旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり

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バーバラ

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 私は普段ダイニングで日がな一日、刺繍を刺したりレースを編んだりしています。
 趣味という訳ではなく、ハンカチやリボンに細やかな刺繍を施し、レース編みであればコースターのような小さなものから、ショールやテーブルクロスなども編んでおります。そして、そういった小物を扱っている店に卸して収入を得ているのです。

 時にはお客様にご指名頂いて制作するので、生活にはさほど苦労はしていません。
 そう、一人であれば苦も無く生活できるくらいは稼ぎがあります。

 私としても出来る事ならば、一人でここにいる生活は辞めたいと思っているのです。

 市井に出たら生活は苦しくなるかもしれません。
 王都の物価は地方に比べれば高いからです。それは食料の買い出しなどをしているうちに理解しました。

 だって、私の実家があるルーベンス子爵領であれば、銅貨三枚もあれば結構な量の小麦を買うことができるのに、王都では同じ金額で半分の量を買えればいい方なのです。

 信じられないでしょう? この部屋の家賃だってーー市井の他の部屋に比べたら国から補助が出ているらしくて、結構お安くはあるのですけれどーー私が毎月払っています。

 それでも最初から私が支払っていたわけではないのです。
 結婚した当初は、旦那様も何日かに一回は帰ってーーいえ、嘘はいけませんね。ここを訪ねて来ておりました。旦那様が月にいくら給金をいただいているのかは知りませんけれど、家賃の分と月の食費分になるくらいの金額を渡してくれていたのです。

 でも何時からだったでしょう。

 数日に一回の訪問が一週間を超えても来なくなり、やがて十日を過ぎても、二十日を過ぎてもいらっしゃらなくなりました。たぶん私が刺繍などで小遣い以上に稼いでいる事に気が付いたのでしょう。

 そしてふと、ひと月以上いらっしゃっていないな、と思ったら、この官舎を管理している事務方から家賃の請求をされたのです。

 もちろん私は払いました。
 小物を作って売っている私には、旦那様の給金に比べれば僅かでしょうが収入があります。ここの家賃は安いので、私の収入でも支払うことに問題はありませんでした。


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 半銅貨=100円
 銅貨=1000円
 銀貨=10000円
 金貨=100000円

 という設定で考えています。
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