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第六話 夏の合戦~夜空の下の七夕流し~
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逸嵩は慣れたものでちゃぶ台の上に熱々の粥が入った茶碗と漬け物、卵焼き、そして冷たい水ではいけないと思ったのか白湯を用意してくれた。
逸嵩、お前は本当に出来る男だよ……
「鍋に粥のおかわりが入っているから晩飯に食えよ。あと、卵焼きをもう一皿作っておいたからな」
「逸嵩、悪いな」
「構わんが、安海。栄養のあるものを食べているか? 一人暮らしだからといってお茶漬けばかり食べてると力がでないぞ」
ごもっとも。
つい面倒になり適当に食事をすませてしまうところがある。
炊いたばかりの粥はつやがあり、口に運ぶと米の甘さが広がった。
そして、白瓜の|浅漬けと甘い卵焼きは熱があっても美味しくいただけた。
特に白瓜は外側の薄い緑色の部分を残して薄く切ってあり水分が多くさっぱりとしていて食べやすかった。
白瓜は夏の味だ。
漬け物だけでなく、他にはらせん状に切り塩をして風にさらして干したものを酢醤油に和えて食べてもうまい。
夏の食欲がない時にはぴったりだ。
逸嵩に白瓜のうまさを語るとまた栄養が足りないと言われそうだが、夏の暑さに負けてさっぱりしたものを好んでしまう。
好物の鰻の蒲焼以外は。
「食欲があるなら大丈夫だな。それじゃあ、俺は帰る」
「ん? 俺になにか用事だったんじゃないのか?」
「たいした話でもない。また改めて出直すから気にするな」
「そうか。逸嵩、助かったよ。ありがとう」
逸嵩は夏の風のごとく爽やかに微笑んだが、兎々子は頭に漬け物石がのっかっているんじゃないのかといくらい落ち込んでいた。
「……どうして……私ときたら……なにもできないの」
さすがに可哀想になり、俺は言った。
「あー、兎々子。お前もありがとうな。その気持ちが嬉しいよ」
「本当!?」
「ああ。気持ちだけでじゅうぶんだ。だからな、風邪がうつるまえに早く帰ったほうがいい」
「ねえ、安海ちゃん。私を追い返そうとしてない?」
こういう時だけ鋭いんだよな、こいつは。
ぱりっと白瓜の漬け物を噛みしめながら苦笑した。
「ごめんください」
店のほうで有浄の声がした。
来ると思ったが、やっぱりあいつも来たか。
だが、おかしい。
なんだ、その馬鹿丁寧な挨拶は。
初めてあいつのそんな他人行儀な挨拶を聞いた。
違和感を感じたのは熱のせいではないはずだ。
逸嵩も兎々子も不思議そうな顔をして有浄の声がした方に目を向けていた。
「見てこよう」
逸嵩が立ち上がり、店の方へ行った。
いつもの有浄なら兎々子と同じく挨拶と同時じゃないかというくらいの速さで茶の間にやってくるのだが、今日の有浄はいつまでたってもこない。
俺と兎々子は茶の間の襖を開けて、店のほうを覗き見た。
「よう、一之森。元気にしていたか?」
「元気にしていましたよ。そちらもおかわりなさそうでなによりです」
どうした、悪い物でも食べたのか?
気の合わない二人のはずが、今の有浄は嫌味一つ言わないただのいい人だ(いや、それはそれでいいのだが)
逸嵩も驚いている。
「安海は風邪で寝込んでいるぞ」
「そうですか。それはちょうどよかった。土産をもってきました。これを口にすればたちまち元気になるはずです」
怪しげな薬売りの口上かよ。
俺は絶対に食べないでおこうと心に決めた。
それにしても暑くないのだろうか。
服装はいつもの洋装姿で首までボタンをしっかり留め、上着をきっちり着込んでいる。
汗一つかいてない。
そんなことがあり得るのか?
「ねえねえ、安海ちゃん。有浄さん、悪い物でも食べたのかな?」
兎々子でさえ、おかしいと思っているのだ。
これはやはりなにかあると俺は踏んだ。
だが―――
「暑い中、ご苦労様です。仕事が忙しいらしいとききました。体に気を付けてくださいね」
「あ、ああ……。うん。まさか一之森からそんな労いの言葉が聞けるとは思ってもみなかったな。お前も大人になったもんだ」
逸嵩のほうは悪い気はしないらしく、戸惑いながらも嬉しそうに微笑んでいた。
店の方から逸嵩が戻ってくると俺に言った。
「あいつ、なんだか落ち着いたなぁ。一之森に任せて俺は帰ってもよさそうだな」
いやいやいや!?
