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12.捕獲 ☆
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「比べるって、どうやって!?」
「この前と同じ手順でする。」
伸びてきた手が衿元のリボンを解いた。
脱がすところからですか?
手は縛ってないけど、いいんですかね?
余計なことは言いませんが。
「前でするの?」
「……今日は後ろでする。」
『今日は』ですか……。
ハロイの許可を取って来るということですね。
そして、まだ許可は貰ってないんですね。
正面に移動してきたハージェイの顔が近づく。
「前じゃないと、意味がないんじゃ?」
ハージェイの目の色が変わった。
『前でしたい』とも取れる自分の発言に余計なことを言ったと気付いて、血の気が引く。
「無意識の行動を検証をする。」
理性は残ってたらしい。
そのまま唇が重ねられ、次第に深くなっていく。
首筋を下へとなぞった手が支えを失った衿を広げ、肩を露にした。
理性と衝動の狭間で揺れながら、どうしても一つ気になって、腕を叩いてキスを止めさせる。
「外から、見てる。」
チッと舌打ちしたハージェイが離れた。
ほっと息をつき、開けた衿を直し、リボンを引っ張って手早く結ぶ。
窓まで後三歩。
持ってきた鞄はテーブルの上にある。
窓まで後二歩。
横目で周囲を確認する。
後一歩のところで立ち上がり、鞄を持って扉へと走った。
扉を開け、廊下へと飛び出す。
ここは四階。
近くに樹木もないし、下がどうなっているかも分からないので、窓から出るのは難しい。
登ってきた階段へと走る。
階段の手摺に手を掛け、飛び降りようと腰を浮かせた。
その腰に手が掛かり、後ろへと引っ張られる。
ハージェイは私を肩に担ぎ上げると、来た廊下を逆に歩き始めた。
ハージェイは腰を引っ張った後、転倒しなかった。
それだけ余裕があったということだろう。
私は抵抗を諦めて、大人しく部屋に戻された。
ベッドに降ろされた後はもう済し崩しだった。
口移しでワインを飲まされ、そのまま深いキスが始まると、体を這う手が感じるところに触れながら、服をはだけさせていく。
体の力がすっかり抜けた頃、足を割り広げられた。
視界の端でハージェイの頭が沈むのが見えると、一番感じるところに息が当たって、背筋が緊張でピクリと跳ねる。
「あっ、だめぇっ。」
陰部全体をざらりと舐め上げられて、快楽へと一気に落とされる。
襞を、膣口を、陰豆を、同時に舌と指で刺激され、溢れた汁の水音が部屋に響く。
「あっ、いやぁ、いっ、あっ、んんっ、やぁあ、──」
豆を強めに吸われて飛びそうになった時、突然刺激が取り上げられた。
続きを強請る言葉を言おうとして、扉の向こうに複数の人の気配があることに気付く。
扉を叩く音がして、慌ててベッドの陰に身を隠す。
「ディーナァ、無事ぃ?」
トエットさんだ。
「開けるよー。」
返事をする前に声が聞こえ、鍵を開ける音がする。
脱がされた服をベッドの上から引き摺り降ろし、胸に当てて体の前面を隠す。
「邪魔すんなよ。」
ベッドと扉の間に立ったハージェイが、扉を開けたトエットさんに抗議する。
服着てた。よかった。
「いやー、ディーナが心配だってあの子達が煩くてさー。」
入り口の内側にトエットさんが立ち、開いた扉の縁から二人の男の子が部屋を覗き込んでいた。
逃げて、捕獲されて、部屋に戻されたところを見たんだね……。
ベッドの縁から頭と手だけを出して、ジェスチャーで子供達に謝罪と感謝を伝える。
「ティーナ、合意の上ってことでいいかぁ?」
「……いいです。」
もう一度問われて、言葉で返す。
恥ずかしくて、向こうから見えないよう体を低くした。
