上 下
14 / 29
第一章

13 言いたい言葉 言えない言葉

しおりを挟む
 目の前にいるのは、死霊なんて生易しい存在ではない。
 これは、怨霊と呼んだほうが正しい。
 禍々しい空気が、闇をより濃く染め、両肩に圧し掛かるような重さを感じ、うまく呼吸ができなくなっていく。
 息苦しさを感じて、胸のあたりを掻いた。
 
「おじいちゃん……。私に怒ってるの……?」

 祖父が怨霊になるわけがない。
 頭ではわかっていても、声が出ず、なにも言えなかった。
 声が出なかったのは、私が祖父に対して、消せない後ろめたさがあるから。

「ねぇ、世梨せり。亡くなった本宮もとみやのおじい様に会いたかったでしょ? 私なりに気を遣ってあげたの。ゆっくり話すといいわ」
「待って! 玲花れいか!」

 足に力が入らず、座り込んで動けない私を無視し、笑いながら、土蔵どぞうの戸を閉めた。
  
「ち、違うの。裏切ったわけじゃ……」

 怨霊となった祖父が、玲花から私のほうへ視線を移す。
 祖父が口にしたのは、恨み言だった。

『ウラギリ……ダマサレ……』

 裏切り者、騙された――聞きたくなかった言葉の数々に耳を塞ぐ。

「ごめんなさい……。おじいちゃ……」

 丸くうずくまり、その場で何度でも謝罪した。
 でも、祖父は許してくれないだろう。
 育ててくれたのに、最後の最後で祖父を裏切った。
 震える体に力が入らず、逃げることもできず、ただ暗闇の中で謝り続ける。

「ごめん……なさい、ごめんなさい……」

 何度目かの謝罪で、顔を上げると、私の目の前に祖父が立っていた。
 
 ――殺される。

 憎しみと苦しみが混じった感情が、表情から伝わってくる。
 怨霊となった祖父の手が、私の首に伸びても、抵抗できなかった。
 育ててもらったのに、祖父の跡を継がず、遺した着物からは文様を奪い、駄作にしてしまった。
 私の罪は大きい。

「期待に応えられなかった……私を許してくださ……い」

 私の首にかかった手から逃れようと、弱い抵抗をみせた私に、手のひらの龍文が目に入った。
 龍文は闇より濃い黒に染まり、その存在を主張している。
 これは、私を守るためにくれた文様であることを思い出した。

『死にたいとは思っていないようだな。安心した』

 安心したと言った――私を心配してくれる人なんて、この世に誰もいないと思っていた。
 私が死にたくないと答えた時、紫水しすい様は喜んでくれた。
 喜んでくれる人がいるのに、ここで死を受け入れるわけにはいかない。
 涙で滲んだ目に、高い窓から入る明るい日差しが見える。日差しは風に揺れるスカートの裾のように柔らかい。
 
 ――祖父をがっかりさせてしまうと、わかっていた。それなのに今さら、楽になろうなんて虫が良すぎる。
 
 固く閉ざされた土蔵の入口に視線をやり、攻撃的な気持ちで手をかざす。

「文様……【龍】っ……!」
 
 身に宿した文様を使う時と同じように、龍を放ったはずだった。
 だけど、私が想像していた力と、まったく違っていた。
 それは――闇よりも暗い龍、影よりも黒い影。
 龍の形のようなものが、土蔵の戸をぶち破る。
 戸がなくなり、明るくなった出入り口から、鉄製の片喰かたばみの錠前が、遠くまで吹き飛ばされ、歪んで地面に転がっているのが見える。

「え……? い、今の……?」

 今まで私が使った文様の中で、一番危険で凶悪な文様だった。
 頑丈な戸の消失と、鉄製の錠前が歪むほどの衝撃。
 
「なにやってるんだ? 隠れ鬼か?」

 土蔵の中の私を一番に見つけたのは、紫水様だった。
 その紫水様の足元には、錠前の残骸が転がっている。
 まだ木くずが落ちる入口をくぐり抜けて、涙で頬を濡らした私に近づくと、冷たい指で涙をぬぐう。
 それで、やっと私は落ち着き、口を利くことができた。

