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第一章
4 人ではないお客様
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「それで、名は?」
問われて、思わず後ずさる。
草履の底が土をさらい、ジャリッと小石を強く踏みつけた音がした。
名前を教えていいものかどうか、ためらっていると、千後瀧様はため息をついた。
「ずいぶん、嫌われたものだ。だが、言わずともわかる。お前は千秋の孫娘だろう?」
黙っていた私の代わりに答えると、彼は天から落ちる雨を手に掴み、雨を握った手を軽く振った。
その瞬間、雨は止み、陽の光が地面を照らす。
空が晴れ、徐々に空は青みを増した。
千後瀧紫水。彼もまた鴉たちと同じ――普通の人間ではなかった。
不思議な力を不思議とは思わない存在。
「そうです……。私は本宮世梨と申します」
隠しても無駄だと悟り、名前を名乗った。
「本宮世梨か。千秋の技を受け継ぐ、唯一の後継者だと聞いている」
「いいえ、違います。私は祖父の跡を継いでおりません。祖父の弟子はいませんでした」
「……ふむ」
千後瀧様は私の答えが気に入らなかったのか、少しだけ不機嫌になった。
「まあいい。俺の目的は千秋の着物を手に入れることだ」
祖父の作品を欲しがる人は大勢いるけれど、ここまで、はっきり言われたのは初めてだ。
「私におっしゃられても、祖父の着物を差し上げることはできません。確かに私は千秋の孫娘ですが、着物は一着も持っておりません」
「俺が探しているのは、着物であって着物じゃない」
「着物であって着物じゃない? 謎かけですか?」
「俺がなにを探しているか、わかっているはずだ」
一歩二歩と、私に近づく。
あと一歩で、私に触れられるという距離まで近づき、足を止めた。
「鴉がいる。多いな」
空を見上げると、鴉たちが仲間を呼び、空に黒い点を増やしていく。
ギャアギャアと騒ぎ立て、敵の襲来を仲間たちに告げていた。
「鴉たちは俺を敵だと言っているようだ。遊んでやってもいいが、下っ端ばかりで面白くない」
千後瀧様は鴉たちから、喧嘩をふっかけられるのを心待ちにしているように見えた。
外見は二十代前半に見えるけど、本当はいくつなのだろうか。
言葉遊びをして、私を絡めとる老獪な方かと思えば、今は子供みたいに無邪気だ。
千後瀧様は鴉に勝つ自信があるのか、好戦的な目を向けて鴉たちを挑発している。
鴉たちは危険を察知してか、一羽も近づいてこない。
私の頭上を鴉が数羽飛び回り、警告だけで精一杯だった。
『村に恐ろしい客が来た。危険な男だ』
鴉の言葉を信じたわけではなかったけど、千後瀧様から距離を取った瞬間――
「千後瀧先生っー! 僕を置いてかないでくださいよ!」
田舎で滅多に聞くことのないエンジン音を轟かせ、自動車が庭へ乗り込んでくる。
自動車というだけで、田舎では珍しいのに、郷戸家の小石の多い坂を上り、私たちのそばで止まった。
「僕を宿に置いていくなんて、酷いじゃないですか」
「車に乗りたくなかっただけだ」
「また子供みたいなことを言って……。これ、評判がいいんですよ?」
「お前の中ではな。俺の中では評判が悪い」
千後瀧様は自動車が苦手らしい。
この辺りでは滅多に見かけることのない木骨で組まれた鋼板素材の自動車。それを少しでも近くで眺めようと、村の子供たちが集まってきている。
「無理して手に入れた国産車なのになぁ」
私は自動車に詳しいほうではなかったけれど、外国産の車が多い中で、国産車がすごく珍しいもので、高価であることは想像できた。
「だいたい、お前についてこいとは、俺は一言も言ってないぞ」
「朝起きたら、先生が宿からいなくなっていたので驚きました」
彼を同行させるつもりはなかったらしく、千後瀧様は額に手をあて、ため息をついた。
「あっ! もしかして、千秋様のお孫さんですか? 先生、手が早いなぁ」
「おい……。誤解を招く言い方をするな」
運転席の窓から、ひょいっと顔を覗かせ、私のほうを見る。
年齢は千後瀧様と同じくらいの男性で、色素の薄い茶色の髪は狐の毛色に似ていた。
顔は狐顔ではなく、西洋の王子様みたいに目鼻立ちがくっきりとしていて、鼻筋が通り美しい。
