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27 【クエスト2】を受けた
しおりを挟む朝ご飯を食べ終わり、次の目的地へ向かうことに。精霊ルビーが案内をしてくれることになった。
準備をして荷物を持って、部屋から出た。階段を降りていたら他の旅人たちが出発するところで、にぎやかだった。
『次の目的地の塔まで遠いので、頑張って行きましょうピ!』
俺の肩に乗っていたルビーが告げた。
「ルビー。俺達を乗せて、バ――っ! と飛んで行かないの?」
赤の塔から、俺達を乗せて飛んで来たようなことはしないのかな。遠いのなら、飛んで行ったほうが早くない?
『あれは非常事態だったから! 魔力を大量に使うので、無理ピ!』
え――。そうなのか。
「じゃ、ルビー。俺の肩に乗って、休んでいて」
『ピィ!』
ルビーは返事をした。
「レミさん。次の塔まで歩いて行くけど、体調は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。空で移動した方が酔う……いえ、なんでもないです!」
良かった。とりあえず徒歩で進むしかない。
宿泊代を払って、宿屋から出ようとした。
『あのっ! 冒険者さんですよね?』
呼び止められて振り向いた。宿屋に泊まっている人だろうか? 二十代くらいの女性だった。マントや大き目のカバンを持っていて服装からして、旅をしているみたいだけど俺達に何の用だろう? 何だか真剣な表情で俺達を見ている。
「そうだけど、なにか?」
うつむいて、スカートを握りしめていた。女性は顔を上にあげて俺達に「頼みたいことがあります!」と言った。
『結婚を約束した彼が私の家にある借金を代わりに返すため、この地方に来て魔物と戦うと言って旅に出てしまったのです』
女性は泣きそうな顔をした。……ハッ! これはもしや、クエスト!?
『一か月前まで彼からの手紙が届いていたのですが、それきりまったく手紙が届かなくなってしまって……』
女性は下を向いた。辛そうだ……。レミさんは「まあ……」と女性の話を真剣に聞いていた。
『彼を追いかけてここまで来たのですが、私はこれ以上の強い魔物がいる場所には行けません。彼に手紙を渡して欲しいのです』
女性は涙をぬぐった。
『お願いできないでしょうか……?』
【クエスト2】
『女性から手紙を受け取って、彼へ手紙を渡すこと』
急にステータス画面みたいのが目の前に出て、クエストが発生したことを知らせた。やっぱりクエストだった!
『わかりました! 必ず、彼へ手紙を渡しましょう!』
あ……っ。また勝手にテンプレセリフが口から出た――。
『ありがとう御座います! お願いします!』
俺は女性から手紙を受け取ってしまった。
【クエストを受けました!】 ピコン! と音がなって、クエストを受けたことを知らせてきた。
『あ! この依頼はギルドに登録済みです! 自動的にギルドへ依頼を受けた冒険者がわかりますので、ご安心なさってくださいね』
女性は詳しく説明してくれた。テンプレも便利だ。
『では……』
女性は去っていった。女性はずっと、この宿屋で彼を待っているのだろうか?
「早くこの手紙を届けてあげたい。……行こうか」
「はい」
『ピィ』
宿屋を出て歩いて行くと、道沿いに花が咲いていたり小川が流れていたりと自然の多い所だった。
緩やかな坂道や下り坂がいくつもあって、飽きなかった。俺とレミさんは歩調を合わせて歩いていた。
しばらく雑談をしながら歩いていると、小鳥のルビーはソワソワし始めた。
『退屈だから、歩いて行きたい』
「え? ルビー?」
パタタタ! と俺の肩から飛び立って、ポン! と人間の女の子の姿になった。
「わ! ルビー! こんな所で人間にならないでくれ! 誰かに見られたら大変だ!」
『ふむふむ。二本足で立つと、こんな感じ――?』
聞いてないな。って、裸足!?
「ルビー、靴は?」
白い袖なしのワンピース姿に裸足だった。地面に素足で立っていた。
「手ぶら……ですね。ルビー様、持ってないかと」
レミさんがルビーを見て言った。確かにカバンも持ってない。
「ちょっと待って」
俺はレミさんとルビーを、道からはずれて人目のつかない所へ移動した。乾いて小石がゴロゴロしている道だとルビーの足の裏が傷だらけになってしまう。
「座って、ルビー」
俺はルビーを木の影に座ってもらった。レミさんは小川の近くへ行ったのが見えた。
「予備の靴があったはず……」
ごそごそとマジックバッグの中を探していた。指先に靴底のような感触があったので、掴んで取り出した。
「あった」
ブーツだけど、サイズが合えばいいけれど……。
「これで足を拭いて下さい」
「ありがとう、レミさん」
俺はレミさんから小川の水で濡らした布を受け取って、ルビーの足の裏を調べた。土がついていたけれど、ケガはしてないようだ。
「足の裏を拭くよ」
一応断ってから拭いた。軽く足首を持って優しく足の裏をきれいにした。
「ピピ! くすぐったい!」
パタパタと足を動かしたけれど、かまわず足裏をきれいにした。くすぐったいので、足の指が全部パーの形に開いていた。面白い。
「ブーツだけど履いてみて」
「うん」
スポッとブーツを履いて見るとちょうど良さそうだった。
「どうですか?」
「いいと、思う」
ブーツの足先とかかとを確かめると、ちょうどいいサイズだったみたいだ。靴ひもをルビーの足に合わせて通していった。
「立って、歩いてみて」
手を取って立ってもらった。ブーツを履いたルビーは、両手を横へ出してバランスを取った。
「歩く……」
ブーツに慣れてないのか、ちょっとよたよたと歩いた。慣れなくて靴擦れになったらかわいそうだな……。
「もう慣れた」
木の幹の周りを何回か歩いていたルビーは言った。最初はぎこちなかったけれど、だんだん上手になった。
「すごいわ! さすが精霊様、ですわね」
レミさんはルビーの歩く姿へ拍手した。
「痛くなる前に休むから、無理をしないようにね?」
「うん!」
ブーツを履いたルビーは、ニコッと笑った。
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