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第一章

19 甘い香りに包まれて ※R- 18

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甘い柑橘の香りがするお湯の中に浸かり、体は腕の中に包み込まれていた。
雅冬まさとさんの手が時おり、ちゃぷ、とお湯をすくい、胸をなであげ、優しく体を愛撫して、お湯の温かさと手のひらの温度が心地よく、ウトウトと微睡まどろみ、がっしりとした体に寄りかかっていた。
菜々子ななこ。行かなくていいからな。どうせ、嫌がらせするに決まっている」
雅冬さんは心配して、行かないと言うまで止めていた。けれど―――
「心配症なんですね」
背後から肩に顎をのせ、顔を覗かせた。
「私、雅冬さんの奥さんになったんですから、大丈夫です」
自分で言って、恥ずかしい。
思わず、お湯から手を出して、顔を覆った。
「わかった。けど、無理はするなよ」
顔の手をそっとつかみ、背後から、覆いかぶさり、キスをした。
「はい」
キスされたのもあるけれど、至近距離で雅冬さんの綺麗な顔を見ると、ぼうっとしてしまう。
「ん、雅冬さん、お湯の中は」
手が太ももから、中に近づき、際どい部分を撫で、胸や腹を這いまわり、胸の突起に触れた。
「お風呂はしないっ、てっ、言ってたのに」
「我慢できない」
手を阻もうと、暴れるとお湯がばしゃりと大きく揺れた。
「や、あ、そんなっ」
唇が背中をなぞり、胸の突起を転がされると、下腹部がじんっと疼いた。
「だめっ」
「わかったから、暴れるな」
ほっとして、体から力を抜くと、ひょいと抱えられた。
バスタオルに体を包み込まれて寝室まで運ばれ、バスタオルごとベッドに寝かせると、隠すものが一切ない。
柑橘のお湯が残る体にキスを落としていく。
「ま、雅冬さん!」
まだ濡れたままの体は白い湯気が立ち上ぼり、艶かしい。
その肌に唇で吸われたあとが、赤い花のように咲いていく。
胸の先端を舌が這い、指が一本、つぷ、と水音をたて、蜜壺に押し込められた。
「ふ……あっ……」
優しく前後に動かしながら、甘い声があがる一点を執拗になぶり、蜜を指に絡めた。
「菜々子はここが好きだよな」
蜜を絡めた指がぬるりと前の真珠を転がすと腰が跳ねた。
「そ……あっ……そこはっ、許してっ」
中と前の真珠を同時に触れられると、快楽が強すぎて苦しい。
「ひあっ…あ、ああ!」
刺激に腰を浮かし、逃げ出そうとすると脚を大きく広げ、抱え込まれ、自分の下腹部に顔を埋めるのが見えた。
「や、やだぁ、ぁあっ!」
舌がぬち、と中に入り込んだのがわかった。
「そんなとこっ、やっ、やだあ!」 
恥ずかしくて、死にそうだった。
がっちりと脚を掴まれて、身動きがとれず、舌の刺激で体から抵抗を奪っていく。
口づけするように舌が中をぐるりと動き、舌の感触がたまらず、髪を掻き回さした。
「ひぅ……あっ…ふぁ……」
まるで、蜜壺に深いキスをされているようだ。
ぐにぐにと中で蠢き、隅々までなめ尽くされて、中からは止めどなく、蜜があふれてきていた。
下腹部から快楽の波が押し寄せ、大きく仰け反った瞬間。
たまらず、指をかんだ。
「ふっ……くぅっ……うぅっ……」
声をこらえていることに気付いた雅冬さんがその指を口から離した。
「傷がつく。我慢しなくていいから」
泣き出しそうな顔に雅冬さんの唇がおちたその時、熱い固まりが中を割って入った。
「―――っ!」
声にならす、仰け反った。
「また達したのか。菜々子は感じやすいな」
繋がったまま、いとおしげに指が腹を撫でた。
「ひああっ」
蜜壁を擦りあげられるたび、甘い声をあげ、奥まで突かれると、快楽の波はいっそう激しくなり、気づくと、自ら腰をうねらせ、むさぼっていた。
恥ずかしいと思っているのに止めれず、快楽を必死に貪っていた。
「あっ、あんっ、ん、あああっ」
ぐちゃぐちゃと混ざり合う感覚がたまらず、また達してしまい、まなじりから涙がこぼれた。
強い力で抱き締められ、深くまで叩きつけられ、どくんっと熱いものが中に注がれ、身震いした。
「ひ、ああっ」
もう腕をあげる力もなく、雅冬さんの優しい愛撫と唇を受け止めていた。
ふ、と体に落とされた口づけを止め、
「同じ香りがする」
雅冬さんはそう言って、胸に顔を埋め、目を閉じた。
その髪からは柑橘の香りが立ち上っていた。
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