「隠れ鬼では……ないですけど……」
「そのようだな」

 大きな破壊音を耳にした人たちが、何事かと土蔵の周辺に集まってきた。

「これはいったい……。なにがありましたかな!?」

 駆けつけた父は事態が把握できず、壊れた戸、鍵を目にして混乱していた。
 昨日、遅くまで宴会が続いたせいか、父は寝間着から着替えておらず、まだ浴衣姿のまま。
 同じように駆けつけた母も髪をまだ整えていなかった。
 
「誰かが土蔵の中に、世梨を閉じ込めたようだ」

 紫水様の怒りを抑えた低い声に、両親も駆けつけた者たちも息を呑んだ。
 玲花だけは笑っていたけど、紫水様に睨まれ、サッと母の後ろに隠れた。

「だ、誰でしょうな。そのような真似をするのは……」
「わかっているだろう?」

 両親は玲花の態度から、誰が私を閉じ込めたか気づいている。
 でも、玲花を庇いたい気持ちが強いからか、二人とも口をつぐみ、私から気まずそうに目を逸らす。
 私は両親に捨てられた気持ちを味わった。
 紫水様は呆然としている私の腕を掴み、立ち上がらせると、両親を睨んで言った。

「長居する気にはなれない。陽文ひふみ、東京へ戻るぞ」
「そうですね。異論はありません」

 陽文さんに笑みはなく、両親は陽文さんからも目を逸らし、知らぬ存ぜぬを通した。
 すでに、紫水様たちの準備は出来ており、長居するつもりは最初からなかったようだ。

「昨日、荷物は送りましたから、いつでも戻れますよ。他に荷物はありますか?」
「俺はない。世梨は?」

 私もなかったので、首を横に振ると、車の鍵を手にした陽文さんが微笑んだ。

「じゃあ、行きましょうか」
 
 郷戸を去る私に、両親がかけてくれる言葉は一言もなく、願うような気持ちで振り返った。
 一度でよかった。
 せめて一度だけ、優しい言葉が欲しくて、血の繋がった家族のほうを見た。
 でも、両親は玲花を守るように立ち、その目は紫水様たちを追っている。

「世梨、行くぞ」

 紫水様に黙ってうなずき、顔を前へ向けた。
 それと、同時に涙がこぼれ、言葉にできない苦しい感情に、自分がまだ両親からの愛情を諦めていなかったのだと知った。 

「俺に親はいない。だから、なんと言えば、泣き止むかわからないが……。泣くな」

 紫水様はどうしていいかわからないという顔をしていて、今までで一番人間らしさを感じ、胸の苦しさを忘れた。
 どんな相手にも動じない紫水様が、私が泣いているから困っているなんて、なんだか不思議な気持ちになった。

「お前が泣くと、なんとかしてやりたくなる。だが、あの家を破壊したいわけじゃないだろう?」
「そ、それはもちろんです! どうして壊すんですか?」
「スッとするかと思ってな」
「い、いえ……。驚いて涙は止まるかもしれませんが、すっきりはしません」
「そうか。なら、やめておく」

 どこか残念そうに見えたのは、私の目の錯覚だろうか。 

「それで、土蔵でなにがあった。力を使っただろう?」

 私を恨む祖父の姿を思いだし、一瞬、それを紫水様に言っていいのかどうか迷った。
 でも、紫水様なら、私の弱さも辛さも受け止めてくれる気がして、不安な気持ちを口に出した。

「おじいちゃんが怨霊になって現れたんです」
千秋せんしゅうが?」
「はい。でも、おじいちゃんに文様の力を向けられなくて……」
「それで、戸を壊したというわけか」
「壊すつもりはなく、ちょっと音が出たらいいなくらいでした」

 錠前が歪み、戸を粉砕するほどの力があるとは思わなかった。
 身を守るにしては、威力がありすぎると思う。

「先生は手加減を知りませんからね」
「うるさい。人の世に合わせた力加減なんぞできるか!」
「そんなこと言わずに、手加減してくださいよ。それにしても、千秋様が怨霊になるとはおかしな話ですね。世梨ちゃんを恨む理由がわかりません」

