殺すにはノートに名前と死因を書いて、直接殺せないようになってるんだから!」
なんか、聞いたことがある死神のシステムだな……って、いや、今はそれどころじゃなくて。
この女、自分の事を女神だとか言っていた……ということは。
「本当にここは異世界!?」
女は睨み顔で顔を近付けて怒鳴った。
「だからそう言ってるじゃない!」
可愛い顔をしているけれども、顔を近付けないで欲しい。そして怒鳴らないで欲しい。
……あっ、神様を可愛いとか不謹慎だろうか。
俺は少し状況を整理した。
何かの罪で異世界送りになった俺。
俺を異世界送りにしようとした女神を道連れにする。
そして道連れにした女神にイチャモンつけられる……。
「こ、この状況はもしや、この素晴らしい世界にしゅく……」
言いかけて、胸を押さえた。
「ぐっ……」
胸がズキリと痛む。
なんだこれ! まるで心臓を握られているような感覚……。
いつの間にか汗びっしょりになった俺を見て、女は悪態をつく。
「ふん。あんた今、何か著作権に関わるようなことを言おうとしたわね」
「ちょ、著作……権?」
「そうよ。それがあんたの罪」
「俺の……罪……?」
女は溜め息を吐き、言った。
「あんた、本当に自分が非道なことした自覚ないのね。あんたが神社で歌った歌、あれは著作権侵害よ。著作権侵害は立派な罪。そして私は芸能の神。著作権を護るのも私のテリトリーよ」
いつの間にか胸の痛みは治まり、俺は立ち上がった。
「そんな……あの歌を歌っただけで異世界送りなんて……」
確かに、著作権を侵害したかもしれない。だけど、あまりにも刑が重すぎる。
著作権の侵害は確かに悪い。だけど、それだけで異世界に送るなんて、酷すぎるんじゃないか?
「……2日間」
唐突に日数を言われ、俺は女と目を合わせた。
「あんたの刑は、2日間の異世界送りと3日間の著作権に関する事柄を禁忌とすること」
あれ? たった2日間……?
「へ?」
あまり重い刑ではない気がして、気の抜けた返事をした。
その返事を聞いてか、女はまた怒鳴った。
「だったのよ!」
……だった? 嫌な予感しかしない。
「2日経ったら、あんたを元の世界に戻す予定だったの! なのに、戻せないじゃない!」
「えっ、戻せないというのはどういう……」
さっきの胸の痛みからくる汗とは違う汗が流れ出す。
「神通力はね、神社の境内でしか使えないの! 神通力がないと、あんたを戻すことも、私が神社に戻ることも出来ないのよ!」
なん……です……と……!?
「えーと……つまり、帰れない……とか?」
いきなり女は俺にデコピンをした。
「痛ッ!」
暴力はやめていただきたい。
「こんな世界に一生いるなんて、まっぴらゴメンだわ」
女はそう言って続けた。
「帰る方法はある」
女の一言で俺の気分は絶望から希望に変わる。
「帰れるんですか!?」
「2日じゃ帰れないけどね!」
「どれくらいで……」
そう聞くと、女は俺の後ろを指差した。
「ここから西に150キロほど行くと、鳥居のある祠があるわ。 そこなら、私の神通力が使える」
150キロ……東京から富士山辺りまでの距離か。
「あれ? 案外近いんじゃ……」
楽天的な言葉だったのだろうか?
女は溜め息を吐き、言った。
「あのね、ここには新幹線も車もないのよ」
「……ええ、まあ」
それは分かる。古代ローマ風な街並みだし。現代科学などあるはずもないことが容易に想像できる。
女は続けた。
「それにね、この世界には魔物が出るのよ」
「魔物!?」
「ええ。そして、魔物だけじゃなくて、盗賊なんかもいる。直線距離150キロを安全に移動するのに、どれだけの準備と迂回が必要か……」
俺は、魔物という単語が頭の中でリピートしていた。
魔物がいる世界……。
めちゃくちゃファンタジーな世界じゃないか!
