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番外編【杏美】
お兄様のカレーライス(後編)
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二人の生活も大分慣れた頃、私は自信たっぷりに入った。
「そろそろ私が食事を作るわ」
「杏美さん、食事は自分が作りますから」
仕事から帰ってきた貴戸が遠慮をしてか、そんなことを言った。
そんな夕飯は私が炊いた白いご飯と貴戸が作ってくれた野菜炒め、みそ汁。
もう運転手とお嬢様じゃないのにね。
なかなか昔の癖が抜けないんだから。
貴戸は尾鷹の祖父母に紹介してもらった会社で働いている。
会社の社長に気に入られて、忙しくしてるから家事は私がって思っているのに貴戸は先回りして家事をしてしまう。
慣れてない私はとても作業が遅い。
日奈子のことを笑えないくらいにね……。
でっ、でも!
すぐにできるようになるわよ?
アイロンの使い方を最近は覚えたし、ハンカチくらいはかけれるようになったんだから。
それに―――
「貴戸。まかせて。カレーライスくらいなら作れるわ」
「指を切ったらどうするんですか!」
「どうするって絆創膏をはるだけよ」
「駄目です!傷でも残ろうものなら、大変です」
「あのね、貴戸。私はもう尾鷹のお嬢様じゃないの。わかる?貴戸杏美。あなたの妻なんだから!アパート暮らしでスーパーに歩いて行って買い物をしたり、洗剤を買いに近所のホームセンターにだって行くような身分なの。なんでもできないとこれから困るでしょ!」
貴戸が『そうですが』と唸った。
そんな真剣な顔で困られてもこっちが困るというものよ。
「明日は私がカレーライスを作るから、手出し無用よ。わかったわね?」
「えっ…!?そ、そうですね……」
貴戸は目に見えて動揺していた。
なによ!
そこは『そうですね』だけでいいのよ?
どうしてそんな動揺してるのよ。
信用無いわね!
見てなさい!
明日、貴戸が参りましたっていうくらい美味しいカレーを作ってやるんだから。
―――私はできる!そう思っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カレールウを置いた。
これさえあれば、カレーになるはず!
ルウ自体がカレー味なんだからね?
カレーライスを選択した私の考えは完璧ね。
それで、カレーの具は何を入れたらいいのかしらと思って並べてみた。
安心して?
ちゃんと箱に書いてあった材料はバッチリそろえたから。
そんな闇鍋みたいなことはしないわ。
けど、何かの本で読んだのよね。
隠し味を入れるといいって。
それが思い出せずに調味料を並べてみた。
わさび?からし?
それとも―――酢?
悩んでいるうちに時間が経ってしまった。
いけない!早く作らないと!
そう思っていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。
「もうっ!!邪魔するんじゃないわよっ!」
バンッとアパートのドアを開けるとそこにいたのは壱哉お兄様だった―――
「お、お兄様」
「杏美、久しぶりだな」
「どうしてここがわかったの!?」
祖父母は誰にも話さないって約束してくれたのに話してしまったの!?
よりにもよって、お兄様に?
日奈子に押し付けていなくなったことを怒っているに違いない。
そして、仕返しに来た?
きっとそうよ!
日奈子のテディベアを池に投げ入れた時、拾うために池に入ったお兄様が水に濡れたのは全身じゃなかった。
それなのに―――『杏美が池にぬいぐるみを投げ捨てたので拾うために入りました』と周りに言ったその時のお兄様は頭からつま先まで水にぬれて、濡れネズミのようになり、その姿を見た尾鷹の家は大騒ぎになった。
『肺炎になるのでは!?』『溺れなくてよかった!』と医者まで呼んでの一大事。
私はそのせいで、しばらく、おやつ抜きだったことを思いだし、身構えているとお兄様は無表情で答えた。
「今園に調べさせた。祖父が知り合いの社長に連絡をとっていたことがわかっただけで十分だ」
「……わ、私を連れ戻しに来たの?」
「違う。日奈子がお前に俺が尾鷹の社長になったと伝えたいと言ったからだ」
「……お兄様、相変わらず、日奈子のお願いには弱いのね」
この兄に好きになられるなんて、ご愁傷さまと私は言いたいくらいよ。
お兄様の考えはわからないけど、私は水和子さんは利用されたんじゃないかって思っている。
考えても見てよ。
尾鷹の若様と呼ばれるお兄様。
婚約者候補は山ほどいたわけで。
日奈子がお兄様と結婚できる確率は0.00001%くらいよ。
奇跡に近い。
宝くじより低い確率。
水和子さんが持つ自分への好意を知っていて、会わないようにし、尾鷹の家に来させて妹の就職をお願いする。
その後、自分の秘書にさせて日奈子に近づく。
もうね、そのあたりで私はピンときたわよ?
