14 / 60
14 生まれ持った才能 <ギフテッド>とは
しおりを挟む「眠れないかと思ったけど、グッスリ眠れたな……」
子供の体なので夜になると眠くなる。スッキリ!
今日は塔へ出発の日。出発の日まで時間があったから、ツボで薬を作っていた。植物図鑑を見ていたら薬草の効能が載っているので良さそうな薬草同士をかけ合わせてみた。
すると傷薬の他に、内服薬を作れるようになった。
ギルドへ行って薬のことを聞いてみた。
自分以外の人に薬を与えるには、試験をして資格が必要と聞いた。そうだよね。転移前の世界だと、難しい試験や勉強して「薬剤師」になれるはず。
俺には無理かな……と思ったら。この世界の人は、自分に与えられた生まれ持った才能があるらしく、自然と備わっているらしい。
転移前の世界の薬剤師とは似ているけれど、似て非なるものらしい。
つまり……。もし俺にその生まれ持った才能があるならば、資格が取れるということだ。
「でも全然勉強してないよ」
ミミリーさんに聞くと、「大丈夫よ!」と言った。何が大丈夫かわからない。
「塔へ行く途中に【薬草 配合師】の資格の試験所がある。受けるといい」
ギルマスは、聞いてことのない職業を俺に言った。
「【薬草 配合師】! 君なら大丈夫!」
真っ直ぐな瞳でミミリーさんは、俺の両肩をバンバンと叩いた。少し痛かった。
そして出発の日。俺はギルドへ指定された時間に、遅れず着いた。
「お早う御座います! レン様!」
ミミリーさんとギルマスと、あと初めて会う人がいた。
「おはようございます!」
元気よく挨拶した。挨拶はきちんとしないとな。
「お早う、レン。紹介する。こっちが、案内役兼護衛のレミだ。女性だが、腕はその辺の者より良い。安心しろ」
ギルマスに紹介されたのは女性。帯剣している。スッと前に出てきて品の良い礼をした。
「初めまして、レン様。私は案内役兼護衛を任されました、レミと申します。よろしくお願いいたします」
真面目そうな人だった。背筋は伸びて姿勢がいい。茶色い髪の毛は後ろで束ねていて背中位の長さだ。白いシャツに厚めの皮の、短めのポンチョみたいな上着に下は『冒険者のズボン』を履いていた。
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
握手をしようと手を出したら、レミさんは少しかがんで俺の手を取った。……早く身長が伸びないかな。
「これはこちらが用意した荷物だ。持っていけ」
ギルマスは、リュックサックみたいな袋を渡してきた。袋からあふれるくらいの荷物だった。
「たくさん……! ありがとう御座います!」
俺はお礼を言って、なにげなくカバンへ入れた。
「あ? レン、お前。マジックバッグを持っているのか!?」
ギルマスは驚いてカバンを見た。……しまった。このカバンは、レアアイテムだった。
「あ――、その……」
どう説明するか悩んだ。
「いい、いい。もうお前には驚かないようにするよ」
ギルマスは呆れて、俺に言った。そうしてくれると助かる。でも気をつけなくてはいけないな。今度から用心しよう。
「では、行ってきます!」
「行ってまいります」
レミさんの案内で俺はついて行くことにした。
「いってらっしゃい! お気をつけて!」
ミミリーさんが手を振ってくれた。俺もミミリーさんに手を振った。ギルマスは片手をあげて、俺に「頑張ってこい」と言って送り出した。
まだ早い時間なので、町の中は人が少ない。ギルドから歩いて町の入り口まできた。
『おや、まだ早い時間だがお出かけかな? お気をつけて!』
おじいさんが俺達にテンプレセリフを言って、見送ってくれた。俺とレミさんは町の外へと歩き始めた。
「まず、一の塔を目指します。その前に【薬草 配合師】の資格の試験所へ行って、試験を受けてください」
「はい!」
いきなり試験か……。大丈夫かな? 緊張する。
「生まれ持った才能 <ギフテッド>を持っていれば、大丈夫ですよ」
レミさんは少し微笑んで話した。俺からレミさんを見ると目線は斜め上。久しぶりの身長差があって新鮮だ。
少し吊り目の緑の瞳は、きれいな色だった。
「生まれ持った才能 <ギフテッド>って、どんなものがあるの?」
漠然としていていまいちわからない。
「そうですね。例えば私は剣の、生まれ持った才能 <ギフテッド>を持っています。物心ついたときには剣を握っていました」
レミさんは柄を触った。立派な剣だ。
「剣が当たり前のように、私の側にありました。そして惹きつけるように、良い剣を手にできるのです」
あ、それって……。俺が偶然に植物図鑑を拾ったり、アッシュから【魔力のツボ】を貰ったり……したことかな?
俺にその『生まれ持った才能 <ギフテッド>』を持っていればの話だけれど。
「これは一部の、選ばれた者の特権です。自分に与えられた役割に気づくことが大事です」
レミさんは、話し方が堅いなあ……。
「レミさん」
「はい、何でしょうか?」
こちらを見る所作も、品の良さが隠し切れない。良い所のお嬢様じゃないかと思った。
「俺の方が年下だから、敬語じゃなくて普通に話してくれるといいな」
俺は笑顔を作りながら、レミさんに言った。
「あっ……。そういえば、ギルドマスターから言われていました。一般人の話し方をするようにと……」
しまった……と気づいたレミさんは、キリッとした表情が崩れて可愛らしかった。
「敬語はなしで、お願いしますね! レミさん!」
「はい。レンさん」
時間がかかりそうだけど、敬語なしの会話をしたいと思った。
87
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる