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プロローグ 今日俺は転生する
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俺は今日、告白する。まともに喋ったことも、連絡先を持ってもいないようなまさに憧れの人。『一宮 雅』さんに......。
「い、一宮さん!!」
昼休み。俺はいつも通り『お一人でのお食事』を終えた彼女に声をかけた。まず告白の第一段階である、『呼び出し』をするためだ。
振り返った彼女と目が合う。今俺は彼女の少し冷たげな凛々しい視線の中にいる。そう思うとただでさえ鼓動を早めていた俺の心臓は、もはや破裂寸前だ。
「何?」
あ~反応してもらえたあああああ!! これだけでもう、もう充分過ぎる。あぁ満足したやっぱ告白なんてやめよう......とも思ったが、そこはなんとか踏ん張った。俺は今日踏ん切りをつけるために玉砕すると決めたのだから。
「あ、あ、あの......放課後、ちょっと話したいことがあるから、ちょっと付き合ってもらっても良い......かな?」
ここに来るまでにシュミレートはしていた筈なのだが、結局それも役にたたなかった。が、とりあえずまともに喋れただけでも頑張ったと言えるだろう。ここまで来れば、後はどうにでもなれといった感じである。
さて、一方の彼女は少し目線を下に反らして少し考え事をしているようだ。これは果たして良いのか、悪いのか。どちらかと言えば後者のような気がするが......
「......えぇ分かったわ。教室で待ってれば良いの?」
「う、うん!! ......じゃあ、お願いします!!」
俺の心は、かつてない程に舞い上がった。どれ位かと言うと、いつもは完全にお昼寝の時間である午後の授業に一睡もしなかった位の舞い上がり方である(授業をちゃんと聞いていたとは一言も言ってない)。
そして待ちに待った放課後。俺は約束通り席で待ってくれていた彼女を連れて校舎を出た。
「「......」」
一宮さんと二人きり......俺は今日、死んでも構わない。もっと言うならば、今この瞬間に死んで永遠の幸せを手にしたい。そんな至福に一人で浸っていると、気づいた時には目的地である人気のない校舎裏にたどり着いていた。
「それで......話したいことっていうのは何かしら?」
正直、ここまであからさまだと勘づかれているような気しかしなかったが、そう問いかけてくる彼女の声色や表情には際立った変化は見られない。彼女にとって俺の告白とは、それほどまでに興味のないことなのだろうか。そんな不安が頭をよぎるも、もう関係なかった。
「......一宮 雅さん。ずっと前からあなたのことがs」
その瞬間、俺の体に電流が走った......比喩ではなく、マジの方である。一体俺の身に何が起こったのか。それを理解する前に俺の意識は無くなった。
目を覚ますと、そこは殺風景などこまでも暗い空間だった。
そして、この空間には俺と......横たわる一宮さん。彼女もちょうど今、目を覚ましたようで、少し戸惑うように周りを見渡しながら起き上がっている。
「一宮さん、大丈夫?」
「えぇ。私は大丈夫よ。それよりここは......?」
「分からない」そう答えようとした瞬間、どこからともなく甲高い高笑いが聞こえてきた。
「ふふふ、ハハハハハ!! その質問、この天使のような奇跡の美貌を誇る史上最高の女神『エゲリア様』がと・く・べ・つに答えてあげるわ」
すると突然、目の前に顔が現れた。
「うわっ!?」
俺は思わず声をあげ、すかさず距離をとった。その様をさも愉快そうに笑っている自称女神。そして、驚いているのか声も出さずにs
「あなた様が、あなた様こそが本物の女神様でございますか!? サ、サイン。この私めにサインを下さいませ!!」
「い、一宮......さん?」
「い、一宮さん!!」
昼休み。俺はいつも通り『お一人でのお食事』を終えた彼女に声をかけた。まず告白の第一段階である、『呼び出し』をするためだ。
振り返った彼女と目が合う。今俺は彼女の少し冷たげな凛々しい視線の中にいる。そう思うとただでさえ鼓動を早めていた俺の心臓は、もはや破裂寸前だ。
「何?」
あ~反応してもらえたあああああ!! これだけでもう、もう充分過ぎる。あぁ満足したやっぱ告白なんてやめよう......とも思ったが、そこはなんとか踏ん張った。俺は今日踏ん切りをつけるために玉砕すると決めたのだから。
「あ、あ、あの......放課後、ちょっと話したいことがあるから、ちょっと付き合ってもらっても良い......かな?」
ここに来るまでにシュミレートはしていた筈なのだが、結局それも役にたたなかった。が、とりあえずまともに喋れただけでも頑張ったと言えるだろう。ここまで来れば、後はどうにでもなれといった感じである。
さて、一方の彼女は少し目線を下に反らして少し考え事をしているようだ。これは果たして良いのか、悪いのか。どちらかと言えば後者のような気がするが......
「......えぇ分かったわ。教室で待ってれば良いの?」
「う、うん!! ......じゃあ、お願いします!!」
俺の心は、かつてない程に舞い上がった。どれ位かと言うと、いつもは完全にお昼寝の時間である午後の授業に一睡もしなかった位の舞い上がり方である(授業をちゃんと聞いていたとは一言も言ってない)。
そして待ちに待った放課後。俺は約束通り席で待ってくれていた彼女を連れて校舎を出た。
「「......」」
一宮さんと二人きり......俺は今日、死んでも構わない。もっと言うならば、今この瞬間に死んで永遠の幸せを手にしたい。そんな至福に一人で浸っていると、気づいた時には目的地である人気のない校舎裏にたどり着いていた。
「それで......話したいことっていうのは何かしら?」
正直、ここまであからさまだと勘づかれているような気しかしなかったが、そう問いかけてくる彼女の声色や表情には際立った変化は見られない。彼女にとって俺の告白とは、それほどまでに興味のないことなのだろうか。そんな不安が頭をよぎるも、もう関係なかった。
「......一宮 雅さん。ずっと前からあなたのことがs」
その瞬間、俺の体に電流が走った......比喩ではなく、マジの方である。一体俺の身に何が起こったのか。それを理解する前に俺の意識は無くなった。
目を覚ますと、そこは殺風景などこまでも暗い空間だった。
そして、この空間には俺と......横たわる一宮さん。彼女もちょうど今、目を覚ましたようで、少し戸惑うように周りを見渡しながら起き上がっている。
「一宮さん、大丈夫?」
「えぇ。私は大丈夫よ。それよりここは......?」
「分からない」そう答えようとした瞬間、どこからともなく甲高い高笑いが聞こえてきた。
「ふふふ、ハハハハハ!! その質問、この天使のような奇跡の美貌を誇る史上最高の女神『エゲリア様』がと・く・べ・つに答えてあげるわ」
すると突然、目の前に顔が現れた。
「うわっ!?」
俺は思わず声をあげ、すかさず距離をとった。その様をさも愉快そうに笑っている自称女神。そして、驚いているのか声も出さずにs
「あなた様が、あなた様こそが本物の女神様でございますか!? サ、サイン。この私めにサインを下さいませ!!」
「い、一宮......さん?」
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