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第七話 闇色のしっぽと祭囃子~夏の夜船~
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蝉の声が夜明けとともに徐々に大きくなって響き渡るころ、俺はまだ寝ている―――そう思ったら大間違いだ!
今日の俺はひと味違う。
ふっと俺は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「俺は自分自身と戦って勝ったのだ」
工場には俺以外の人間は誰もいないが、一人そんな台詞を吐いて作業を続けた。
昨日から天草を大きな鍋に入れ、水に浸けておいた。
天草は海藻でその煮出した液が心太となる。
今、俺は天草を火にかけて地道に煮出している最中だ。
煮出した後はザルにあけて不純物が混じらぬよう目の細かい布で液を濾す。
この液を型にいれて、常温でゆっくり固めると美味しい心太が出来上がる。
もちろん、これで終わりじゃない。
固まった心太は心太つきの大きさに合わせて切っておく。
それを店先まで運んで裏から引いた湧き水で冷やす。
そうすることでいつでもよく冷えた心太が食べられるというわけだ。
切り分けた心太を店の前まで運び、水をはった木製の樽にするりと心太の塊を入れていく。
水の中で重なり合う心太は目にも涼しい。
湧き水が湛えられた樽の中に入った心太はまるで曇り空を水に映したかのように見える。
重なりあっているから余計に曇っているが、これが減れば水面は青い空を映す。
「今日も暑くなるぞ」
東の空が明るくなり、蝉の声が徐々に大きくなるのがわかった。
「さてと。心太以外の物も用意するか」
心太だけでは和菓子屋とは言えない。
『千年屋』はいつから心太売りになったんだとあちらこちらから言われるのはごめんだ。
工場に戻り、ほどよく冷えたあんこを丸めた。
窓の色が藍色から空色に変わる頃、朝を知らせる寺の鐘が石畳の通りに響き渡り、隣近所の家の前では打ち水がまかれる。
俺も隣近所に倣って打ち水をまくようにしている(早起きした時だけ)。
今日の俺は水をまける!
起きて店を開けていることをご近所に知らせるため石畳の通りに出た。
ちょろちょろと店先で引いた湧き水がこぼれているのを柄杓で受け止め、その水を道にまく。
「おや、安海ちゃん。今日は店を開ける日かい」
「偉いねぇ。最近、真面目にやってるじゃないか」
「感心、感心!」
ぺこりと頭を下げた。
今日も近所のおばちゃん達が『千年屋』が開いていることを方々に知らせてくれるだろう。
郵便屋や新聞屋よりおばちゃんの噂話のほうが伝達速度が早い。
おかげで特に宣伝しなくとも客がやってくる。
頭があがらないとはこのことだ。
空が眩しい水色に変わる頃、蝉の鳴き声が勢いを増し、太陽が通りにまいた水をあっという間に乾かした。
「儚い打ち水だった……」
俺が意気込んでまいた水に意味はあったのだろうか?
そう思わずにはいられなかった。
強い日差しが石畳をじりじりと焼く中、兼岡商店のテツが首に手ぬぐいをかけ、汗を垂らしながらリヤカーで醤油を届けてくれた。
「毎度ォ!」
テツはドンッと台の上に醤油の一升瓶を勢いよく置いた。
その勢いだけで俺の体力の一割はもっていかれた。
「テツは今日も元気だな」
「まあなっ! お前はまだ寝てるのか? 眠たそうな顔をしているぞ。もっとシャンとしろよ、シャンと!」
「これが俺のいつもの顔だ」
いつも通りだとわかっているくせに俺の顔が眠そうだとわざわざ言わなくていい。
テツが置いた醤油瓶を見ると兼岡商店の名前と松印が入ったラベルが貼ってあった。
