[完結]Good-bye Darling

村上かおり

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 こんな王家の醜聞は、ある程度貴族には漏れているのでしょう。何せ2人がいたのは王城です。ここには多くの文官や武官に使用人が勤めておりますし、ほとんどの方が貴族の継嗣ではない子弟たちです。

 きっと既婚者である近衛騎士と第二王女の不貞なんて話は、瞬く間に広がるでしょう。

 貴族と言うものは娯楽に飢えておりますから。

 けれど王家としては、このまま放って置くわけにもいかないのです。

 なぜなら王女と不貞した相手は、侯爵家に婿入りした男性で、その家で嫡子である子供が生まれたばかり。

 臣下である侯爵家の夫に王女が手を出したとなれば、ここに居らっしゃる第二王子殿下や第一王女殿下の婚姻にも影響を及ぼすかもしれません。

 だって、そんな王女のいる王族を誰が信用できるというのです。

 それにこの話が城下にまで広がれば、平民の間にも王家に不信を抱くものが増えるでしょう。

 ですから、限りなく素早く、王族によってことを収める必要があると判断された、となると、リーリア第二王女の存在自体を、王家の系譜からの抹消するしかないという事なのでしょう。

 確かリーリア王女はオースティン王太子殿下やエヴァン第二王子殿下、ケイリー第一王女殿下とは母親が違います。

 前王妃様は流行り病でお亡くなりになり、ケイリー殿下がまだお小さい時に、今の王妃様を娶られた、とか。

 それでも半分は血が繋がった妹ですから、オースティン王太子殿下の悲痛な表情を見れば好き好んで選択されたわけでもないでしょう。

 ですが、王族は時に厳しい決断をしなくてはならないと、貴族学校で歴史を教えている先生が仰っていました。

 そしてその王家が、末妹の抹消を決定したというのなら、クライヴの生家であるテレンス侯爵家も、クライヴの除籍ではなく抹消を選ぶ気がしました。

 なにせテレンス侯爵家は、代々騎士団長を輩出している厳格な家系です。現当主であるテレンス侯爵こそ騎士団に所属してはいないものの、嫡男が騎士団にいらっしゃいますし、テレンス侯爵自身も曲がったことが大嫌いな性分をお持ちでした。

 ですから、そんなテレンス侯爵が不義を働いたクライヴを許すとは思えないのです。

 しかし、クライヴがテレンス侯爵家から除籍ではなく抹消されてしまえば、アマンダの父親の存在も消え失せる事になってしまいます。そして私とクライヴの結婚も無かったことにされるでしょう。

 このままだとアマンダは、私の私生児という扱いになってしまうのでは。

 考え付いた結論に、私は身体が震えました。

 どうして。

 アマンダはランバートの正式な後継者なのに。

 なんで。

 こんなふざけた事が許されるのでしょうか。

 私の頭の中で言葉にならない感情がぐるぐると回りました。とても口にすることは出来ません。だって、口にしたら、クライヴに対する罵詈雑言か、唸り声にしかならないと思うのです。
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