俺は首を横に振った。
むしろ帰らないで欲しい。
あれは絶対、有浄だけど有浄じゃないぞ。
逸嵩に友好的な時点でもう別人決定だ。
「一之森が俺の仕事を応援してくれていたとはな。あいつと俺は水と油でわかり合えないと思っていたが、そうでもなさそうだな」
店の方にいた有浄が逸嵩の言葉が聞こえたらしく、にっこり微笑んだ。
「いいえ。自分は常々、狭量《きょうりょう》な人間だと反省しています」
なに言ってんだこいつ。
これは熱があるせいで見た夢だ。
いわば、夢オチ。
頬をつねってみたが、餅のように伸びて痛いだけだった。
兎々子も同じようにしていた。
だよな!?
「一之森のことを俺は誤解していたようだ。あとは頼んだぞ」
「お任せください」
真面目な顔で有浄が答えるのを見て逸嵩は安心したのか、縁側の沓脱石の上の革靴をはき、庭に降りると俺に手を振った。
「じゃーなっ! 安海、早く良くなれよ!」
その笑顔、眩しすぎる。
逸嵩は上機嫌で帰って行った。
いつもは冷静な判断ができる逸嵩だが、有浄の友好的な態度は逸嵩の感覚を狂わせるほど威力があったらしい。
「あー、兎々子」
「なに?」
「豆腐を買ってきてくれ」
「お豆腐?」
「そうだ。俺は熱があるな? 夕飯に冷たい冷奴を食べたいと思っている。お前にしか任せられない。買ってこれるか?」
「わかったわ! それくらいできるんだから!」
どこへ戦いに行くんだというような勢いで兎々子はバッと立ち上がった。
そして、台所へ行くと小鍋を手にして戻って来た。
「いってきます!」
「お、おう」
いざ出陣という雰囲気で兎々子は胸の前に拳を握りしめて力強くうなずいた。
いや、だからなにと戦ってんだよ?
慌ただしく縁側から降りると、下駄をはいて走って行った。
その間も有浄は動かず、こっちを見てニコニコしている。
不気味だ。
一人になった俺は店先の怪しい有浄に近寄ることに決めた。
「なにか用か?」
「はい。これを返しに来ました」
外見は有浄で間違いない。
風呂敷を解き、有浄は重箱を差し出した。
なにが入っているんだと警戒しながら重箱の蓋をとった。
そこには麦饅頭がぎっしり詰められていた。
なぜ、和菓子屋に饅頭を?
『うん。やっぱり安海のあんこはうまい』
そんなことを言っていた奴が俺への手土産に他の店の麦饅頭を持ってくるだろうか。
それに今になって思えば、有浄は『千年屋』以外の和菓子屋で和菓子を買っているところを見たことがなかった。
「お前は誰だ?」
目の前にいるのは有浄の姿をした別の存在。
そう確信した。
逸嵩、お前は本当に出来る男だよ……
「鍋に粥のおかわりが入っているから晩飯に食えよ。あと、卵焼きをもう一皿作っておいたからな」
「逸嵩、悪いな」
「構わんが、安海。栄養のあるものを食べているか? 一人暮らしだからといってお茶漬けばかり食べてると力がでないぞ」
ごもっとも。
つい面倒になり適当に食事をすませてしまうところがある。
炊いたばかりの粥はつやがあり、口に運ぶと米の甘さが広がった。
そして、白瓜の|浅漬けと甘い卵焼きは熱があっても美味しくいただけた。
特に白瓜は外側の薄い緑色の部分を残して薄く切ってあり水分が多くさっぱりとしていて食べやすかった。
白瓜は夏の味だ。
漬け物だけでなく、他にはらせん状に切り塩をして風にさらして干したものを酢醤油に和えて食べてもうまい。
夏の食欲がない時にはぴったりだ。
逸嵩に白瓜のうまさを語るとまた栄養が足りないと言われそうだが、夏の暑さに負けてさっぱりしたものを好んでしまう。
好物の鰻の蒲焼以外は。
「食欲があるなら大丈夫だな。それじゃあ、俺は帰る」
「ん? 俺になにか用事だったんじゃないのか?」
「たいした話でもない。また改めて出直すから気にするな」
「そうか。逸嵩、助かったよ。ありがとう」
逸嵩は夏の風のごとく爽やかに微笑んだが、兎々子は頭に漬け物石がのっかっているんじゃないのかといくらい落ち込んでいた。
「……どうして……私ときたら……なにもできないの」
さすがに可哀想になり、俺は言った。
「あー、兎々子。お前もありがとうな。その気持ちが嬉しいよ」
「本当!?」
「ああ。気持ちだけでじゅうぶんだ。だからな、風邪がうつるまえに早く帰ったほうがいい」
「ねえ、安海ちゃん。私を追い返そうとしてない?」
こういう時だけ鋭いんだよな、こいつは。
ぱりっと白瓜の漬け物を噛みしめながら苦笑した。
「ごめんください」
店のほうで有浄の声がした。
来ると思ったが、やっぱりあいつも来たか。
だが、おかしい。
なんだ、その馬鹿丁寧な挨拶は。
初めてあいつのそんな他人行儀な挨拶を聞いた。
違和感を感じたのは熱のせいではないはずだ。
逸嵩も兎々子も不思議そうな顔をして有浄の声がした方に目を向けていた。
「見てこよう」
逸嵩が立ち上がり、店の方へ行った。
いつもの有浄なら兎々子と同じく挨拶と同時じゃないかというくらいの速さで茶の間にやってくるのだが、今日の有浄はいつまでたってもこない。
俺と兎々子は茶の間の襖を開けて、店のほうを覗き見た。
「よう、一之森。元気にしていたか?」
「元気にしていましたよ。そちらもおかわりなさそうでなによりです」
どうした、悪い物でも食べたのか?