 陽文さんから見たらそうかもしれない。
 でも、私には心当たりがある――

「なんだ。千秋に言えなかったことでもあるのか?」

 紫水様は私の心がわかるのか、うつむいた私を見て笑った。
 でも、私の話を聞いたら、きっとそんなふうには笑えない。

「紫水様にも言えません……」

 怒るかもしれないと思っていたのに、紫水様は怒らなかった。

「わかった。言えるようになったら、聞いてやる」
「言わなくてもいいんですか?」
「そのうち自分から言うだろう」

 そんな日がやってくるだろうか――紫水様に自分の夢を語る日が。

「我慢をして生きてきた者は、自分の思いを口にするのは難しい」
「そうかもしれません……」
「これは、あやかしも同じだ。人の世は生き難い。あやかしは人の世において、異分子だ」

 紫水様の言葉に、陽文さんもうなずいた。

「だから、人間の嫁なんですよ。人間の嫁なら、人の世の常識を最初から、持っているでしょう? 暮らしていく上でも助かるってわけです」

 陽文さんの金色に近い瞳が、郷戸の屋敷を眺める。

「その代わり、選んだ女性は全力で守る」

 ハンチング帽をかぶり直した陽文さんの瞳は、元の茶色に戻り、私を見つめていた。

「だから、お前が望めば、屋敷ひとつくらい壊してやったんだがな」
「そっ、それは、やめてくださいっ!」
「先生……。さすがに千後瀧ちごたき本家も誤魔化すのは難しいですよ。人間は好奇心旺盛ですからね。ほら、見てください」

 陽文さんが指差したのは、自分が乗ってきた車だった。
 そこには、好奇心旺盛な村の子たちが集まっている。
 車の持ち主がやってきて、村の子たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
 人は珍しいものに目がない。
 少しでも変わったことがあれば、こうして注目を集めてしまう。
 それでは、困ることもある。

「ああ、そうだ。世梨」

 車に乗る前に、紫水様は言っておかなくてはと思ったらしく、足を止め、私に言った。

「次に千秋が現れたら、俺を呼べ。怨霊でもいいから、俺はあいつに会いたい」
「紫水様……」
「人は弱く、命は短すぎる」

 紫水様の声は、どこか寂しさを含んでいた。
 会いたい理由を陽文さんが、教えてくれた。
 
「千秋様は筆を置いた後、身内以外、近寄ることを禁じました。もし、その約束を破れば、所持している作品の全てを焼却すると、言われたんです」

 今にして思えば、祖父が病の床についてから、訪ねてくる人はいなかった。
 筆を持てなくなった自分に価値はないと言って、すべての人を拒んだ。
 世話をする私以外、誰も寄せ付けなかった。

「紫水様は連絡くらいと思ったようですが、残された短い時間を世梨さんと過ごさせて差し上げたかった」
「そうだ。あいつはお前と過ごす時間を選んだんだ。自分の作品すべてを捨ててもいいと思うほど、お前を大事にしていたのに、お前を恨むわけがない」
「はい……」

