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第七話 闇色のしっぽと祭囃子~夏の夜船~
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夏祭りや縁日には大道詰将棋というものがある。
そこらに座っている店主から詰将棋の問題を受け取り連勝すれば金を稼げるというものだ。
だが、その詰将棋屋はなかったようで千景は腕を組んで唸った。
「ふむ……。詰将棋の店はこちらにないんだったな。しかたない。将棋盤を持ってこさせて一局指すか」
「それでいい」
俺が了承すると千景は将棋盤を持ってこさせた。
そして、道端にそれを置き、俺と向き合った。
他のあやかし達もなにが始まるのかと集まりだした。
将棋の腕には自信があるのか面に隠れていない千景の口の端があがる。
「安海ちゃん、将棋そんなに強くないのに勝負なんてして大丈夫?」
「安海を信じよう。兎々子ちゃん。下手の横好きでこっそり勉強はしていたようだから」
こいつら、どっちの味方だよ。
浴衣の袂に手を入れた。
並べた駒は当然のことながら同じ数。
始まると向こうは金と銀をあげてきた。
とりあえずは歩を軽くぶつけ合って取り合う。
「ふむ。ならばこうだ」
俺の歩をさらに奪うと銀まで持ってかれた。
「あっー! 安海ちゃんっ! なんか偉そうな駒をとられたよ!?」
銀を偉そうな駒とか言うなよ。
将棋を知らない兎々子がハラハラと盤上を眺めた。
それはユキも同じらしく心配そうにのぞき込んでいた。
俺はここで歩を投入する。
そして相手の銀を奪った。
「とりかえした!?」
「駒の多さで競うわけじゃない」
だが、相手の王将を守る銀はもういない。
歩で囲まれた王将に王手をかける。
「む……。いつの間に囲まれていたんだ?」
千景は納得いかないのか盤上をしばし眺めていた。
だが、俺の勝ちは勝ちだ。
「これで勝負は決まったな」
「勝ったの?」
「そうだ」
「安海は相変わらず棒銀が好きだね」
俺の手の内を知っている有浄がそんなことを言ってきた。
「攻撃は最大の防御だ」
「見た目より安海は攻撃的だからなー」
有浄は駒を指でつまんだ。
盤上を眺めていた千景は顔あげ、口元を悔し気に歪ませた。
「これはなんとも面白くない勝負だったね」
「けど、決着はついた。約束だからな。有浄はここに残らない。俺達も戻る」
「そーよ! 有浄さんは私達とずっと一緒にいたんだから、いなくなるなんて絶対に駄目!」
わかってるのか、わかってないのか。
兎々子はそんなことを言った。
多分、引っ越し程度にしか思っていない。
「いいだろう。だが、お前の祖父母はここに残す」
「それは……」
有浄がなにが言いかけたが、じいさんが大笑いした。
「残すもなにもここに『千年屋』がある限り、俺はどこにも行きゃしねーよ」
「じいさん、まさかこっちで店を構えているのか」
「当たり前だ。繁盛ぶりをお前にも見せてやりてぇなぁ」
「は? 俺も常連客がついてるけどな!」
「なに言ってやがる。お前の常連客なんぞまだまだケツの青い連中ばかりだろうが。兼岡あたりはお前の饅頭をしかたなく食ってやってるに違いねぇ」
「若い常連客は俺のほうが多いけどな」
バチバチと俺とじいさんが火花を散らしているとばあさんが間に入った。
「まったく困ったもんだよ。どちらも『千年屋』なんだから儲けるに越したことはないよ」
「そういうわけだ! 俺はまだ帰らねえ! 向こうの『千年屋』には腕は落ちるが、安海がいる。だが、こっちの店は誰もやる奴がいねえんだよ」
じいさんはポンッと有浄の肩を叩いた。
「弟子もいねぇのにこのまま店を中途半端にしておけないだろ?」
「けど、向こうの人達は……」
「あー、そうだなー。兼岡にだけ言っておいてくれ。まだ死んではいない。次に会う時はあの世でなってな!」
「兼岡の大旦那があの世であんたに会いたいかどうかはわからないけどね」
ばあさんは呆れたようにじいさんに言うと、調子に乗っていたじいさんは少しだけシュンッとした。
「有浄。帰るぞ。じいさんとばあさんが決めたことだ。放っておけ」
「そうね! 有浄さん、早く焼き玉蜀黍を食べに行きましょうよ。あとポン菓子とどんどん焼きも!」
お前は食うことしか頭にないのかよ。
兎々子が言うと有浄は目を細めて笑った。
「いいね」
「でしょ。ユキちゃんも一緒に行こ!」
「ううん。私はかき氷屋があるから」
「あ、そうよね……。じゃあ、また近くに寄ったら遊びましょうね」
「うん。ありがとう。あのね、これ兎々子ちゃんにあげる」
氷の結晶の帯どめを兎々子に渡した。