「ジェイ、節度は守れよー。ディーナ、減点。恥じらうならベッドの上で可愛くやれ。じゃーなー。」
そう言って、トエットさんは出ていった。
ハージェイが扉へと向かう。
おそらく鍵を掛けに行くのだろう。
トエットさん、マスターキー持ってるんだね。
管理人さんだものね。当然だね。
サイドボードに置かれたワインが目に留まったので、一緒にあったグラスに注いで飲んだ。
二口飲んだところで、ハージェイが戻ってきたので、残りを渡す。
「再現するとか関係なかったね。」
「お前が逃げるからだろ……。」
ハージェイはワインを呷ってグラスをサイドテーブルに置くと、胸元で服を押さえる私の手に、手を掛けた。
「行かなかったってことは、いいんだな。」
「するのは……、いいんだけどね……。」
ハージェイが屈んで、私の耳元に顔を寄せ、耳朶を食む。
引きかけた官能を呼び覚ます行為に背筋を震わせながら、服を押さえる手を下げようとする手に抗う。
「手順とか……んっ、他の男の人のこと、考えながらするの、嫌だなって……。」
首筋へと降りてきていた口の動きが止まった。
「トランプの人間として、それじゃあダメだっていうのは、分かってるんだけど……。」
顔を上げたハージェイに至近距離から顔を見られ、居たたまれなくなって、顔を逸らす。
通常、トランプでは閨について、快楽に落ちないように、行為に集中し過ぎないように、といった訓練が施される。
私はお役目があるため、皆と違った訓練が行われた。
快楽を知った上で、快楽に落ち過ぎないようにと訓練された。
ハージェイと行ったのは快楽を知る訓練だった。
浮上できないほど奥底までずぶずぶに落とされた。
この人には敵わないと、骨の髄まで教え込まれた。
その後の訓練は順調に進んだけど、ある種の予感があった。
ハージェイ相手にはダメだと。
先日は、ゼットがいたからまだマシだった。
だけど、今日はもう抗うことを諦めてしまった。
「後でちゃんとするから……。してる間はジェイのことだけ考えたいんだけど、ダメかな?」
「この前と同じ手順でする。」
伸びてきた手が衿元のリボンを解いた。
脱がすところからですか?
手は縛ってないけど、いいんですかね?
余計なことは言いませんが。
「前でするの?」
「……今日は後ろでする。」
『今日は』ですか……。
ハロイの許可を取って来るということですね。
そして、まだ許可は貰ってないんですね。
正面に移動してきたハージェイの顔が近づく。
「前じゃないと、意味がないんじゃ?」
ハージェイの目の色が変わった。
『前でしたい』とも取れる自分の発言に余計なことを言ったと気付いて、血の気が引く。
「無意識の行動を検証をする。」
理性は残ってたらしい。
そのまま唇が重ねられ、次第に深くなっていく。
首筋を下へとなぞった手が支えを失った衿を広げ、肩を露にした。
理性と衝動の狭間で揺れながら、どうしても一つ気になって、腕を叩いてキスを止めさせる。
「外から、見てる。」
チッと舌打ちしたハージェイが離れた。
ほっと息をつき、開けた衿を直し、リボンを引っ張って手早く結ぶ。
窓まで後三歩。
持ってきた鞄はテーブルの上にある。
窓まで後二歩。
横目で周囲を確認する。
後一歩のところで立ち上がり、鞄を持って扉へと走った。
扉を開け、廊下へと飛び出す。
ここは四階。
近くに樹木もないし、下がどうなっているかも分からないので、窓から出るのは難しい。
登ってきた階段へと走る。
階段の手摺に手を掛け、飛び降りようと腰を浮かせた。
その腰に手が掛かり、後ろへと引っ張られる。
ハージェイは私を肩に担ぎ上げると、来た廊下を逆に歩き始めた。
ハージェイは腰を引っ張った後、転倒しなかった。
それだけ余裕があったということだろう。
私は抵抗を諦めて、大人しく部屋に戻された。
ベッドに降ろされた後はもう済し崩しだった。