見目がいい彼らの立ち姿は、もはや別世界で、見ているだけで圧倒される。
「お前はよく平気だな。俺は舗装されてない道のせいで、車酔いが酷かった。まだ調子が悪い気がするぞ」
「そうですか? 僕はすっごく楽しかったですよ」
「帰りは絶対乗らないからな」
「そんなこと言わずに国産車の乗り心地を試しましょうよ」
「断る。陽文だけ、車で帰れ」
「えっー! 一人でなんて嫌ですよ」
陽文と呼ばれた青年は口を尖らせた。
車のドアを開けて降り立った陽文様は、明るく人懐っこい顔をしていて、優し気な顔をしている。だから、それほど怖いとは思わなかった。
それに服装も明るい色がお好みらしく、人に好感を与える。
ベージュのハンチング帽をかぶり、ブラウンの革靴を履き、ジャケットの下にはベストを着て今風。
その上、発売されたばかりの国産車を乗りこなしているところを見ると、桁外れのお金持ちだ。
ピカピカの革靴には曇り一つない。
「ご挨拶が遅れました。僕は葉瀬陽文といいます。陽文君、陽文さんとでもお呼びください。可愛いお嬢さん」
「本宮世梨と申します」
私が深々とお辞儀をすると、陽文さんはハンチング帽を軽く持ち上げ、ウインク付きで挨拶をする。
まるで外国人のようだった。
「あれ? 僕の顔になにかついてる?」
「目と鼻がついてる」
「先生。それは正常です。耳と尻尾が出ていたら、教えてください」
二人が人ではないような気がしていたから、その冗談が冗談とは思えず、私は笑えなかった。
「失礼しました。洋服を目にしたのは、久しぶりだったものですから。不躾に見てしまい申し訳ありません」
「あ、気にしてないよ! むしろ、可愛いお嬢さんに見られるのは光栄だ。そっかぁ。世梨ちゃんは洋服好きなんだ」
「いいえ」
嘘をついてしまった。
百貨店の制服、銀座の町を歩く人、短い髪に軽やかな身のこなし、最先端をゆくお洒落な服装――洋服を見るのが大好きだった。
でも、私は口に出して言えなかった。
言ってしまえば、ここでの暮らしに不満があると言っているようなもの。
私はなにかを望める立場ない。
「なにが陽文君だ。陽文でいい」
「うわっ。なんだか、僕、適当に扱われてないですか?」
「適当に扱っている」
このまま二人が、言い合いになりかけたのを見て、口を挟んだ。
「あの、千後瀧先生、陽文さん。ここにいては目立ちますから、ご案内いたします」
自動車を追いかけてきた村の子供たちが、数を増やし、郷戸の家がある坂の下で、集会ができそうなくらいの人数に膨れ上がっていた。
都会から来たお客様というだけでも珍しいのに、自動車を見れるとなると、もう子供たちはお祭り騒ぎだ。
「千後瀧先生か。千秋の孫娘に先生と呼ばれるのは、おかしな気がするな」
「先生と、陽文さんがお呼びしていたので……」
「紫水でいい」
「わかりました。紫水様。陽文さん。表口まで、ご案内いたします」
私が手で、正面玄関のほうを指し示すと、ようやく二人は歩き出した。
陽文さんは賑やかな人で、おしゃべりが止むことはなかった。
「千後瀧先生の紫水という名前は、山紫水明から名付けられたんですよ。千秋様の雅号が、千秋万歳から取られていると知って、真似たらしいです」
「自分で名前を?」
赤ん坊がどうやって自分で名を付けるのだろうと思っていると、陽文さんは隠す気もないのか、悪い顔をして私に言った。
「薄々、察していらっしゃるでしょうが、僕たちは人ではないですからね。いろいろ人とは違うんですよ」
「陽文。お前は少し黙れ。だいたい俺の名前なんか、どうでもいいだろう」
「よくないですよ。世梨さんには、特に知ってもらわないと!」
山紫水明――山は陽の光で紫色に霞み、川の水は澄んでいる。
「頼山陽ですね」
「千秋様からお聞きしたんですか?」
「はい」
京都、東山と鴨川の展望を眺めた頼山陽の言葉から造られた言葉である。
山紫水明の言葉を教えてくれたのは祖父だ。
着物の色は、川の澄んだ水と冷たさが色を美しくするのだと言っていた。
祖父母と私、三人で行った京都旅行。川沿いを歩きながら、祖父が話してくれたのを思い出す。
「とても綺麗な良い名前だと思います」
「いや、お前の名には負ける」
私の世梨という名のことなのか――それとも、私が持っているもう一つの名前のことなのか。