お兄様がそうなるように誘導したんじゃないかって。
「お兄様、一歩間違えれば犯罪者よ」
「なんのことだ」
お兄様は失礼なという顔をした。
「杏美。何をしていたんだ?」
「カレーライスを作ろうと思っていたのよ」
「お前が?」
「そうよ」
ほら、見なさいよ!と堂々と並んだ材料を見せた。
その並んだ材料を眺めたお兄様は酢を手にとった。
「さすがにこれはないな」
「そんなことないわよ!隠し味よ!」
「隠れないだろう。これは」
「う、うるさいわね、お兄様だってカレーライスは作れないでしょ!?」
「作れるが?」
な、なんですって!?
包丁を手にして、平然した顔で私を見た。
「合宿や学校の行事、授業に家庭科があったからな」
全てにおいてパーフェクト。
そうお兄様は言われていたけど、料理まで?
まさか……。
「杏美。俺がカレーを作るから、お前は日奈子に手紙を書け」
「は!?何言ってるの!?私は日奈子に会わないし、連絡もとらないって決めてるのよ!どんな顔で会えるっていうのよっ!」
「書け」
包丁を持ち、ジャガイモを手にしたお兄様に凄まれて、私はまるで反省文でも書かされているかのような姿で日奈子に手紙を書くはめなった。
日奈子。
お兄様でよかったの?
そう手紙に書きたかったけど、カレーの匂いがしてきて、我慢した。
お兄様のカレーは完璧で作り方通り。
手紙を手に入れると、お兄様は言った。
「杏美。尾鷹の家に戻ってきて生活してもいいんだぞ。もちろん。貴戸も連れて」
「それだけはお断りよ。私にもプライドがあるの」
戻らないと一度は決めたのだから。
私はもう貴戸杏美。
『なにもできないので帰ってきました』なんて言えるわけない。
私が日奈子と離れるって決めた覚悟はそんな生易しい覚悟じゃないんだからっ!
「そうか」
お兄様は笑ってアパートから出て行った。
たぶん、私がそう言うのがわかっていたのだと思う。
「大変!ご飯、炊かなきゃ!」
お米くらいはもう炊けるのよ。
私も成長しているの。こうみえて。
そうね、せめてカレーくらい作れないと日奈子には会えない。
鍋にはお兄様が作ったカレーから白い湯気があがっていて、一口だけ味見してみた。
お兄様のカレーは美味しかった。
腹が立つくらいに。
「そろそろ私が食事を作るわ」
「杏美さん、食事は自分が作りますから」
仕事から帰ってきた貴戸が遠慮をしてか、そんなことを言った。
そんな夕飯は私が炊いた白いご飯と貴戸が作ってくれた野菜炒め、みそ汁。
もう運転手とお嬢様じゃないのにね。
なかなか昔の癖が抜けないんだから。
貴戸は尾鷹の祖父母に紹介してもらった会社で働いている。
会社の社長に気に入られて、忙しくしてるから家事は私がって思っているのに貴戸は先回りして家事をしてしまう。
慣れてない私はとても作業が遅い。
日奈子のことを笑えないくらいにね……。
でっ、でも!
すぐにできるようになるわよ?
アイロンの使い方を最近は覚えたし、ハンカチくらいはかけれるようになったんだから。
それに―――
「貴戸。まかせて。カレーライスくらいなら作れるわ」
「指を切ったらどうするんですか!」
「どうするって絆創膏をはるだけよ」
「駄目です!傷でも残ろうものなら、大変です」
「あのね、貴戸。私はもう尾鷹のお嬢様じゃないの。わかる?貴戸杏美。あなたの妻なんだから!アパート暮らしでスーパーに歩いて行って買い物をしたり、洗剤を買いに近所のホームセンターにだって行くような身分なの。なんでもできないとこれから困るでしょ!」
貴戸が『そうですが』と唸った。
そんな真剣な顔で困られてもこっちが困るというものよ。
「明日は私がカレーライスを作るから、手出し無用よ。わかったわね?」
「えっ…!?そ、そうですね……」
貴戸は目に見えて動揺していた。
なによ!
そこは『そうですね』だけでいいのよ?
どうしてそんな動揺してるのよ。
信用無いわね!
見てなさい!
明日、貴戸が参りましたっていうくらい美味しいカレーを作ってやるんだから。
―――私はできる!そう思っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カレールウを置いた。
これさえあれば、カレーになるはず!
ルウ自体がカレー味なんだからね?
カレーライスを選択した私の考えは完璧ね。
それで、カレーの具は何を入れたらいいのかしらと思って並べてみた。
安心して?
ちゃんと箱に書いてあった材料はバッチリそろえたから。
そんな闇鍋みたいなことはしないわ。
けど、何かの本で読んだのよね。
隠し味を入れるといいって。
それが思い出せずに調味料を並べてみた。
わさび?からし?