兼岡商店の醤油には松竹梅の三種類があり、松印が一番旨味のある醤油で値段も張る。
「おい、テツ。俺が頼んだ醤油は竹印だったよな?」
「おう! 大旦那様から伝言で『心太にかける醤油くらいはうまくないといけない。代金は竹印でいいから松印を寄越してやれ』ってさ」
あのタヌキじじい。
相変わらず俺を未熟者扱いだ。
兼岡の大旦那が夏にじいさんが作った『千年屋』の心太で一杯やるのが楽しみだったことは知っている。
「……わかった。店が終わったら、心太を何本か兼岡商店に届けておく」
あのタヌキじじいに借りを作っておくと後々面倒だ。
「大旦那様が喜ぶ。暑い時は心太を醤油と辛子でさっと食べるのが最高だからな!」
テツは首の手ぬぐいで汗をぬぐうとまたリヤカーを引っ張って次の配達先へと走って行った。
配達から戻ってきたら、テツにも心太を一杯ご馳走してやろう。
そう思いながら、店の前に『心太あります』の張り紙をはった。
「あらぁ。心太があるなんて嬉しいねぇ」
「安海ちゃん、後で買いに行くからね」
『千年屋』の心太が出てきて、ようやく夏らしくなってきたというように近所の人達が声をかけてきた。
昔は必ず夏の時分になると心太売りがやってきていたのだが、最近ではその姿を見かけなくなってしまった。
心太売りは石畳の通りに独特の声を響かせていた。
心太を買うと心太売りが木製の心太つき棒でとんっと突いてくれるのだ。
その先からするすると出てくるのは水っぽさのない歯ごたえのあるしっかりとした心太。
辛子と醤油でさっぱりと食べたのを思い出す。
今では売る場所を変えたのか、それとも心太売りをやっている人が減ったのか、この通りで心太売りをすっかり見かけなくなってしまった。
「うまかったんだけどな」
残念に思っているのは俺だけじゃなかった。
夏に心太がないとは寂しいという声を聞いたじいさんが仕入れ業者に頼んで天草を取り寄せた。
じいさんは磯の香りが残る天草を選び『千年屋』の心太として売り出した。
試しに作った心太だったが、磯の香りがする歯切れもいい心太で湧き水の冷たい水に冷やされ喉ごしも抜群ですぐに売り切れた。
うまいと評判になるのに時間はかからず、『千年屋』の毎年夏の定番商品となった。
そういった訳で本業は和菓子屋なのだが、夏には心太を作るようにしているというわけだ。
心太のことを考えたせいか、ぐぅっとお腹が鳴った。
「店を開ける前に朝飯を食べておくか」
茶の間に入り、朝飯を用意した。
白飯と豆腐の味噌汁、じゃがいもを茹でて塩をふったものと茄子の煮物。
胡瓜の浅漬けと麦茶で朝飯にした。
夜が明けぬ前から働いていたから腹が減っている。
白飯はもちろん大盛りだ。
朝飯を食べながら、庭に目をやった。
庭には青や紫、赤の朝顔が咲いているのが見える。
今年も朝顔の種がとれそうだと思いながら、ばあさんの顔を思い浮かべた。
『朝顔くらいちゃんと咲かせられないのかい!』
そう言って、ばあさんから朝顔が途絶えた日には理不尽にも俺が叱られる気がしてならない。
朝飯を終える頃、裏口のあたりでニャアといつもの黒猫が鳴くのが聞こえて立ち上がった。
味噌汁のダシをとった後の煮干しを鍋からとって小皿にのせる。
「あいつも休むことを知らないな」
毎日のようにやってくる黒猫。
毛並みもよく、怪我の痕もない。
やはりどこかで飼われているのではないかという疑惑は深まるばかりだ。
「ほら、いつものだ」
猫用の皿に煮干しを入れてやる。
猫は煮干しを食べずにジッと俺の顔を見ていた。
「ん? 食えよ。いつもの煮干しだぞ?」
『またこれですか』
まさか、そんなことを思っているんじゃないだろうな?
緑色の目は俺に語りかけているような気がした。
「贅沢言わずに食えよ。他のものはないからな」
鰹節でも削ってくれよということか?