 涙がまたこぼれてきた。
 ずっと私は誰かに、そう言ってほしかったのだ。
 祖父は私を恨んでないと。
 
「世梨ちゃん、どうぞ」 

 陽文さんが車のドアを開けてくれた。

「田舎道だから、ちょっとばかり揺れるけど、便利なんですよ」
「近くの駅まででいい」
「えっー! 東京まで、車で帰りましょうよ!」
「陽文だけで帰れ」

 この光景、一度見た気がすると思いながら、紫水様たちのやりとりを眺めていると、声がした。
 
「世梨さん! 待ってー!」

 息を切らせて走ってきたのは、私と同じ年頃の卵焼きをくれた女中で、その手には包みを持っていた。

「よかった。間に合った! これ、お弁当。朝ごはん食べてないだろうから、お二人の分も」

 それは、竹の皮に包まれたお弁当だった。
 渡してくれたお弁当は、まだほんのり温かい。

「土蔵に閉じ込められたって聞いたわ。大変だったわね。怪我はない?」

 両親でさえ、かけてくれなかった優しい言葉に、また涙がこぼれた。

「ど、どうかした? やっぱり、どこか痛めたところがあるの?」
「いえ……。ありがとうございました。あの、よかったら、名前を聞かせてもらっていいですか?」

 東京に着いたら、彼女にお礼の手紙を書きたい――人に対する暗い気持ちを抱いたまま、ここを去るところだった私を救ってくれた彼女に。

「私? 私の名前は高芝たかしば初季はづき。そのうち、私も大阪か東京に行くつもりよ!」

 初季さんは明るく、すっきりした顔をしていた。

「東京へ戻る世梨さんを見て、夢を捨てちゃ駄目だと思ったの。だから、私もここを出る」
「夢……」
「そっ! 親には反対されちゃってるけど、ここで働いて、お金を貯めたら出てってやるわ!」
「反対されてもですか?」
「そーよ。人生は泣いても笑っても一度きりなんだから! 世梨さんもここにいるより、結婚したほうがいいと思って結婚したんでしょ。出会ったばかりの人でもさ!」

 紫水様は自分との結婚が、妥協案のように扱われ、納得いかない顔をしていたけれど、初季さんは気にしていなかった。

「だからね。絶対、世梨さんを見送りたかったの。次は私の番だって言いたくて。お弁当、冷めないうちに食べてね!」

 初季さんは力強く私の背中を叩き、門出を祝福してくれた。
 私の見送りは彼女だけ。
 でも、一人だけでも私の新しい旅立ちを祝福する人が、ここにいた。
 私たちが乗った車が見えなくなるまで、初季さんは大きく手を振りながら、見送ってくれた。

「初季さんですか。なんといういか面白くて、元気な女性ですね」
「はい。とても、いい人で……。私のことを気にかけてくれました」

 膝の上に置いたお弁当が温かい。
 冷めないうちにねと、初季さんが言っていたのを思い出した。
 
「紫水様、陽文さん。お弁当を食べますか?」
「もちろんです! 朝早くて、店も開いてないから、昼まで食事はお預けかと思っていました」

 お弁当の包みを紫水様と陽文さんに渡す。
 竹の皮に包まれたお弁当を開けると、そこには海苔に包まれたおにぎりが並んでいた。

「これ……」

 一口食べたおにぎりの中身は卵焼き。
 
「初季さん、卵は特別なのに……」

 私のために、こっそり入れてくれたのだろう。
 初季さんの優しさに、また涙がこぼれた。
 
 ――いつか私も初季さんのように、自分の夢を堂々と口に出して言いたい。

 顔を上げ、前を向く。
 水田の畔は緑に染まり、春の花が咲く田舎道の先に、駅舎が見える。
 私の新たな旅立ちの日――本物のうぐいすの声が聞こえ、白い梅の花が咲き、春を告げていた。

【第一章    了】【第二章    続】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

口は禍の元・・・後悔する王様は王妃様を口説く

ひとみん
恋愛
王命で王太子アルヴィンとの結婚が決まってしまった美しいフィオナ。 逃走すら許さない周囲の鉄壁の護りに諦めた彼女は、偶然王太子の会話を聞いてしまう。 「跡継ぎができれば離縁してもかまわないだろう」「互いの不貞でも理由にすればいい」 誰がこんな奴とやってけるかっ!と怒り炸裂のフィオナ。子供が出来たら即離婚を胸に王太子に言い放った。 「必要最低限の夫婦生活で済ませたいと思います」 だが一目見てフィオナに惚れてしまったアルヴィン。 妻が初恋で絶対に別れたくない夫と、こんなクズ夫とすぐに別れたい妻とのすれ違いラブストーリー。 ご都合主義満載です!

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!

はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。 伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。 しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。 当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。 ……本当に好きな人を、諦めてまで。 幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。 そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。 このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。 夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。 愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。

十年目の離婚

杉本凪咲
恋愛
結婚十年目。 夫は離婚を切り出しました。 愛人と、その子供と、一緒に暮らしたいからと。

【完結】お世話になりました

こな
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

処理中です...