銀製の帯どめで大きな雪の結晶を真ん中に小さな結晶が連なる美しい細工の物だった。
「えっ!? こんな高そうな物をもらっても大丈夫なの?」
「大丈夫。兎々子ちゃんに色々な物をたくさんもらったから持っていて」
「うん。ありがと。大事にするね」
兎々子は大切そうに胸元へ帯どめを入れると微笑んだ。
「皮肉なものだ。人間のせいで消えるはずだった存在も名を与えられれば、存在し続けてしまうのだからな」
千景も誰かに名前を与えられたのだろうか。
どこか昔を懐かしむような声だった。
千景の気が変わらぬ内にここから出たほうがいいような気がした。
長居は無用。
「有浄、ごちゃごちゃ言ってないで帰るぞ。お前は陰陽師で人とあやかしの橋渡し役なんだろ? ここに残ってどうするんだ」
「……そうだったね」
「有浄さん。私ね、可愛い金魚も買いたいの!」
「夜店のことしか頭にない奴もいるしな」
「それくらいでちょうどいいよ」
有浄は俺と兎々子の隣に並んだ。
そして、黙って俺のじいさんとばあさんに頭を下げた。
じいさんもばあさんは笑っていて、その顔に迷いはない。
「おい、安海。もっと腕を磨けよ」
「言われなくてもそうするつもりだ」
じいさんに負けない和菓子を作ってやる。
まずいなんて言わせるか。
たとえ、あやかし相手でもだ。
「安海、ちゃんと店を開けるんだよ!」
「……それはまあ、ぼちぼち」
俺にも約束できることと約束できないことがある。
そんな返事をした俺をドンッと兎々子が突き飛ばした。
「安芸おばあちゃん、安海ちゃんのことは私が見張ってるから心配しないで!」
「兎々子ちゃんは頼りになるね。安海を頼んだよ」
「やっぱり安芸おばあちゃんが私のことを一番よくわかってるみたい」
身内が俺に一番厳しいんだが。
やっぱりじいさんとばあさんにはここにいてもらったほうがよさそうだ。
「じゃーな。じいさん、ばあさん。せいぜい長生きしろよ」
そう言って俺が背中を向けた瞬間―――それは本当に一瞬のことだった。
千景が猫面をとり、顔を見せた。
「私は諦めないよ。いずれ有浄はこちら側にやってくる。そう決まっているんだ」
「有浄……」
あちら側の世界がぼやけて消えていく。
振り返ったのは俺だけで有浄も兎々子も千景の顔を見ていなかった。
千景は俺にだけ見せたのだ。
自分の顔を。
だから、俺は二人には言わなかった。
千景の顔が有浄にそっくりだったことは俺一人の心の中に仕舞い込んだのだった―――
そこらに座っている店主から詰将棋の問題を受け取り連勝すれば金を稼げるというものだ。
だが、その詰将棋屋はなかったようで千景は腕を組んで唸った。
「ふむ……。詰将棋の店はこちらにないんだったな。しかたない。将棋盤を持ってこさせて一局指すか」
「それでいい」
俺が了承すると千景は将棋盤を持ってこさせた。
そして、道端にそれを置き、俺と向き合った。
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将棋の腕には自信があるのか面に隠れていない千景の口の端があがる。
「安海ちゃん、将棋そんなに強くないのに勝負なんてして大丈夫?」
「安海を信じよう。兎々子ちゃん。下手の横好きでこっそり勉強はしていたようだから」
こいつら、どっちの味方だよ。
浴衣の袂に手を入れた。
並べた駒は当然のことながら同じ数。
始まると向こうは金と銀をあげてきた。
とりあえずは歩を軽くぶつけ合って取り合う。
「ふむ。ならばこうだ」
俺の歩をさらに奪うと銀まで持ってかれた。
「あっー! 安海ちゃんっ! なんか偉そうな駒をとられたよ!?」
銀を偉そうな駒とか言うなよ。
将棋を知らない兎々子がハラハラと盤上を眺めた。
それはユキも同じらしく心配そうにのぞき込んでいた。
俺はここで歩を投入する。
そして相手の銀を奪った。
「とりかえした!?」
「駒の多さで競うわけじゃない」
だが、相手の王将を守る銀はもういない。
歩で囲まれた王将に王手をかける。
「む……。いつの間に囲まれていたんだ?」
千景は納得いかないのか盤上をしばし眺めていた。
だが、俺の勝ちは勝ちだ。
「これで勝負は決まったな」
「勝ったの?」
「そうだ」
「安海は相変わらず棒銀が好きだね」
俺の手の内を知っている有浄がそんなことを言ってきた。
「攻撃は最大の防御だ」
「見た目より安海は攻撃的だからなー」
有浄は駒を指でつまんだ。
盤上を眺めていた千景は顔あげ、口元を悔し気に歪ませた。
「これはなんとも面白くない勝負だったね」
「けど、決着はついた。約束だからな。有浄はここに残らない。俺達も戻る」
「そーよ! 有浄さんは私達とずっと一緒にいたんだから、いなくなるなんて絶対に駄目!」
