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18 失われた場所
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ああ、久しぶりの俗世よ―――
服やバッグ、靴が並ぶショップの店先、お気に入りのカフェやスイーツ店。
まだ開店前で人もいないけど、山奥の寺から降りてきた修行僧みたいな気分よ。
一年や二年も離れていたわけじゃないのに懐かしく感じた。
「朝早く出てきたから眠いなー」
追悼個展の打ち合わせまでにはまだ時間がある。
島から出るついでに私には行きたい所があった。
朝早く白い霧の中、始発のバスに乗って島を出た。
電車に乗り、私が来たのは以前住んでいた場所。
そう―――斗翔と暮らしていた家に向かっていた。
「……ちらっとだけね。うん。ほんの少しだけ顔を見るだけだし!」
『監視がいる』なんて物騒なことを言われて気にならないほうがおかしいわよ。
今の時間なら、まだ出勤前だろうし。
さりげなく、通り過ぎるくらいならいいわよね。
そう思って、斗翔の家の前に来ると―――
「え?」
これは夢?
それとも私の目がおかしいの?
私と斗翔が住んでいた古い家があった場所は更地になっていた。
庭の木も草も何一つない。
「……どういうこと」
ふらりと足を前に出した。
思い出の欠片一つさえ、見当たらない乾いた土がスニーカーの底に触れ、じゃりっ音をたてた。
足に力が入らない。
こんなことがあるの?
だって、斗翔と会ったのは先週の土曜日だよ?
呆然と立ち尽くしていると、隣の家のドアが開く音がして、見知った顔のおばさんが近づいてきた。
「あら?夏永ちゃん?どうかしたの?」
「あのっ!斗翔はどこに行ったんですか?」
「夏永ちゃんに言ってもいいのかしら?斗翔君と別れたそうじゃないの」
「そうなんですけど……」
「私から聞いたって言わないでちょうだいね。婚約者の女性とマンションに引っ越して一緒に暮らしているらしいの」
頭が横殴りされたかのような衝撃を受けた。
一緒に暮らしているって……。
「夏永ちゃんも早くいい人が見つかるといいわね。元気でね」
早口でお隣のおばさんはそう言って、また家の中に入って行った。
おばさんの態度からは『面倒なことには関わりたくない』というのが伝わってきた。
お隣の家のドアは開くことなく、私はなにもなくなった場所に一人取り残された。
「婚約者……」
優奈子さんと暮らすから、ここはもう必要ないってこと?
それで、斗翔は私を愛人にでもするつもり?
斗翔に限ってそんなことするわけない!
気づくと手が震えていた。
「どういうこと……」
連絡したくても以前のスマホの番号じゃつながらない。
私と斗翔を繋ぐものは何一つなく、会いたくても私は斗翔に近づけなくなってしまっていた。
私の声は斗翔には届かない。
更地の土の感触がいつまでも私の中に残り、頭の中がざらざらして、考えがうまくまとまらなかった。
私から斗翔に会いに行くことはできないということだけは理解できた。
―――もう涙すらでなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どうやってそこまで行ったのか、覚えていない。
追悼個展の打ち合わせ場所は会場予定のデパートの催事場で広々とした白い空間に気づいたらぼんやり立っていた。
「清本夏永さんですか?」
そう名前を呼ばれて、自分を取り戻すことができた。
しっかりしなければ。
おばあちゃんの代理で今日は来ているようなものだ。
そう思って振り返る。
「はじめまして。須麻馨介です!君がお孫さん?唄代先生に似ているなぁ」
電話と同じ、夏の日差しのように明るい声だった。
ぼうっと須麻さんを眺めた。
華やかな容姿に堂々とした振る舞い、女性にモテそうな雰囲気のある男の人で年齢は私より上みたいだけどどこか子供みたいに無邪気だった。
「ん?なんか俺、おかしかった?」
「いいえ。草木染めに興味がある方と聞いていたので、もっと年配の方だと思っていました」