それとも―――酢?
悩んでいるうちに時間が経ってしまった。
いけない!早く作らないと!
そう思っていると、ピンポーンとインターホンが鳴った。
「もうっ!!邪魔するんじゃないわよっ!」
バンッとアパートのドアを開けるとそこにいたのは壱哉お兄様だった―――
「お、お兄様」
「杏美、久しぶりだな」
「どうしてここがわかったの!?」
祖父母は誰にも話さないって約束してくれたのに話してしまったの!?
よりにもよって、お兄様に?
日奈子に押し付けていなくなったことを怒っているに違いない。
そして、仕返しに来た?
きっとそうよ!
日奈子のテディベアを池に投げ入れた時、拾うために池に入ったお兄様が水に濡れたのは全身じゃなかった。
それなのに―――『杏美が池にぬいぐるみを投げ捨てたので拾うために入りました』と周りに言ったその時のお兄様は頭からつま先まで水にぬれて、濡れネズミのようになり、その姿を見た尾鷹の家は大騒ぎになった。
『肺炎になるのでは!?』『溺れなくてよかった!』と医者まで呼んでの一大事。
私はそのせいで、しばらく、おやつ抜きだったことを思いだし、身構えているとお兄様は無表情で答えた。
「今園に調べさせた。祖父が知り合いの社長に連絡をとっていたことがわかっただけで十分だ」
「……わ、私を連れ戻しに来たの?」
「違う。日奈子がお前に俺が尾鷹の社長になったと伝えたいと言ったからだ」
「……お兄様、相変わらず、日奈子のお願いには弱いのね」
この兄に好きになられるなんて、ご愁傷さまと私は言いたいくらいよ。
お兄様の考えはわからないけど、私は水和子さんは利用されたんじゃないかって思っている。
考えても見てよ。
尾鷹の若様と呼ばれるお兄様。
婚約者候補は山ほどいたわけで。
日奈子がお兄様と結婚できる確率は0.00001%くらいよ。
奇跡に近い。
宝くじより低い確率。
水和子さんが持つ自分への好意を知っていて、会わないようにし、尾鷹の家に来させて妹の就職をお願いする。
その後、自分の秘書にさせて日奈子に近づく。
もうね、そのあたりで私はピンときたわよ?
お兄様がそうなるように誘導したんじゃないかって。
「お兄様、一歩間違えれば犯罪者よ」
「なんのことだ」
お兄様は失礼なという顔をした。
「杏美。何をしていたんだ?」
「カレーライスを作ろうと思っていたのよ」
「お前が?」
「そうよ」
ほら、見なさいよ!と堂々と並んだ材料を見せた。
その並んだ材料を眺めたお兄様は酢を手にとった。
「さすがにこれはないな」
「そんなことないわよ!隠し味よ!」
「隠れないだろう。これは」
「う、うるさいわね、お兄様だってカレーライスは作れないでしょ!?」
「作れるが?」
な、なんですって!?
包丁を手にして、平然した顔で私を見た。
「合宿や学校の行事、授業に家庭科があったからな」
全てにおいてパーフェクト。
そうお兄様は言われていたけど、料理まで?
まさか……。
「杏美。俺がカレーを作るから、お前は日奈子に手紙を書け」
「は!?何言ってるの!?私は日奈子に会わないし、連絡もとらないって決めてるのよ!どんな顔で会えるっていうのよっ!」
「書け」
包丁を持ち、ジャガイモを手にしたお兄様に凄まれて、私はまるで反省文でも書かされているかのような姿で日奈子に手紙を書くはめなった。
日奈子。
お兄様でよかったの?
そう手紙に書きたかったけど、カレーの匂いがしてきて、我慢した。
お兄様のカレーは完璧で作り方通り。
手紙を手に入れると、お兄様は言った。
「杏美。尾鷹の家に戻ってきて生活してもいいんだぞ。もちろん。貴戸も連れて」
「それだけはお断りよ。私にもプライドがあるの」
戻らないと一度は決めたのだから。
私はもう貴戸杏美。
『なにもできないので帰ってきました』なんて言えるわけない。
私が日奈子と離れるって決めた覚悟はそんな生易しい覚悟じゃないんだからっ!
「そうか」
お兄様は笑ってアパートから出て行った。
たぶん、私がそう言うのがわかっていたのだと思う。
「大変!ご飯、炊かなきゃ!」
お米くらいはもう炊けるのよ。
私も成長しているの。こうみえて。
そうね、せめてカレーくらい作れないと日奈子には会えない。
鍋にはお兄様が作ったカレーから白い湯気があがっていて、一口だけ味見してみた。
お兄様のカレーは美味しかった。
腹が立つくらいに。
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