わかってるのか、わかってないのか。
兎々子はそんなことを言った。
多分、引っ越し程度にしか思っていない。
「いいだろう。だが、お前の祖父母はここに残す」
「それは……」
有浄がなにが言いかけたが、じいさんが大笑いした。
「残すもなにもここに『千年屋』がある限り、俺はどこにも行きゃしねーよ」
「じいさん、まさかこっちで店を構えているのか」
「当たり前だ。繁盛ぶりをお前にも見せてやりてぇなぁ」
「は? 俺も常連客がついてるけどな!」
「なに言ってやがる。お前の常連客なんぞまだまだケツの青い連中ばかりだろうが。兼岡あたりはお前の饅頭をしかたなく食ってやってるに違いねぇ」
「若い常連客は俺のほうが多いけどな」
バチバチと俺とじいさんが火花を散らしているとばあさんが間に入った。
「まったく困ったもんだよ。どちらも『千年屋』なんだから儲けるに越したことはないよ」
「そういうわけだ! 俺はまだ帰らねえ! 向こうの『千年屋』には腕は落ちるが、安海がいる。だが、こっちの店は誰もやる奴がいねえんだよ」
じいさんはポンッと有浄の肩を叩いた。
「弟子もいねぇのにこのまま店を中途半端にしておけないだろ?」
「けど、向こうの人達は……」
「あー、そうだなー。兼岡にだけ言っておいてくれ。まだ死んではいない。次に会う時はあの世でなってな!」
「兼岡の大旦那があの世であんたに会いたいかどうかはわからないけどね」
ばあさんは呆れたようにじいさんに言うと、調子に乗っていたじいさんは少しだけシュンッとした。
「有浄。帰るぞ。じいさんとばあさんが決めたことだ。放っておけ」
「そうね! 有浄さん、早く焼き玉蜀黍を食べに行きましょうよ。あとポン菓子とどんどん焼きも!」
お前は食うことしか頭にないのかよ。
兎々子が言うと有浄は目を細めて笑った。
「いいね」
「でしょ。ユキちゃんも一緒に行こ!」
「ううん。私はかき氷屋があるから」
「あ、そうよね……。じゃあ、また近くに寄ったら遊びましょうね」
「うん。ありがとう。あのね、これ兎々子ちゃんにあげる」
氷の結晶の帯どめを兎々子に渡した。
銀製の帯どめで大きな雪の結晶を真ん中に小さな結晶が連なる美しい細工の物だった。
「えっ!? こんな高そうな物をもらっても大丈夫なの?」
「大丈夫。兎々子ちゃんに色々な物をたくさんもらったから持っていて」
「うん。ありがと。大事にするね」
兎々子は大切そうに胸元へ帯どめを入れると微笑んだ。
「皮肉なものだ。人間のせいで消えるはずだった存在も名を与えられれば、存在し続けてしまうのだからな」
千景も誰かに名前を与えられたのだろうか。
どこか昔を懐かしむような声だった。
千景の気が変わらぬ内にここから出たほうがいいような気がした。
長居は無用。
「有浄、ごちゃごちゃ言ってないで帰るぞ。お前は陰陽師で人とあやかしの橋渡し役なんだろ? ここに残ってどうするんだ」
「……そうだったね」
「有浄さん。私ね、可愛い金魚も買いたいの!」
「夜店のことしか頭にない奴もいるしな」
「それくらいでちょうどいいよ」
有浄は俺と兎々子の隣に並んだ。
そして、黙って俺のじいさんとばあさんに頭を下げた。
じいさんもばあさんは笑っていて、その顔に迷いはない。
「おい、安海。もっと腕を磨けよ」
「言われなくてもそうするつもりだ」
じいさんに負けない和菓子を作ってやる。
まずいなんて言わせるか。
たとえ、あやかし相手でもだ。
「安海、ちゃんと店を開けるんだよ!」
「……それはまあ、ぼちぼち」
俺にも約束できることと約束できないことがある。
そんな返事をした俺をドンッと兎々子が突き飛ばした。
「安芸おばあちゃん、安海ちゃんのことは私が見張ってるから心配しないで!」
「兎々子ちゃんは頼りになるね。安海を頼んだよ」
「やっぱり安芸おばあちゃんが私のことを一番よくわかってるみたい」
身内が俺に一番厳しいんだが。
やっぱりじいさんとばあさんにはここにいてもらったほうがよさそうだ。
「じゃーな。じいさん、ばあさん。せいぜい長生きしろよ」
そう言って俺が背中を向けた瞬間―――それは本当に一瞬のことだった。
千景が猫面をとり、顔を見せた。
「私は諦めないよ。いずれ有浄はこちら側にやってくる。そう決まっているんだ」
「有浄……」
あちら側の世界がぼやけて消えていく。
振り返ったのは俺だけで有浄も兎々子も千景の顔を見ていなかった。
千景は俺にだけ見せたのだ。
自分の顔を。
だから、俺は二人には言わなかった。
千景の顔が有浄にそっくりだったことは俺一人の心の中に仕舞い込んだのだった―――
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