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45.もう信じられない!

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 お姉様の入学式があった日、王子様に無礼な事をしたからって、お母様ったら私を修道院に入れたの。

 酷いと思わない? 血の繋がった実の娘をこんな辺鄙で、年食ったババアしかいなくて、綺麗なドレスも甘いお菓子も何もないところに入れるなんて。

 だから、お婆様にお手紙を書いて助けて貰おうと思ったの。

 だって私お婆様のお気に入りですもの。

 でも可愛い便箋も、書きやすい羽ペンもここにはない、ですって!

 週に何回かここでは手に入らないハムや燻製肉に調味料なんかを売りに来る商人がいるらしいんだけど、その人に頼まなきゃダメとも言われたわ。もう最悪よ。

 しかもお金払わなくちゃいけないとか言われても、お金なんて渡されてないわ。どうすればいいのよ。

 そう言ったら、刺繍でもしてそれを商人に買い取って貰えばいいなんて言われたのよ。

 簡単に刺繍でもすればいいなんて言うけど、ハンカチも刺繍糸も針もないのにどうやって刺繍するのよ。

 それに私はあんまり刺繍は好きじゃなかったから、家でも練習をさぼってたのよね。だから、刺繍は上手にできないわ。

 それに、服だって修道服を2枚と寝巻代わりに麻のワンピースを2枚渡されたんだけど、麻のワンピースなんてちくちくするし、ベッドだって袋に乾いた藁をいれたやつみたいで寝心地が悪いの。

 それに修道服も寝巻も2枚ずつしかないから毎日洗濯しないといけないんですって。

 本当に冗談じゃないわ。私は伯爵家の令嬢なのよ? 洗濯なんてできるわけないじゃない。

 だから何日もそのまま着ていたんだけど、そうすると服から嫌な匂いがしてくるの。やっぱり清潔じゃないと嫌だし、洗濯もしたくないから、外に干してあったのを借りたの。

 そうしたら、いきなり折檻されたのよ。

 泥棒は良くない事ですって、そんな事は知っているわよ。常識でしょ。

 でもあんたたちが私を迫害するから、借りただけよ。そうされるのが嫌なら、私の服を洗ってくれればいいじゃない。

 そう言ったら反省室ってところに入れられるし、食事も抜きにされるし。

 食事だってお肉がちょびっとしか入っていない野菜ばっかりのスープと雑穀が入ったパンだけなのよ? しかも1日に2食だけなの。なのに、それを抜くなんて酷いわ、虐待よ。

 だから私はこの修道院から逃げ出すことを考えたの。だって、こんなところに居たら私死んじゃうもの。

 でもね、私神様になんて真剣にお祈りなんかしていなかったのに、突然、身なりのいい男の人が迎えに来てくれたの。

 もう嬉しくて、嬉しくて飛び跳ねてしまったわ。

 最初はお母様の非道を知ったお婆様が手配してくれたのかと思ったのだけど、なんかカレスティアに行くって言うじゃない。

 カレスティアって言ったら隣国でしょ? だから、ちょっとだけ人攫いなのかしらって怖くなったんだけど、その男の人が言うには王太子殿下の指示で王太后様の所に連れて行ってくれるって言うの。

 カレスティアの王太子がなんで? って思ったけど、きっと私が可愛いから、どこかで見染められたんだわ。

 そして私が可哀そうな目にあっている事に気づいて救い出してくれたのね!



ーーーーーーーーーー

 エイヴリルはエルネストのことを銀髪に紫目の王子様っぽい人としか認識しておらず、カレスティアの王太子という事は覚えておりません。

 カレスティアの王太后のところでようやく認識したのではないかと。
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