野良猫なのにだんだん図々しくなってきたな。
甘やかしすぎたか。
俺と猫がにらみ合っていると店のほうから声がした。
「おーい、安海。安海だけに休みかー?」
「商品があるのに休むか。わかって言っているだろ!」
店の前にある大きな木製の樽に心太がたくさん入っているのを見過ごすとは思えない。
有浄の声がして俺は店のほうに顔を向けた。
「今、行くから待ってろ」
そう答えて、もう一度猫を見るとすでに皿の上にあった煮干しは食べられていた。
そして、猫は悠々とした足取りで去っていった。
相変わらず、猫は孤高の存在だ。
すらりと伸びた黒い尻尾は文字を書くように動いていた。
もしかして、礼を言っているのだろうか。
不思議な尻尾だなと思いながら、裏の戸を閉めた。
今日の俺はひと味違う。
ふっと俺は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「俺は自分自身と戦って勝ったのだ」
工場には俺以外の人間は誰もいないが、一人そんな台詞を吐いて作業を続けた。
昨日から天草を大きな鍋に入れ、水に浸けておいた。
天草は海藻でその煮出した液が心太となる。
今、俺は天草を火にかけて地道に煮出している最中だ。
煮出した後はザルにあけて不純物が混じらぬよう目の細かい布で液を濾す。
この液を型にいれて、常温でゆっくり固めると美味しい心太が出来上がる。
もちろん、これで終わりじゃない。
固まった心太は心太つきの大きさに合わせて切っておく。
それを店先まで運んで裏から引いた湧き水で冷やす。
そうすることでいつでもよく冷えた心太が食べられるというわけだ。
切り分けた心太を店の前まで運び、水をはった木製の樽にするりと心太の塊を入れていく。
水の中で重なり合う心太は目にも涼しい。
湧き水が湛えられた樽の中に入った心太はまるで曇り空を水に映したかのように見える。
重なりあっているから余計に曇っているが、これが減れば水面は青い空を映す。
「今日も暑くなるぞ」
東の空が明るくなり、蝉の声が徐々に大きくなるのがわかった。
「さてと。心太以外の物も用意するか」
心太だけでは和菓子屋とは言えない。
『千年屋』はいつから心太売りになったんだとあちらこちらから言われるのはごめんだ。
工場に戻り、ほどよく冷えたあんこを丸めた。
窓の色が藍色から空色に変わる頃、朝を知らせる寺の鐘が石畳の通りに響き渡り、隣近所の家の前では打ち水がまかれる。
俺も隣近所に倣って打ち水をまくようにしている(早起きした時だけ)。
今日の俺は水をまける!
起きて店を開けていることをご近所に知らせるため石畳の通りに出た。
ちょろちょろと店先で引いた湧き水がこぼれているのを柄杓で受け止め、その水を道にまく。
「おや、安海ちゃん。今日は店を開ける日かい」
「偉いねぇ。最近、真面目にやってるじゃないか」
「感心、感心!」
ぺこりと頭を下げた。
今日も近所のおばちゃん達が『千年屋』が開いていることを方々に知らせてくれるだろう。
郵便屋や新聞屋よりおばちゃんの噂話のほうが伝達速度が早い。
おかげで特に宣伝しなくとも客がやってくる。
頭があがらないとはこのことだ。
空が眩しい水色に変わる頃、蝉の鳴き声が勢いを増し、太陽が通りにまいた水をあっという間に乾かした。
「儚い打ち水だった……」
俺が意気込んでまいた水に意味はあったのだろうか?
そう思わずにはいられなかった。
強い日差しが石畳をじりじりと焼く中、兼岡商店のテツが首に手ぬぐいをかけ、汗を垂らしながらリヤカーで醤油を届けてくれた。
「毎度ォ!」
テツはドンッと台の上に醤油の一升瓶を勢いよく置いた。
その勢いだけで俺の体力の一割はもっていかれた。
「テツは今日も元気だな」
「まあなっ! お前はまだ寝てるのか? 眠たそうな顔をしているぞ。もっとシャンとしろよ、シャンと!」
「これが俺のいつもの顔だ」
いつも通りだとわかっているくせに俺の顔が眠そうだとわざわざ言わなくていい。
テツが置いた醤油瓶を見ると兼岡商店の名前と松印が入ったラベルが貼ってあった。
兼岡商店の醤油には松竹梅の三種類があり、松印が一番旨味のある醤油で値段も張る。
「おい、テツ。俺が頼んだ醤油は竹印だったよな?」
「おう! 大旦那様から伝言で『心太にかける醤油くらいはうまくないといけない。代金は竹印でいいから松印を寄越してやれ』ってさ」