あの青みを帯びた黒い瞳に、私の嘘はすべて見抜かれてしまっているような気がした。
問われて、思わず後ずさる。
草履の底が土をさらい、ジャリッと小石を強く踏みつけた音がした。
名前を教えていいものかどうか、ためらっていると、千後瀧様はため息をついた。
「ずいぶん、嫌われたものだ。だが、言わずともわかる。お前は千秋の孫娘だろう?」
黙っていた私の代わりに答えると、彼は天から落ちる雨を手に掴み、雨を握った手を軽く振った。
その瞬間、雨は止み、陽の光が地面を照らす。
空が晴れ、徐々に空は青みを増した。
千後瀧紫水。彼もまた鴉たちと同じ――普通の人間ではなかった。
不思議な力を不思議とは思わない存在。
「そうです……。私は本宮世梨と申します」
隠しても無駄だと悟り、名前を名乗った。
「本宮世梨か。千秋の技を受け継ぐ、唯一の後継者だと聞いている」
「いいえ、違います。私は祖父の跡を継いでおりません。祖父の弟子はいませんでした」
「……ふむ」
千後瀧様は私の答えが気に入らなかったのか、少しだけ不機嫌になった。
「まあいい。俺の目的は千秋の着物を手に入れることだ」
祖父の作品を欲しがる人は大勢いるけれど、ここまで、はっきり言われたのは初めてだ。
「私におっしゃられても、祖父の着物を差し上げることはできません。確かに私は千秋の孫娘ですが、着物は一着も持っておりません」
「俺が探しているのは、着物であって着物じゃない」
「着物であって着物じゃない? 謎かけですか?」
「俺がなにを探しているか、わかっているはずだ」
一歩二歩と、私に近づく。
あと一歩で、私に触れられるという距離まで近づき、足を止めた。
「鴉がいる。多いな」
空を見上げると、鴉たちが仲間を呼び、空に黒い点を増やしていく。
ギャアギャアと騒ぎ立て、敵の襲来を仲間たちに告げていた。
「鴉たちは俺を敵だと言っているようだ。遊んでやってもいいが、下っ端ばかりで面白くない」
千後瀧様は鴉たちから、喧嘩をふっかけられるのを心待ちにしているように見えた。
外見は二十代前半に見えるけど、本当はいくつなのだろうか。
言葉遊びをして、私を絡めとる老獪な方かと思えば、今は子供みたいに無邪気だ。
千後瀧様は鴉に勝つ自信があるのか、好戦的な目を向けて鴉たちを挑発している。
鴉たちは危険を察知してか、一羽も近づいてこない。
私の頭上を鴉が数羽飛び回り、警告だけで精一杯だった。
『村に恐ろしい客が来た。危険な男だ』
鴉の言葉を信じたわけではなかったけど、千後瀧様から距離を取った瞬間――
「千後瀧先生っー! 僕を置いてかないでくださいよ!」
田舎で滅多に聞くことのないエンジン音を轟かせ、自動車が庭へ乗り込んでくる。
自動車というだけで、田舎では珍しいのに、郷戸家の小石の多い坂を上り、私たちのそばで止まった。
「僕を宿に置いていくなんて、酷いじゃないですか」
「車に乗りたくなかっただけだ」
「また子供みたいなことを言って……。これ、評判がいいんですよ?」
「お前の中ではな。俺の中では評判が悪い」
千後瀧様は自動車が苦手らしい。
この辺りでは滅多に見かけることのない木骨で組まれた鋼板素材の自動車。それを少しでも近くで眺めようと、村の子供たちが集まってきている。
「無理して手に入れた国産車なのになぁ」
私は自動車に詳しいほうではなかったけれど、外国産の車が多い中で、国産車がすごく珍しいもので、高価であることは想像できた。
「だいたい、お前についてこいとは、俺は一言も言ってないぞ」
「朝起きたら、先生が宿からいなくなっていたので驚きました」
彼を同行させるつもりはなかったらしく、千後瀧様は額に手をあて、ため息をついた。
「あっ! もしかして、千秋様のお孫さんですか? 先生、手が早いなぁ」
「おい……。誤解を招く言い方をするな」
運転席の窓から、ひょいっと顔を覗かせ、私のほうを見る。
年齢は千後瀧様と同じくらいの男性で、色素の薄い茶色の髪は狐の毛色に似ていた。
顔は狐顔ではなく、西洋の王子様みたいに目鼻立ちがくっきりとしていて、鼻筋が通り美しい。
見目がいい彼らの立ち姿は、もはや別世界で、見ているだけで圧倒される。
「お前はよく平気だな。俺は舗装されてない道のせいで、車酔いが酷かった。まだ調子が悪い気がするぞ」