「あ、あのう、女神様……」
恐る恐る質問する。
「何?」
「なんかこう……異世界に送られた特典みたいなものはないんですか?」
「はあ?」
女は怪訝に俺を見る。
俺は構わず続けた。
「死んだらタイムリープするとか、体がスライムになってるとか、最強の盾で成り上がっていくとか」
「ないわよ、そんなの」
「もしくは、古典的なところで言えば、昆虫型のロボットに乗ってオーラ力が」
「だから、そんなのないわよ!」
ない……のか……。
少しだけ上がったテンションが、一気に冷めた。
そして胸がチクリと痛んだ。
先ほどよりも小さな痛みなのは、完全なタブーを言っている訳ではないからだろうか……?
「あっ、特典といえば」
女が何かを思い出したように言ったので、俺は目を輝かせる。
女はニタッと笑って言った。
「あんたは禁忌という特典があるじゃない」
異世界送りは、特殊能力が身に付くのが常識……みたいな風潮あるのに、なぜ俺にはマイナス要素だけが身に付いてんだよ!
くっそおお! 呪ってやるぞ! そこらのラノベの主人公どもおお!!
女は、人をおちょくって溜飲が下がったのか、冷静さを取り戻していた。
「さて……いつまでも落ち込んでいられないわね。神無月でもない時に神社を空けるなんて、許されないもの」
そう言って、続ける。
「早速、旅の準備をするわよ」
唐突に言われ、聞き返す。
「旅の準備って……?」
女は、俺の背負っているギターケースを指差した。
「まずは、それを売りましょ!」
俺はギターケースを守るように、後退りした。
「えっ、これはダメですよ!」
女は両手を腰に当てる。
「あのね、私たちはまずお金がいるの。お金がないと旅の準備が出来ないの。旅の準備が出来ないと元の世界に帰れないの。分かる?」
俺を諭すつもりだろうが、でかい態度が気に入らない。
「いや、でもこれは俺が何ヵ月もバイトして、やっとの思いで買うことが出来たイーエス……」
言いかけて、胸がズキリと痛む。
「ぐぅぅ!」
メーカー名もダメなのか。
なんて不便な刑なんだ!
そんな俺の姿を見て、女はニタニタ笑った。
「ほらほら。 まともに名前も言えないようなギター、売っちゃってもいいじゃない」
この女、本当に神なのか!?
さっきから、とても神の言動とは思えない。
「い、嫌だ!」
首をブンブン横に振って、却下を申し出る。
「この世界にアンプ内蔵のギターなんて無いもの。きっと高値で売れるわ」
俺は女の赤いロングスカートを指差した。
「その赤いスカートだって、この世界じゃ珍しいんじゃないですか!?」
古代ローマ風の街並みだ。
赤いロングスカートなんて世界観が違うに決まっている。
女は険しい顔をして、足に力を込めながら近付けて来た。
「はああ? 私のスカート売って、じゃあ私は下着だけで動けってあんたは言うの!?」
恐怖のあまり、うずくまって動けない俺。
「あんたの服全部剥ぎ取って、それを売ってお金にしてやるわよ!」
女が拳を挙げる。
「ひぃい! ごめんなさい!」
殴られると思い、とっさに頭を抱えて目を瞑る。
女からグーパンチ……と思いきや、見事なまでの早業で背負っているギターケースのチャックを開けられ、中身を取り出されてしまった。
「あっ、しまった!」
「私、芸能の神だけあって、こういう早業得意なんだから」
自慢気にそういうが、それは窃盗の類ではなかろうか。
「か、返してください!」
「返さないわよー」
そう言って、あっかんべーをする。
本当に神とは思えない……。
俺は落胆し、膝をついた。
「ギターを買う為に沢山のバイトをしました……。交通整備でのバイトではトラックの運転手に怒鳴られ、ファーストフードのバイトでは客に怒鳴られ、焼肉屋のバイトでは家族から臭いと言われ、パチンコ屋のバイトでは世間から嫌味を言われ……」
正直に言うと、このギターを手に入れるのに、そこまでの苦労はしていない。
ただ、勝手に売ろうとするのが気に入らないのと、愛着があるのは嘘ではない。
「ちょ、ちょっと、泣いてるの!?」
泣いてはいない。嘘泣きである。
「そのギターがあったから、辛いことも我慢できたんです……そのギターがあったから、頑張ってこれたんです……」
俺の芝居もなかなかのものなのだろう。女は大きく溜め息を吐いた。
「分かった。分かったわよ。元の世界に帰ったら、神社の賽銭で新しいギター買ってあげるから」
「えっ……」
俺の耳がピクッと動いた。
「……違うやつ……でも?」
「い、いいわよ」
「同じメーカーの?」
「まぁ……しょうがないわね」
「本当に……?」
「サクヤ様に二言はないわよ!」
俺は涙を拭いて、スタッと立ち上がった。
「じゃあ、行きましょう! 売りに行きましょう!」
女からギターを返してもらい、ケースに入れてスタスタと歩いて行く。
自然と笑みが溢れる。
高価で有名なブランドのギターではあるが、このアンプ内蔵ギターは大衆向けに販売されており、はっきり言って安い。
5万円も出せば買えるのである。
しかし、同じメーカーの他のギターはこの10倍の値がするギターがいくらでもある。
50万円のギターを買ってもらえるなら、このギターは全く惜しくない。
「言っとくけど、ギターの価値くらい知ってるからね!」
そう言われ、ギクリとした。
さすが、芸能の女神というだけはある。
「あはは……そうですよね……」
「でも、さすがに愛着のあるギターを売れっていうのは悪かったわ。だから、無事に帰れたら好きなやつ買ってあげるから」
「マジですか!?」
「いいわよ」
「ありがとうございます!」
そう言って笑いかけると、女はポリポリ頭を掻いた。
「調子のいい奴ね」
そう呟いた後、俺に質問をする。
「ねえ、あんた、名前は?」
歩きながら受け答えする。
「深井勇樹です」
「そう、ユウキね。 私はサクヤよ」
「了解、サクヤ!」
そう言うと女は俺を睨み付けた。
「何呼び捨てしてんの。私は神よ。女神なのよ。なんであんたなんかに呼び捨てにされなきゃいけないのよ!」
呼び捨てにしてもいいみたいな雰囲気だったじゃないか。
「す、すみません、サクヤ様」
素直にそう謝ると、女は満足気に腕を組んだ。
「分かればいいわ」
そうして俺の前をスタスタ歩いて行く。
なんか、振り回されそうだな……。
いや、すでにもう振り回されてるのか。
この異世界送りも、結局はこのサクヤ様が俺にしたことだし……。
この先、大丈夫なんだろうか……。
いや、無事に帰れたら新しいギターが待っている!
一抹の不安と期待を覚え、俺はサクヤ様に付いて行った。
新宿にある花園神社の境内摂社、芸能浅間神社の鳥居で、俺は少し体を震わせて、アンプ内蔵のエレキギターを取り出した。
「神様。賽銭代わりに歌を聞いてください。そしてどうか、売れますように」
そう願った後、ギターの弦に指を掛ける。
「神様、聞いてください。新曲のゾシカクです」
早朝ということもあって、周りには誰もいない。
一指弦を弾くと、静かな境内でエレキの不謹慎な音が響いた。
神社の人が来るだろうか?
いいや、構うもんか。神様に聞いてもらえばそれでいい。
後で神社の人に怒られる覚悟を決めた俺は、思いっきりギターを弾いて歌った。
『三つの刀で 切る切る切る
緑の短髪 ナイスガイ
刀を咥えて 切る切る切る
麦わら帽子は メじゃないぜ
地面に着いたおにぎりを
あの子の為に胃の中へ
素敵なバンダナ巻き付けて
首の修行は怠らない
カッコいいけど 単細胞!
強い割には 傷だらけ!
お酒大好き 大食い野郎!
陰るその目が イッちゃってるもん!
三つの刀で 切る切る切る
緑の短髪 ナイスガイ
あの子もこの子も ゾ□ゾ□ゾ□
方向音痴が 萌えてるぜ
切る 切る 切る ナイスガイ!
ゾ□ ゾ□ ナイスガイ!
キル キル キル ナイスガイ!
ゾ□ ゾ□ ナイスガイ!』
なんとか神社の人の邪魔が入らずに歌い終えることが出来た。
安堵のため息を吐き、ギターケースにギターをしまう。
神社の人が来る前にズラかろう。
そう思いながらギターケースをリュックサックのように背負うと、女の人の声が聞こえた。
「待ちなさい」
ヤバい。神社の人に見つかったか!