口移しでワインを飲まされ、そのまま深いキスが始まると、体を這う手が感じるところに触れながら、服をはだけさせていく。
体の力がすっかり抜けた頃、足を割り広げられた。
視界の端でハージェイの頭が沈むのが見えると、一番感じるところに息が当たって、背筋が緊張でピクリと跳ねる。
「あっ、だめぇっ。」
陰部全体をざらりと舐め上げられて、快楽へと一気に落とされる。
襞を、膣口を、陰豆を、同時に舌と指で刺激され、溢れた汁の水音が部屋に響く。
「あっ、いやぁ、いっ、あっ、んんっ、やぁあ、──」
豆を強めに吸われて飛びそうになった時、突然刺激が取り上げられた。
続きを強請る言葉を言おうとして、扉の向こうに複数の人の気配があることに気付く。
扉を叩く音がして、慌ててベッドの陰に身を隠す。
「ディーナァ、無事ぃ?」
トエットさんだ。
「開けるよー。」
返事をする前に声が聞こえ、鍵を開ける音がする。
脱がされた服をベッドの上から引き摺り降ろし、胸に当てて体の前面を隠す。
「邪魔すんなよ。」
ベッドと扉の間に立ったハージェイが、扉を開けたトエットさんに抗議する。
服着てた。よかった。
「いやー、ディーナが心配だってあの子達が煩くてさー。」
入り口の内側にトエットさんが立ち、開いた扉の縁から二人の男の子が部屋を覗き込んでいた。
逃げて、捕獲されて、部屋に戻されたところを見たんだね……。
ベッドの縁から頭と手だけを出して、ジェスチャーで子供達に謝罪と感謝を伝える。
「ティーナ、合意の上ってことでいいかぁ?」
「……いいです。」
もう一度問われて、言葉で返す。
恥ずかしくて、向こうから見えないよう体を低くした。
「ジェイ、節度は守れよー。ディーナ、減点。恥じらうならベッドの上で可愛くやれ。じゃーなー。」
そう言って、トエットさんは出ていった。
ハージェイが扉へと向かう。
おそらく鍵を掛けに行くのだろう。
トエットさん、マスターキー持ってるんだね。
管理人さんだものね。当然だね。
サイドボードに置かれたワインが目に留まったので、一緒にあったグラスに注いで飲んだ。
二口飲んだところで、ハージェイが戻ってきたので、残りを渡す。
「再現するとか関係なかったね。」
「お前が逃げるからだろ……。」
ハージェイはワインを呷ってグラスをサイドテーブルに置くと、胸元で服を押さえる私の手に、手を掛けた。
「行かなかったってことは、いいんだな。」
「するのは……、いいんだけどね……。」
ハージェイが屈んで、私の耳元に顔を寄せ、耳朶を食む。
引きかけた官能を呼び覚ます行為に背筋を震わせながら、服を押さえる手を下げようとする手に抗う。
「手順とか……んっ、他の男の人のこと、考えながらするの、嫌だなって……。」
首筋へと降りてきていた口の動きが止まった。
「トランプの人間として、それじゃあダメだっていうのは、分かってるんだけど……。」
顔を上げたハージェイに至近距離から顔を見られ、居たたまれなくなって、顔を逸らす。
通常、トランプでは閨について、快楽に落ちないように、行為に集中し過ぎないように、といった訓練が施される。
私はお役目があるため、皆と違った訓練が行われた。
快楽を知った上で、快楽に落ち過ぎないようにと訓練された。
ハージェイと行ったのは快楽を知る訓練だった。
浮上できないほど奥底までずぶずぶに落とされた。
この人には敵わないと、骨の髄まで教え込まれた。
その後の訓練は順調に進んだけど、ある種の予感があった。
ハージェイ相手にはダメだと。
先日は、ゼットがいたからまだマシだった。
だけど、今日はもう抗うことを諦めてしまった。
「後でちゃんとするから……。してる間はジェイのことだけ考えたいんだけど、ダメかな?」
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