気の合わない二人のはずが、今の有浄は嫌味一つ言わないただのいい人だ(いや、それはそれでいいのだが)
逸嵩も驚いている。
「安海は風邪で寝込んでいるぞ」
「そうですか。それはちょうどよかった。土産をもってきました。これを口にすればたちまち元気になるはずです」
怪しげな薬売りの口上かよ。
俺は絶対に食べないでおこうと心に決めた。
それにしても暑くないのだろうか。
服装はいつもの洋装姿で首までボタンをしっかり留め、上着をきっちり着込んでいる。
汗一つかいてない。
そんなことがあり得るのか?
「ねえねえ、安海ちゃん。有浄さん、悪い物でも食べたのかな?」
兎々子でさえ、おかしいと思っているのだ。
これはやはりなにかあると俺は踏んだ。
だが―――
「暑い中、ご苦労様です。仕事が忙しいらしいとききました。体に気を付けてくださいね」
「あ、ああ……。うん。まさか一之森からそんな労いの言葉が聞けるとは思ってもみなかったな。お前も大人になったもんだ」
逸嵩のほうは悪い気はしないらしく、戸惑いながらも嬉しそうに微笑んでいた。
店の方から逸嵩が戻ってくると俺に言った。
「あいつ、なんだか落ち着いたなぁ。一之森に任せて俺は帰ってもよさそうだな」
いやいやいや!?
俺は首を横に振った。
むしろ帰らないで欲しい。
あれは絶対、有浄だけど有浄じゃないぞ。
逸嵩に友好的な時点でもう別人決定だ。
「一之森が俺の仕事を応援してくれていたとはな。あいつと俺は水と油でわかり合えないと思っていたが、そうでもなさそうだな」
店の方にいた有浄が逸嵩の言葉が聞こえたらしく、にっこり微笑んだ。
「いいえ。自分は常々、狭量《きょうりょう》な人間だと反省しています」
なに言ってんだこいつ。
これは熱があるせいで見た夢だ。
いわば、夢オチ。
頬をつねってみたが、餅のように伸びて痛いだけだった。
兎々子も同じようにしていた。
だよな!?
「一之森のことを俺は誤解していたようだ。あとは頼んだぞ」
「お任せください」
真面目な顔で有浄が答えるのを見て逸嵩は安心したのか、縁側の沓脱石の上の革靴をはき、庭に降りると俺に手を振った。
「じゃーなっ! 安海、早く良くなれよ!」
その笑顔、眩しすぎる。
逸嵩は上機嫌で帰って行った。
いつもは冷静な判断ができる逸嵩だが、有浄の友好的な態度は逸嵩の感覚を狂わせるほど威力があったらしい。
「あー、兎々子」
「なに?」
「豆腐を買ってきてくれ」
「お豆腐?」
「そうだ。俺は熱があるな? 夕飯に冷たい冷奴を食べたいと思っている。お前にしか任せられない。買ってこれるか?」
「わかったわ! それくらいできるんだから!」
どこへ戦いに行くんだというような勢いで兎々子はバッと立ち上がった。
そして、台所へ行くと小鍋を手にして戻って来た。
「いってきます!」
「お、おう」
いざ出陣という雰囲気で兎々子は胸の前に拳を握りしめて力強くうなずいた。
いや、だからなにと戦ってんだよ?
慌ただしく縁側から降りると、下駄をはいて走って行った。
その間も有浄は動かず、こっちを見てニコニコしている。
不気味だ。
一人になった俺は店先の怪しい有浄に近寄ることに決めた。
「なにか用か?」
「はい。これを返しに来ました」
外見は有浄で間違いない。
風呂敷を解き、有浄は重箱を差し出した。
なにが入っているんだと警戒しながら重箱の蓋をとった。
そこには麦饅頭がぎっしり詰められていた。
なぜ、和菓子屋に饅頭を?
『うん。やっぱり安海のあんこはうまい』
そんなことを言っていた奴が俺への手土産に他の店の麦饅頭を持ってくるだろうか。
それに今になって思えば、有浄は『千年屋』以外の和菓子屋で和菓子を買っているところを見たことがなかった。
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