「そうですか? 僕はすっごく楽しかったですよ」
「帰りは絶対乗らないからな」
「そんなこと言わずに国産車の乗り心地を試しましょうよ」
「断る。陽文だけ、車で帰れ」
「えっー! 一人でなんて嫌ですよ」
陽文と呼ばれた青年は口を尖らせた。
車のドアを開けて降り立った陽文様は、明るく人懐っこい顔をしていて、優し気な顔をしている。だから、それほど怖いとは思わなかった。
それに服装も明るい色がお好みらしく、人に好感を与える。
ベージュのハンチング帽をかぶり、ブラウンの革靴を履き、ジャケットの下にはベストを着て今風。
その上、発売されたばかりの国産車を乗りこなしているところを見ると、桁外れのお金持ちだ。
ピカピカの革靴には曇り一つない。
「ご挨拶が遅れました。僕は葉瀬陽文といいます。陽文君、陽文さんとでもお呼びください。可愛いお嬢さん」
「本宮世梨と申します」
私が深々とお辞儀をすると、陽文さんはハンチング帽を軽く持ち上げ、ウインク付きで挨拶をする。
まるで外国人のようだった。
「あれ? 僕の顔になにかついてる?」
「目と鼻がついてる」
「先生。それは正常です。耳と尻尾が出ていたら、教えてください」
二人が人ではないような気がしていたから、その冗談が冗談とは思えず、私は笑えなかった。
「失礼しました。洋服を目にしたのは、久しぶりだったものですから。不躾に見てしまい申し訳ありません」
「あ、気にしてないよ! むしろ、可愛いお嬢さんに見られるのは光栄だ。そっかぁ。世梨ちゃんは洋服好きなんだ」
「いいえ」
嘘をついてしまった。
百貨店の制服、銀座の町を歩く人、短い髪に軽やかな身のこなし、最先端をゆくお洒落な服装――洋服を見るのが大好きだった。
でも、私は口に出して言えなかった。
言ってしまえば、ここでの暮らしに不満があると言っているようなもの。
私はなにかを望める立場ない。
「なにが陽文君だ。陽文でいい」
「うわっ。なんだか、僕、適当に扱われてないですか?」
「適当に扱っている」
このまま二人が、言い合いになりかけたのを見て、口を挟んだ。
「あの、千後瀧先生、陽文さん。ここにいては目立ちますから、ご案内いたします」
自動車を追いかけてきた村の子供たちが、数を増やし、郷戸の家がある坂の下で、集会ができそうなくらいの人数に膨れ上がっていた。
都会から来たお客様というだけでも珍しいのに、自動車を見れるとなると、もう子供たちはお祭り騒ぎだ。
「千後瀧先生か。千秋の孫娘に先生と呼ばれるのは、おかしな気がするな」
「先生と、陽文さんがお呼びしていたので……」
「紫水でいい」
「わかりました。紫水様。陽文さん。表口まで、ご案内いたします」
私が手で、正面玄関のほうを指し示すと、ようやく二人は歩き出した。
陽文さんは賑やかな人で、おしゃべりが止むことはなかった。
「千後瀧先生の紫水という名前は、山紫水明から名付けられたんですよ。千秋様の雅号が、千秋万歳から取られていると知って、真似たらしいです」
「自分で名前を?」
赤ん坊がどうやって自分で名を付けるのだろうと思っていると、陽文さんは隠す気もないのか、悪い顔をして私に言った。
「薄々、察していらっしゃるでしょうが、僕たちは人ではないですからね。いろいろ人とは違うんですよ」
「陽文。お前は少し黙れ。だいたい俺の名前なんか、どうでもいいだろう」
「よくないですよ。世梨さんには、特に知ってもらわないと!」
山紫水明――山は陽の光で紫色に霞み、川の水は澄んでいる。
「頼山陽ですね」
「千秋様からお聞きしたんですか?」
「はい」
京都、東山と鴨川の展望を眺めた頼山陽の言葉から造られた言葉である。
山紫水明の言葉を教えてくれたのは祖父だ。
着物の色は、川の澄んだ水と冷たさが色を美しくするのだと言っていた。
祖父母と私、三人で行った京都旅行。川沿いを歩きながら、祖父が話してくれたのを思い出す。
「とても綺麗な良い名前だと思います」
「いや、お前の名には負ける」
私の世梨という名のことなのか――それとも、私が持っているもう一つの名前のことなのか。
あの青みを帯びた黒い瞳に、私の嘘はすべて見抜かれてしまっているような気がした。
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