あのタヌキじじい。
相変わらず俺を未熟者扱いだ。
兼岡の大旦那が夏にじいさんが作った『千年屋』の心太で一杯やるのが楽しみだったことは知っている。
「……わかった。店が終わったら、心太を何本か兼岡商店に届けておく」
あのタヌキじじいに借りを作っておくと後々面倒だ。
「大旦那様が喜ぶ。暑い時は心太を醤油と辛子でさっと食べるのが最高だからな!」
テツは首の手ぬぐいで汗をぬぐうとまたリヤカーを引っ張って次の配達先へと走って行った。
配達から戻ってきたら、テツにも心太を一杯ご馳走してやろう。
そう思いながら、店の前に『心太あります』の張り紙をはった。
「あらぁ。心太があるなんて嬉しいねぇ」
「安海ちゃん、後で買いに行くからね」
『千年屋』の心太が出てきて、ようやく夏らしくなってきたというように近所の人達が声をかけてきた。
昔は必ず夏の時分になると心太売りがやってきていたのだが、最近ではその姿を見かけなくなってしまった。
心太売りは石畳の通りに独特の声を響かせていた。
心太を買うと心太売りが木製の心太つき棒でとんっと突いてくれるのだ。
その先からするすると出てくるのは水っぽさのない歯ごたえのあるしっかりとした心太。
辛子と醤油でさっぱりと食べたのを思い出す。
今では売る場所を変えたのか、それとも心太売りをやっている人が減ったのか、この通りで心太売りをすっかり見かけなくなってしまった。
「うまかったんだけどな」
残念に思っているのは俺だけじゃなかった。
夏に心太がないとは寂しいという声を聞いたじいさんが仕入れ業者に頼んで天草を取り寄せた。
じいさんは磯の香りが残る天草を選び『千年屋』の心太として売り出した。
試しに作った心太だったが、磯の香りがする歯切れもいい心太で湧き水の冷たい水に冷やされ喉ごしも抜群ですぐに売り切れた。
うまいと評判になるのに時間はかからず、『千年屋』の毎年夏の定番商品となった。
そういった訳で本業は和菓子屋なのだが、夏には心太を作るようにしているというわけだ。
心太のことを考えたせいか、ぐぅっとお腹が鳴った。
「店を開ける前に朝飯を食べておくか」
茶の間に入り、朝飯を用意した。
白飯と豆腐の味噌汁、じゃがいもを茹でて塩をふったものと茄子の煮物。
胡瓜の浅漬けと麦茶で朝飯にした。
夜が明けぬ前から働いていたから腹が減っている。
白飯はもちろん大盛りだ。
朝飯を食べながら、庭に目をやった。
庭には青や紫、赤の朝顔が咲いているのが見える。
今年も朝顔の種がとれそうだと思いながら、ばあさんの顔を思い浮かべた。
『朝顔くらいちゃんと咲かせられないのかい!』
そう言って、ばあさんから朝顔が途絶えた日には理不尽にも俺が叱られる気がしてならない。
朝飯を終える頃、裏口のあたりでニャアといつもの黒猫が鳴くのが聞こえて立ち上がった。
味噌汁のダシをとった後の煮干しを鍋からとって小皿にのせる。
「あいつも休むことを知らないな」
毎日のようにやってくる黒猫。
毛並みもよく、怪我の痕もない。
やはりどこかで飼われているのではないかという疑惑は深まるばかりだ。
「ほら、いつものだ」
猫用の皿に煮干しを入れてやる。
猫は煮干しを食べずにジッと俺の顔を見ていた。
「ん? 食えよ。いつもの煮干しだぞ?」
『またこれですか』
まさか、そんなことを思っているんじゃないだろうな?
緑色の目は俺に語りかけているような気がした。
「贅沢言わずに食えよ。他のものはないからな」
鰹節でも削ってくれよということか?
野良猫なのにだんだん図々しくなってきたな。
甘やかしすぎたか。
俺と猫がにらみ合っていると店のほうから声がした。
「おーい、安海。安海だけに休みかー?」
「商品があるのに休むか。わかって言っているだろ!」
店の前にある大きな木製の樽に心太がたくさん入っているのを見過ごすとは思えない。
有浄の声がして俺は店のほうに顔を向けた。
「今、行くから待ってろ」
そう答えて、もう一度猫を見るとすでに皿の上にあった煮干しは食べられていた。
そして、猫は悠々とした足取りで去っていった。
相変わらず、猫は孤高の存在だ。
すらりと伸びた黒い尻尾は文字を書くように動いていた。
もしかして、礼を言っているのだろうか。
不思議な尻尾だなと思いながら、裏の戸を閉めた。
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