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20 一の塔 二階
しおりを挟む「ふう……。ん? 二階に着いたかな?」
長い階段を登りきると扉はなくて、ぽっかりと壁の開いた大きな入り口があった。
「レミさん、二階に着いたみたいです!」
結構な数の階段を登ってきて俺も、レミさんも疲労を感じてきたところだった。
「着いたの?」
汗を拭ってレミさんは俺にホッとしたように言ってきた。
やっと着いてそこをくぐって入ると、真正面が壁だった。
「あれ? 壁?」
左を向いて見ると行き止まりの道。右を見てみると道があった。右に行くしかない。
「右に行くしかないですね」
「そうだね」
ジャンプすれば何とか手が届きそうなくらいの高さ。天井までは壁は続いてなくて、壁で仕切られている感じだ。
右の道を進んで行くと行き止まりだった。左の方を見ると道が続いていたので曲がって進んだ。
「敵はいるのかな?」
だとしたら階段よりも厄介だ。前、後ろ、飛行タイプの魔物が上から襲ってきたら逃げ場がない。俺達はより警戒して進んだ。
「また行き止まりです。でも、こちらに進めます」
壁に挟まれた狭い道を進んで行くうちに、迷いそうになった。焦ってくると、レミさんと離れそうになる。
「離れないようにしよう!」
「はい!」
白い壁を右、左と進んで行くとどこから来たかわからなくなってきた。
今、どの辺りかわからない。どのくらいまで進んだのか、初めて来た場所なのであとどのくらいか見当もつかないので、イライラしてくる。
「この感じ……。どこかで……?」
右・左と行き止まりの道……。体験したような気がする。
「本当にたどり着くのかしら?」
レミさんも不安になってきている。このままではたどり着けられるかわからないし、迷ったまま途中で……?
俺は頭を振って考える。この感じ、転移前に体験した……。どこで?
「あっ!?」
「どうしました!? 敵ですか!?」
レミさんは、バッ! と剣を抜いた。そろそろ限界がきているかも。俺もレミさんも。
「ここは、迷路になっているかもしれません!」
俺は遊園地やイベントなどで、迷路に挑戦したことがある。まさに、この部屋は迷路だ!
「迷路……?」
レミさんは首をかしげた。この世界に人が作った迷路は、ないかもしれない。
「迷いの路です! このままでは出られません」
まさに迷路! わざと迷うように作られている。
「えっ? どうしたら……」
場数を踏んでいるレミさんでも、迷路は初めてらしい。それなら俺が頭を使わないといけない。
「レミさん、ここを抜け出す方法があります! 俺の真似をしてくれますか?」
にっ! と、レミさんに笑ってみせた。
「はい!」
俺は一度しゃがんで上に向かってジャンプした。天井と壁は繋がってなくて、壁のてっぺんに手をかけられた。
「よいしょ、っと!」
壁のてっぺんに登ってみた。壁の幅がだいたい靴二足分ぐらいあったので、上に乗れた。
「レミさんも登っておいでよ!」
高さは二メートルないくらいかな? 運動神経の良さそうなレミさんなら、登れると思った。
「は、はい!」
軽い感じでジャンプをして上に登ってきた。さすがレミさん。
「あ! これは……!」
レミさんが落ちないよう慎重に、上から遠くまで見渡した。上から見ると仕切られた壁で、道が無数にあるのがわかった。
「これじゃあ、迷うよ。気が付いて良かった」
出口がはるか遠くに見える。
これは侵入者を迷わすように作られた道だ。出られなければここで永久に、さまようことになる。恐ろしい。
「レン様。ここに登って、迷路だと……分かりましたけど、どうやって出るのですか?」
スッと立ってこちらを向いた。立ち姿がきれいだなと思った。
「こうして行けばいい。よっと!」
ピョン! と俺は隣の壁の上に飛び乗った。
お金を払って遊ぶ迷路ならズルだけど、命がかかっているのでは違う。早く脱出しなくてはいけない。
「なるほど……! わかりました」
レミさんも壁の上をジャンプして、俺の後についてきた。
トンッ! トンっ! トンッ! と壁の上をジャンプして出口めざして進んだ。
「これ、意外と疲れますね!」
ピョン、ピョンと飛んで進むとき、落ちないように気をつけて行くとかなり神経を使った。
出口に近づいて迷路の下を見ると、強そうな魔物が潜んでいた。
「うわあ……」
運がよくて出口の近くへ進んでも、強い魔物に挟まれてやられていたかもしれない。
「危なかったですね」
レミさんも気が付いたようで、下を見てキュッと唇を結んでいた。
迷路の出口へたどり着いて、壁の上から慎重に下りた。
「やっと出口に着きましたね……」
ふう……と息をはいて、二人でホッとしていた。さすがに足が疲れて休憩をとることにした。
三階へ登る前に座って休んだ。ギルマスから準備してもらった荷物から、木でできたカップへ取り出して薬草茶を淹れて、レミさんへ渡した。こちらの世界の簡易的なキャンプ用品なようなものが、たくさん入っていた。ありがたく使わせてもらった。
固形の、何かの油の塊を金属っぽいお皿に乗せて、小型の折り畳みの焚き火台みたいので火を起こす。火を起こす棒で火を起こした。
ボッ! と簡単に火がついたのは良かったけれど、思っていたよりも火力が大きくて驚いた。レミさんはとくに驚いてなかったのでこれが普通なんだろうと思った。
小さい入れ物、コッヘルでお湯を沸かした。
「あら、おいしいお茶ですね」
「疲れが取れる薬草のお茶をブレンドしました」
香りや味も良くしたくて、工夫した。なかなか自分で淹れたお茶だけど美味しい。
「あ! 甘いものも、ありますよ」
忘れる所だった。俺はカバンからアメを取り出した。
「え! それは嬉しいですわ!」
瓶に色々な色のアメが入っていて、荷物の中にあった。疲労回復のお茶とアメをなめて休憩時間を楽しんだ。
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