「え、そうなんだ?じゃあ、得したな。意外性がある男はモテるっていうしね。あ、ちょっと待って。宮光!」
「なんですか。社長」
宮光と呼ばれた人は童顔な男の人で可愛い顔をしていた。
宮光さんは須麻さんの秘書らしく、分厚いスケジュール帳を手に駆け寄ってきた。
「これは秘書の宮光」
「これって酷い扱いですね。はじめまして。須麻社長の秘書の宮光です。このたびは社長がすみません。清本先生には生前お世話になっておりまして。草木染めが持つ色の研究を一緒にやってきたんです。色のサンプリング表を……」
「宮光、待った!話は後だ。椅子を持ってきてくれ」
「え?そこに椅子が」
「背もたれがあるやつ」
「わかりました」
宮光さんは走っていなくなると、座り心地がよさそうなソファータイプの椅子を置いてくれた。
「どうぞ。座って。顔色がよくない」
「……ありがとうございます」
気づかれた。
薄くチークをいれたはずなのに私の顔色は相当よくなかったに違いない。
「体調が悪いなら、無理しない方がいい」
「大丈夫です」
「ちょっと待ってて」
須麻さんはいきなり目の前からいなくなると、足早で戻ってきて冷たいレモンのサイダーを額にあてた。
「さっぱりするから、どうぞ」
ペットボトルのキャップを回し、開けるとシュッと炭酸が抜ける音がした。
二つ開けると自分の分と私の分をテーブルに置いた。
「飲みながら話をしようか。これ、けっこううまいよ。さっぱりしてて」
いい人だな―――
レモンのサイダーを一口飲むと涙がでそうになって、誤魔化すためにごくごくとサイダーを飲んだ。
人の優しさが今はいつもより私の心に響いていて、私を弱くする。
更地になった光景が忘れられず、頭の隅でいつまでも私を苦しめていた。
斗翔の名前をずっと呼んでいた。
届くわけがないのに―――
服やバッグ、靴が並ぶショップの店先、お気に入りのカフェやスイーツ店。
まだ開店前で人もいないけど、山奥の寺から降りてきた修行僧みたいな気分よ。
一年や二年も離れていたわけじゃないのに懐かしく感じた。
「朝早く出てきたから眠いなー」
追悼個展の打ち合わせまでにはまだ時間がある。
島から出るついでに私には行きたい所があった。
朝早く白い霧の中、始発のバスに乗って島を出た。
電車に乗り、私が来たのは以前住んでいた場所。
そう―――斗翔と暮らしていた家に向かっていた。
「……ちらっとだけね。うん。ほんの少しだけ顔を見るだけだし!」
『監視がいる』なんて物騒なことを言われて気にならないほうがおかしいわよ。
今の時間なら、まだ出勤前だろうし。
さりげなく、通り過ぎるくらいならいいわよね。
そう思って、斗翔の家の前に来ると―――
「え?」
これは夢?
それとも私の目がおかしいの?
私と斗翔が住んでいた古い家があった場所は更地になっていた。
庭の木も草も何一つない。
「……どういうこと」
ふらりと足を前に出した。
思い出の欠片一つさえ、見当たらない乾いた土がスニーカーの底に触れ、じゃりっ音をたてた。
足に力が入らない。
こんなことがあるの?
だって、斗翔と会ったのは先週の土曜日だよ?
呆然と立ち尽くしていると、隣の家のドアが開く音がして、見知った顔のおばさんが近づいてきた。
「あら?夏永ちゃん?どうかしたの?」
「あのっ!斗翔はどこに行ったんですか?」
「夏永ちゃんに言ってもいいのかしら?斗翔君と別れたそうじゃないの」
「そうなんですけど……」
「私から聞いたって言わないでちょうだいね。婚約者の女性とマンションに引っ越して一緒に暮らしているらしいの」
頭が横殴りされたかのような衝撃を受けた。
一緒に暮らしているって……。
「夏永ちゃんも早くいい人が見つかるといいわね。元気でね」
早口でお隣のおばさんはそう言って、また家の中に入って行った。
おばさんの態度からは『面倒なことには関わりたくない』というのが伝わってきた。
お隣の家のドアは開くことなく、私はなにもなくなった場所に一人取り残された。
「婚約者……」
優奈子さんと暮らすから、ここはもう必要ないってこと?
