旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり

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バーバラ

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 私と旦那様の婚姻は、まごうことなく政略結婚でありました。

 旦那様が納得していないだろう事は分かっておりましたけれども。

 でも、私は貴族の令嬢として少しでも父の役に立つために、この結婚を了承したのです。旦那様とて、それは理解されているものと思っておりました。

 顧みられないというのは、気にしないようにしていても、やはり哀しく辛い事です。
 けれど私はそれに耐えなくてはいけません。

 ルーベンス子爵家の三女に生まれた私は、ある程度の教養とマナーを学んだら、親の勧めるままに結婚をする必要がありました。

 何せ私の実家は、女が五人に男が二人という大所帯です。
 ルーベンス子爵家は長男のニコルが継ぎますし、次男のアベルはニコルの補佐をするか、どこかに婿養子に行くしかありません。それが嫌ならリカルド様のように自立するか、平民として生きていくか。
 貴族というものは、嫡男以外は結構シビアな現実が待ち構えております。

 そして貴族子女として生まれた場合は、ほとんどが家のためになるところへと嫁に出されるものなのです。

 貴族同士の婚姻は、嫁ぐ側が持参金を用意するのが普通です。しかし我が家では全員分の持参金を用意する事なんて出来ません。

 それが分かっていたのでしょう。長女のサーシャ姉様は、大店の商人へと嫁ぎました。

 サーシャ姉様の旦那様は、商人らしく計算高いところはありますが、サーシャ姉様の事は愛してくださっているようです。そのため身一つでお嫁においでと言ってくれた上に、次女のマデリン姉様が結婚する際には、持参金を用意してくれたのです。

 それは確かにマデリン姉様の相手が辺境伯だった、という事もあるのでしょう。サーシャ姉様の旦那様は、少しでも貴族に縁を繋ぎたかったようですから。
 それでも私たちはサーシャ姉様の旦那様に感謝しました。


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