そう思い周囲を見渡すが、誰もいない。
「あれ?」
首を傾げると、また女の声が聞こえた。
「そこのあんた、待ちなさい!」
今度ははっきりと聞こえた。誰もいないはずの、鳥居の奥から……。
恐る恐る振り返ると、白い服に真っ赤なロングスカートを穿いた、黒いストレートの髪が腕くらいまである、二十歳くらいの裸足の女が立っていた。
その女を見た俺は、驚きを通り越し、悲鳴すらあげることが出来なかった。
なぜならその女は、体がうっすら透明がかっていたからだ。
人ではない、何か……。
神社の境内で人ではない何かと考えると、答えはもう幽霊か神しかない。
俺は足を震えさせながら、女を見つめた。
「あんた、このサクヤ様に喧嘩を売ってんの?」
「さ、サクヤ様……?」
恐る恐る聞き返すと、女は溜め息を吐いて言った。
「私はここの女神、コノハナノサクヤビメよ」
「め、女神……様?」
「そうよ」
そう頷いて、自らを女神と名乗る女は近づいて来た。
靴は履いていないが、一応、足はあるようなので幽霊ではないようだ。
正直、近づいてきて欲しくない。
自分の事を女神だと言う部分に疑念はあるが、半透明の姿がそれを裏付けているように感じる。
逃げたい一心だが、足がすくんで逃げられない。
「あんたは私に歌を聞けと言ったわね?」
「は、はい……」
「何、あの歌? あんたの罪は重いわよ」
罪だと……?
俺が、どんな罪を……。
そう思いかけて、気付いた。
朝っぱらから静かな境内でギターを鳴らしていたことに。
「じ、神社の境内で勝手に演奏して申し訳ありませんでした」
女は首を横に振った。
「あんたの罪はそれもある。だが、それよりも遥かに重い罪を犯してる」
遥かに重い罪……?
なんだそれ……。
俺、何かやったか……?
「自分の罪が分からないみたいね」
女は、右の掌を俺に向けた。
「まあいいわ。あんたは、罪により別の世界へ送るから」
何やら念じだす女を見て、危機感に襲われる。
別の世界だって!?
つまり、あの世ってことか!?
全く何を言ってるのか分からないが、冗談じゃない!
死んでたまるか!
俺はバンドマンになる夢があるんだ!
震える足を何とか動かし、俺は無我夢中で女の元に走り、土下座した。
「痛ッ!」
土下座した拍子に、背負っていたギターケースの先が女の足に当たる。
「あわわ……すみません! 赦して下さい! お願いします!」
「ダメ」
女が首を横に振ると、俺の体は少しずつ地面に沈んでいった。
何だこれ!? 嫌だ! 死にたくない!
女の赤いロングスカートにすがりながら懇願する。
「何でもします! お願いします!」
「や、やめなさい。足を持つな!」
体が地面に引き込まれていく。
俺は無我夢中で女の足にしがみついた。
「ちょっと、放しなさいよ! 私も引き込まれるでしょ!」
女は俺を振り払おうと足を動かそうとするが、俺はさらに力を入れて足にしがみついた。
「じゃあ、止めてくださいよこれ!」
「もう止められないわよ!」
「嫌だ!死にたくない!」
ジタバタと動かそうとする女の足が、地面に沈んでいくのが見えた。
「や、やめなさい! きゃああ!」
神らしからぬ悲鳴が響き、俺の視界は地面の奥、暗闇へと移っていった。
「ちょっと! 起きなさい!」
女の声が聞こえ、意識がぼんやり戻ってくる。
「起きなさいよ!」
体を揺らされ、俺は目を開けると、地面が見えた。どうやらうつ伏せで寝ていたらしい。
目を擦りながら体を起こす。
体を起こすと、背負っていたギターケースの底が地面に当たり、コツリと音が鳴った。
「どこだ……ここ」
石造りの街並み……まるで古代ローマの街の道路に、俺は座っていた。
寝ぼけている……?
