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1章:少年の成長
12話
しおりを挟むギルドから出て遠くの向かいにある大きな城が見えた。
(あれがアーレスト城か。あの近くに学園があるのか。)
城を目印にして歩いていたら中々大きい建物が見えてきた。城ほどではないが、それの半分ぐらいだからかなりの大きさだろう。
迷わず学園に向かって進むと学園の大きな入口に辿り着いた。その横には小さな警備所があった。
「ちょっとまて。君学園の人じゃないね。何しにここへ?」
「学園の入学手続きに来た。」
「そうか。じゃー名前を教えてくれる?
それと、まぁ人族に見えるけど一応種族もね。」
「ルークだ。鬼人族。」
「ほぇ~!鬼人族か!珍しいなぁ!でもお前角がないじゃないか。」
「色々あった。」
「そうかぁ。まぁこれが受験番号と受験日時だ。遅刻したら試験は受けられないぞ。気をつけろよ。それと頑張れよ!」
「分かった。」
そのやり取りが短時間で終わったので泊まる宿を探しにまた街の中へ戻った。学園の生徒になるまでは、宿舎は使えないから宿を自分で探して泊まるしかない。街の中を適当に歩いて見つけた宿に泊まることにした。
「ようこそ!『金の豚亭』へ!!!」
元気よく出迎えてくれたのは金髪のルークより2歳は年下の女の子だった。
「お客様!おひとり様ですか?お食事?それともお泊まり??」
「泊まりだ。学園の入学までの2週間で頼む。」
「分かったよ!1泊銅貨5枚だから……え~と銀貨7枚だね!」
「分かった。」
「それじゃ、この宿について説明するよ!食事は、朝と夜の2食分!これは食べても食べなくてもよし!お金はかからないよ!温泉は1回銅貨3枚かかるけど言ってくれれば入れるよ~!あ!あと!ここでは争い事、揉め事は、禁止!!!絶対だめだからね!これで終わりだけどなにか質問ある?」
「特にはない。」
「じゃ~夕食は時間決まってるからちゃんとその時間に帰ってこないとご飯はないよ!そこ気をつけてね!!」
「あぁ。分かった。」
その会話が終わり自分の部屋に移動した。
今日は濃い1日だった。
「あぁ~。疲れた。少し早いけど寝るか。」
そしてルークの1日は終わり起きた時には次の日の朝になった。
今まで道理の鍛錬をしながら毎日を過ごしていたが、学園の試験の2日前にルークの所に尋ねてきた人がいた。
「君がルークくんかい?」
「あぁ。俺がルークだが?」
「うん!噂通りだね!素っ気ない感じとその綺麗な銀髪!珍しいからなぁ~」
「で?俺に何の用だ?」
「冷たいなぁ~。まぁ今日は勧誘をしに来たんだ。率直に言うと僕のクランに入らないかい?」
「断る。」
「はや!?まだクラン名も言ってないよ?そこまでしてクラン入りたがらない理由は?」
「俺には仲間は必要ない。」
「へぇ~。それほどに自分の力に自信があるんだぁ。これはますます君が欲しくなったねぇ。」
「何度も言わせるな。」
「なぁ。君さ、あんまり調子に乗ると痛い目を見るよ?これは忠告だ。」
「それはどうも。」
「ふっ。本当に面白い!僕のクランは『銀の狼牙』覚えておくといいよ。困った時は助けてあげるよ。」
「助けが必要な時が来ればいいな。」
「まぁ限界を感じないと分からないか。
それじゃ~僕は帰るよ。少しでも前向きに考えてくれたら嬉しいな!」
「団長!!!」
「うわっ!?やべ~、、、見つかっちゃったよ~。」
「まだ書類が終わってないのに気づいたら居なくなってるなんて!今日は許しません!早く帰りますよ!」
「それじゃまたね~」
そんな騒ぎを周りで見ていた住人達が騒ぎ始めた。
「おい!あの引きずられてるやつ、アレス・オーバンじゃねぇか?」
「ほんとだ!アレス・オーバンだ!本物だぜ!」
「引きづてる方がカリアリット・バレンか!」
「まさかこんなとこで大物に会えるとはなぁ!今日はツイてるぜ!」
周りの騒ぎで聞こえたがこの短期間にこの国のTOP2つのクランに会ったらしい。この世界には、5つのSSSクランが存在する。この国だけがSSSクランが2つも存在している。そのリーダー2人に会うことがどんなに貴重なことかまだルークは理解していない。
ほとんど遠征やクエストで会えないらしい。更にギルドに顔を出すのも滅多にないそうだ。
(てことは、あいつもランカーに入ってるのか。)
そう。この世界には11人のSSSランクがいる。そのうちの2人が『赤い龍牙』『銀の狼牙』のクランマスターであった。
(似てる名前だな。)
そう考えていたら街の人達の話し声が聞こえた。
「そう言えば、今日あのガレスがギルド長に呼ばれたらしいぜ?」
「なんでだ??」
「なんか知らないけど、鬼龍山の魔物が活発になったらしい。大氾濫でも起きるんじゃねーか?」
「それは笑えねぇよ!鬼龍山の魔物はレベルが高いから一般の冒険者じゃ歯が立たないぞ!」
「だから呼ばれたんじゃねーか?ちょうどこの街に今アレスもいるんだし」
その時街の外から王都全体に聞こえる轟音が鳴り響いた。
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