それで、斗翔は私を愛人にでもするつもり?
斗翔に限ってそんなことするわけない!
気づくと手が震えていた。
「どういうこと……」
連絡したくても以前のスマホの番号じゃつながらない。
私と斗翔を繋ぐものは何一つなく、会いたくても私は斗翔に近づけなくなってしまっていた。
私の声は斗翔には届かない。
更地の土の感触がいつまでも私の中に残り、頭の中がざらざらして、考えがうまくまとまらなかった。
私から斗翔に会いに行くことはできないということだけは理解できた。
―――もう涙すらでなかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どうやってそこまで行ったのか、覚えていない。
追悼個展の打ち合わせ場所は会場予定のデパートの催事場で広々とした白い空間に気づいたらぼんやり立っていた。
「清本夏永さんですか?」
そう名前を呼ばれて、自分を取り戻すことができた。
しっかりしなければ。
おばあちゃんの代理で今日は来ているようなものだ。
そう思って振り返る。
「はじめまして。須麻馨介です!君がお孫さん?唄代先生に似ているなぁ」
電話と同じ、夏の日差しのように明るい声だった。
ぼうっと須麻さんを眺めた。
華やかな容姿に堂々とした振る舞い、女性にモテそうな雰囲気のある男の人で年齢は私より上みたいだけどどこか子供みたいに無邪気だった。
「ん?なんか俺、おかしかった?」
「いいえ。草木染めに興味がある方と聞いていたので、もっと年配の方だと思っていました」
「え、そうなんだ?じゃあ、得したな。意外性がある男はモテるっていうしね。あ、ちょっと待って。宮光!」
「なんですか。社長」
宮光と呼ばれた人は童顔な男の人で可愛い顔をしていた。
宮光さんは須麻さんの秘書らしく、分厚いスケジュール帳を手に駆け寄ってきた。
「これは秘書の宮光」
「これって酷い扱いですね。はじめまして。須麻社長の秘書の宮光です。このたびは社長がすみません。清本先生には生前お世話になっておりまして。草木染めが持つ色の研究を一緒にやってきたんです。色のサンプリング表を……」
「宮光、待った!話は後だ。椅子を持ってきてくれ」
「え?そこに椅子が」
「背もたれがあるやつ」
「わかりました」
宮光さんは走っていなくなると、座り心地がよさそうなソファータイプの椅子を置いてくれた。
「どうぞ。座って。顔色がよくない」
「……ありがとうございます」
気づかれた。
薄くチークをいれたはずなのに私の顔色は相当よくなかったに違いない。
「体調が悪いなら、無理しない方がいい」
「大丈夫です」
「ちょっと待ってて」
須麻さんはいきなり目の前からいなくなると、足早で戻ってきて冷たいレモンのサイダーを額にあてた。
「さっぱりするから、どうぞ」
ペットボトルのキャップを回し、開けるとシュッと炭酸が抜ける音がした。
二つ開けると自分の分と私の分をテーブルに置いた。
「飲みながら話をしようか。これ、けっこううまいよ。さっぱりしてて」
いい人だな―――
レモンのサイダーを一口飲むと涙がでそうになって、誤魔化すためにごくごくとサイダーを飲んだ。
人の優しさが今はいつもより私の心に響いていて、私を弱くする。
更地になった光景が忘れられず、頭の隅でいつまでも私を苦しめていた。
斗翔の名前をずっと呼んでいた。
届くわけがないのに―――
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