確認の為、再度目を擦る。
……が、景色は変わらない。
「あんたが私を道連れにするから、私もこっちの世界に来ちゃったじゃない!」
隣にいた女は、俺の肩を揺すった。
「どうしてくれんのよ!」
女は、自分を女神だと言っていた、赤いロングスカートの女だ。
さっきは体がうっすら透明がかっていたのに、今は全く透けていない。
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
肩の揺すりを抑止する。
「ここはどこですか?」
女の顔を見ると、女神というより鬼という方がピッタリだ。
「あんたからしたら異世界よ!」
「異世界って……」
「本当はあんた一人が来る所だったんだから!」
「なぜ俺が……?」
「あんたが罪を犯したからよ!」
俺は先ほどの神社の境内でのやり取りを思い出した。女の、違う世界に送るという言葉を思い出し、安堵の溜め息を吐く。
「あっ、俺……死んだ訳じゃないんだ……」
「死んでなんかいないわよ!」
「違う世界って言ってたから、あの世……死後の世界のことかと思った」
俺の言葉に、女は歯ぎしりをした。
「だから……死ぬと思ってあんなに抵抗しようとしてたのね。そのせいで私は道連れになって……」
そして、俺を睨んで怒鳴る。
怖いから怒鳴らないでほしい。
「あんたバカなの!? 神が人を殺せるわけないじゃない! 死神ですら人を殺すにはノートに名前と死因を書いて、直接殺せないようになってるんだから!」
なんか、聞いたことがある死神のシステムだな……って、いや、今はそれどころじゃなくて。
この女、自分の事を女神だとか言っていた……ということは。
「本当にここは異世界!?」
女は睨み顔で顔を近付けて怒鳴った。
「だからそう言ってるじゃない!」
可愛い顔をしているけれども、顔を近付けないで欲しい。そして怒鳴らないで欲しい。
……あっ、神様を可愛いとか不謹慎だろうか。
俺は少し状況を整理した。
何かの罪で異世界送りになった俺。
俺を異世界送りにしようとした女神を道連れにする。
そして道連れにした女神にイチャモンつけられる……。
「こ、この状況はもしや、この素晴らしい世界にしゅく……」
言いかけて、胸を押さえた。
「ぐっ……」
胸がズキリと痛む。
なんだこれ! まるで心臓を握られているような感覚……。
いつの間にか汗びっしょりになった俺を見て、女は悪態をつく。
「ふん。あんた今、何か著作権に関わるようなことを言おうとしたわね」
「ちょ、著作……権?」
「そうよ。それがあんたの罪」
「俺の……罪……?」
女は溜め息を吐き、言った。
「あんた、本当に自分が非道なことした自覚ないのね。あんたが神社で歌った歌、あれは著作権侵害よ。著作権侵害は立派な罪。そして私は芸能の神。著作権を護るのも私のテリトリーよ」
いつの間にか胸の痛みは治まり、俺は立ち上がった。
「そんな……あの歌を歌っただけで異世界送りなんて……」
確かに、著作権を侵害したかもしれない。だけど、あまりにも刑が重すぎる。
著作権の侵害は確かに悪い。だけど、それだけで異世界に送るなんて、酷すぎるんじゃないか?
「……2日間」
唐突に日数を言われ、俺は女と目を合わせた。
「あんたの刑は、2日間の異世界送りと3日間の著作権に関する事柄を禁忌とすること」
あれ? たった2日間……?
「へ?」
あまり重い刑ではない気がして、気の抜けた返事をした。
その返事を聞いてか、女はまた怒鳴った。
「だったのよ!」
……だった? 嫌な予感しかしない。
「2日経ったら、あんたを元の世界に戻す予定だったの! なのに、戻せないじゃない!」
「えっ、戻せないというのはどういう……」
さっきの胸の痛みからくる汗とは違う汗が流れ出す。
「神通力はね、神社の境内でしか使えないの! 神通力がないと、あんたを戻すことも、私が神社に戻ることも出来ないのよ!」
なん……です……と……!?
「えーと……つまり、帰れない……とか?」
いきなり女は俺にデコピンをした。
「痛ッ!」
暴力はやめていただきたい。
「こんな世界に一生いるなんて、まっぴらゴメンだわ」
女はそう言って続けた。
「帰る方法はある」
女の一言で俺の気分は絶望から希望に変わる。
「帰れるんですか!?」
「2日じゃ帰れないけどね!」
「どれくらいで……」
そう聞くと、女は俺の後ろを指差した。
「ここから西に150キロほど行くと、鳥居のある祠があるわ。 そこなら、私の神通力が使える」
150キロ……東京から富士山辺りまでの距離か。
「あれ? 案外近いんじゃ……」
楽天的な言葉だったのだろうか?
女は溜め息を吐き、言った。
「あのね、ここには新幹線も車もないのよ」
「……ええ、まあ」
それは分かる。古代ローマ風な街並みだし。現代科学などあるはずもないことが容易に想像できる。
女は続けた。
「それにね、この世界には魔物が出るのよ」
「魔物!?」
「ええ。そして、魔物だけじゃなくて、盗賊なんかもいる。直線距離150キロを安全に移動するのに、どれだけの準備と迂回が必要か……」
俺は、魔物という単語が頭の中でリピートしていた。
魔物がいる世界……。
めちゃくちゃファンタジーな世界じゃないか!
「あ、あのう、女神様……」
恐る恐る質問する。
「何?」
「なんかこう……異世界に送られた特典みたいなものはないんですか?」
「はあ?」
女は怪訝に俺を見る。
俺は構わず続けた。
「死んだらタイムリープするとか、体がスライムになってるとか、最強の盾で成り上がっていくとか」
「ないわよ、そんなの」
「もしくは、古典的なところで言えば、昆虫型のロボットに乗ってオーラ力が」
「だから、そんなのないわよ!」
ない……のか……。
少しだけ上がったテンションが、一気に冷めた。
そして胸がチクリと痛んだ。
先ほどよりも小さな痛みなのは、完全なタブーを言っている訳ではないからだろうか……?
「あっ、特典といえば」
女が何かを思い出したように言ったので、俺は目を輝かせる。
女はニタッと笑って言った。
「あんたは禁忌という特典があるじゃない」
異世界送りは、特殊能力が身に付くのが常識……みたいな風潮あるのに、なぜ俺にはマイナス要素だけが身に付いてんだよ!
くっそおお! 呪ってやるぞ! そこらのラノベの主人公どもおお!!
女は、人をおちょくって溜飲が下がったのか、冷静さを取り戻していた。
「さて……いつまでも落ち込んでいられないわね。神無月でもない時に神社を空けるなんて、許されないもの」
そう言って、続ける。
「早速、旅の準備をするわよ」
唐突に言われ、聞き返す。
「旅の準備って……?」
女は、俺の背負っているギターケースを指差した。
「まずは、それを売りましょ!」
俺はギターケースを守るように、後退りした。
「えっ、これはダメですよ!」
女は両手を腰に当てる。
「あのね、私たちはまずお金がいるの。お金がないと旅の準備が出来ないの。旅の準備が出来ないと元の世界に帰れないの。分かる?」
俺を諭すつもりだろうが、でかい態度が気に入らない。
「いや、でもこれは俺が何ヵ月もバイトして、やっとの思いで買うことが出来たイーエス……」
言いかけて、胸がズキリと痛む。
「ぐぅぅ!」
メーカー名もダメなのか。
なんて不便な刑なんだ!
そんな俺の姿を見て、女はニタニタ笑った。
「ほらほら。 まともに名前も言えないようなギター、売っちゃってもいいじゃない」
この女、本当に神なのか!?
さっきから、とても神の言動とは思えない。
「い、嫌だ!」
首をブンブン横に振って、却下を申し出る。
「この世界にアンプ内蔵のギターなんて無いもの。きっと高値で売れるわ」
俺は女の赤いロングスカートを指差した。
「その赤いスカートだって、この世界じゃ珍しいんじゃないですか!?」
古代ローマ風の街並みだ。
赤いロングスカートなんて世界観が違うに決まっている。
女は険しい顔をして、足に力を込めながら近付けて来た。
「はああ? 私のスカート売って、じゃあ私は下着だけで動けってあんたは言うの!?」
恐怖のあまり、うずくまって動けない俺。
「あんたの服全部剥ぎ取って、それを売ってお金にしてやるわよ!」
女が拳を挙げる。
「ひぃい! ごめんなさい!」
殴られると思い、とっさに頭を抱えて目を瞑る。
女からグーパンチ……と思いきや、見事なまでの早業で背負っているギターケースのチャックを開けられ、中身を取り出されてしまった。
「あっ、しまった!」
「私、芸能の神だけあって、こういう早業得意なんだから」
自慢気にそういうが、それは窃盗の類ではなかろうか。
「か、返してください!」
「返さないわよー」
そう言って、あっかんべーをする。
本当に神とは思えない……。
俺は落胆し、膝をついた。
「ギターを買う為に沢山のバイトをしました……。交通整備でのバイトではトラックの運転手に怒鳴られ、ファーストフードのバイトでは客に怒鳴られ、焼肉屋のバイトでは家族から臭いと言われ、パチンコ屋のバイトでは世間から嫌味を言われ……」
正直に言うと、このギターを手に入れるのに、そこまでの苦労はしていない。
ただ、勝手に売ろうとするのが気に入らないのと、愛着があるのは嘘ではない。
「ちょ、ちょっと、泣いてるの!?」
泣いてはいない。嘘泣きである。
「そのギターがあったから、辛いことも我慢できたんです……そのギターがあったから、頑張ってこれたんです……」
俺の芝居もなかなかのものなのだろう。女は大きく溜め息を吐いた。
「分かった。分かったわよ。元の世界に帰ったら、神社の賽銭で新しいギター買ってあげるから」
「えっ……」
俺の耳がピクッと動いた。
「……違うやつ……でも?」
「い、いいわよ」
「同じメーカーの?」
「まぁ……しょうがないわね」
「本当に……?」
「サクヤ様に二言はないわよ!」
俺は涙を拭いて、スタッと立ち上がった。
「じゃあ、行きましょう! 売りに行きましょう!」
女からギターを返してもらい、ケースに入れてスタスタと歩いて行く。
自然と笑みが溢れる。
高価で有名なブランドのギターではあるが、このアンプ内蔵ギターは大衆向けに販売されており、はっきり言って安い。
5万円も出せば買えるのである。
しかし、同じメーカーの他のギターはこの10倍の値がするギターがいくらでもある。
50万円のギターを買ってもらえるなら、このギターは全く惜しくない。
「言っとくけど、ギターの価値くらい知ってるからね!」
そう言われ、ギクリとした。
さすが、芸能の女神というだけはある。
「あはは……そうですよね……」
「でも、さすがに愛着のあるギターを売れっていうのは悪かったわ。だから、無事に帰れたら好きなやつ買ってあげるから」
「マジですか!?」
「いいわよ」
「ありがとうございます!」
そう言って笑いかけると、女はポリポリ頭を掻いた。
「調子のいい奴ね」
そう呟いた後、俺に質問をする。
「ねえ、あんた、名前は?」
歩きながら受け答えする。
「深井勇樹です」
「そう、ユウキね。 私はサクヤよ」
「了解、サクヤ!」
そう言うと女は俺を睨み付けた。
「何呼び捨てしてんの。私は神よ。女神なのよ。なんであんたなんかに呼び捨てにされなきゃいけないのよ!」
呼び捨てにしてもいいみたいな雰囲気だったじゃないか。
「す、すみません、サクヤ様」
素直にそう謝ると、女は満足気に腕を組んだ。
「分かればいいわ」
そうして俺の前をスタスタ歩いて行く。
なんか、振り回されそうだな……。
いや、すでにもう振り回されてるのか。
この異世界送りも、結局はこのサクヤ様が俺にしたことだし……。
この先、大丈夫なんだろうか……。
いや、無事に帰れたら新しいギターが待っている!
一抹の不安と期待を覚え、俺はサクヤ様に付いて行った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい
梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
罪人として生まれた私が女侯爵となる日
迷い人
ファンタジー
守護の民と呼ばれる一族に私は生まれた。
母は、浄化の聖女と呼ばれ、魔物と戦う屈強な戦士達を癒していた。
魔物からとれる魔石は莫大な富を生む、それでも守護の民は人々のために戦い旅をする。
私達の心は、王族よりも気高い。
そう生まれ育った私は罪人の子だった。
王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。
なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。
二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。
失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。
――そう、引き篭もるようにして……。
表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。
じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。
ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。
ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
何者でもない僕は異世界で冒険者をはじめる
月風レイ
ファンタジー
あらゆることを人より器用にこなす事ができても、何の長所にもなくただ日々を過ごす自分。
周りの友人は世界を羽ばたくスターになるのにも関わらず、自分はただのサラリーマン。
そんな平凡で退屈な日々に、革命が起こる。
それは突如現れた一枚の手紙だった。
その手紙の内容には、『異世界に行きますか?』と書かれていた。
どうせ、誰かの悪ふざけだろうと思い、適当に異世界にでもいけたら良いもんだよと、考えたところ。
突如、異世界の大草原に召喚される。
元の世界にも戻れ、無限の魔力と絶対不死身な体を手に入れた冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる