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第2章
29 特別な存在
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宮廷魔道具師になった私は、その証として、木の枝に葉が絡み合ったミニチュアブローチを与えられた。
木には果実のモチーフがあり、この果実には特別な魔石がはめこまれている。
かなり特殊な魔石で、色が変化する石だ。
この魔石の効果は【鍵】。
複雑な術式を施されてた扉を開けることができ、特にこの【鍵】の力を発揮するのが、王宮にある図書館である。
宮廷魔術師と宮廷魔道具師、そして王族だけが入ることを許された王宮図書館。
古い文献が多く残り、建国から保管され続けている書物の数々。
ヴィフレア王国の秘密が隠されていると噂される王宮図書館の【鍵】を与えられるということは、信頼の証でもある。
悪用した場合は、称号を剥奪の上、厳しい罰が待っているということも説明された。
「これが宮廷魔道具師の証……。すげーなー!」
「この裏通りに来た時から、サーラちゃんはタダ者じゃないってわかっていたわ!」
裏通りはちょっとしたお祭りになっていた。
私へのお祝いがたくさん届けられ、肉の丸焼き、パンとジャム、焼き菓子と果物、野菜など、食べ切れないくらいの量が集まった。
だから、今日はお客様や近所の人、仕事でお世話になっている鍛冶工房『ニルソン一家』の人たちを呼び、店と庭を使って、ささやかなパーティーを開いたのだった。
「盛大なお祝いパーティーを開きたかったのに……」
「そうよ。夫も花火を上げようなんて言って、張りきっていたのに残念だわ」
仕立て屋のエミリさんとヒュランデル夫人は、お祝いパーティーを開きたかったらしい。
どんなお祝いをするつもりだったのか、花火を上げると聞いた時点でご遠慮した。
王宮ならともかく、裏通りでバンバン花火が上がったら、何事かと警備兵が駆けつけてくる。
「そのうち、サーラさんの店がヒュランデル商会と並ぶ商会になるかもしれないって、夫が言っていたわ」
「そんな! まだまだです」
まだ商人ギルドに申請中なのだが、商会へ格上げできたら、港の使用許可、各町にある門の通行料を免除され、他国の滞在許可証をもらう手間が省ける。
商会主になると、商人ギルド公認の商人と認められるため、身元の証明にもなるのだ。
その代わり、商人ギルドに納める金額も上がるけど、その見返りは大きい。
「鍋を作っていると言って馬鹿にしていた連中は、今じゃ手のひらを返して、うちの工房を羨ましがっているぜ。まったく、商会だけじゃなく、宮廷魔道具師になるとは、たいしたもんだ」
「ニルソンさんも工房の増築が終わって、王都で一番の工房になりましたよね」
「お前さんのおかげだよ。息子も帰ってきてくれた。今まで以上に頑張らないとなぁ」
ニルソンさんの息子は、他の工房で修業を終えて帰ってきた。
今後は名匠を目指して技を磨くそうだ。
工房も広くなり、職人も増えた『ニルソン一家』の生産力は上がり、売れ行きも順調。
「もっと商品を増やして、ヴィフレア王国だけじゃなく、他国にも売れたらいいですよね」
「サーラ様! カフェにも新商品をお願いします!」
狼獣人の女の子たちは幸せそうな顔でケーキをほおばりながら、私に言った。
「サーラ様が考えた昼間限定の星空カフェも好評なんですよ」
カフェにプラネタリウムを置き、夜空を眺めることができるティールームを作った。
一日数組しか予約できない広さだけど、限定がお客様にとって特別感があるらしく、とても人気だ。
「恋人のお客様が多くて、イチャイチャ……いえ、雰囲気がとてもいいんですよ」
「片想いしていた男性が告白するシーンとか、プロポーズするお客様もいらっしゃるんです~!」
王都に恋人の聖地ができて、女の子たちは大盛り上がりだったけど、私が狙った客層はご家族連れである。
でも、ご家族連れというよりはカップル向けだったらしく……つまり、星空カフェは私に縁のないところ?
「サーラ様も恋人と来てくださいねっ!」
「う、うん、任せといて……。そ、そのうちね……」
複雑な表情を浮かべて、苦笑した。
恋人がいないとは言えずに、いる風に見せてしまう私、十八歳(中身二十四歳)。
「えっ? サーラに恋人いたっけ……もがっ!」
すばやくフランの口を塞ぎ、名誉を守った。
それを見ていたラーシュが、さすが王族という雰囲気で微笑んだ。
「師匠。ぼくでよければ、カフェにご一緒します」
十歳に同情されてしまう私、十八……(以下省略)。
「ラーシュ、あと八年経っても、私が独身だったら、お願いします」
「おい。ラーシュに頼むな。お前にプライドはないのか」
遅れてやってきたリアムが、私の頭に花束を押しつけた。
「リアム!」
呆れた顔で見下ろしたけれど、それより気になったのが、花束である。
「リアム様が花束をサーラ様に贈っていらっしゃるわよ!」
「女性に花束を贈るなんて、初めてじゃない!?」
「黒一色じゃないカラフルなリアム様なんて珍しい!」
花を手にしているおかげで、明るく見えているだけで、今日もリアムは死神みたいに全身黒コーデである。
でも、お祝いの花束を持ってきてくれたのは嬉しい。
受け取ろうとした私に気づき、その手をヒュランデル夫人がつかんで止めた。
「あの、ヒュランデル夫人?」
「リアム様。女性に花束を贈る時は、なにかおっしゃるものですわ」
にこにこ笑顔を浮かべたヒュランデル夫人に、リアムは反論できず、私と花束を見つめた。
周囲は普通に振る舞いながら、気になるらしく、こっちに視線をチラチラ向けている。
みんな気になるのは当然だ。
私もリアムがなにを言うか、わからなくてドキドキしていた。
「父上が喜んでいた。そのお礼だ」
「そ、そ、そうですか。……そうですよね」
がっかりした空気が流れたけど、リアムらしいといえば、リアムらしい理由だ。
リアムが花束なんて、らしくないことをしたから、なにか特別な意味があるのかと思ったけど、特になかったようだ。
花束を受け取り、私はお礼を言った。
「ありがとうございます」
「いや。それから、宮廷魔道具師おめでとう。よく頑張ったな」
不意打ちみたいにして、お祝いの言葉をリアムは言った。
頑張ったなんて言われると思っていなかったから、涙がこぼれた。
「なぜ……」
「リアムに褒められるのって、特別な気持ちになるんです」
この世界で目覚めた時から、心配をかけて振り回してしまったという自覚はある。
でも、いざという時は、リアムがいつも助けてくれた。
涙をぬぐっていると、周りが気まずそうに目をそらしていた。
「え、えーと……」
「あっ! サーラさん。ここに二人で座ったら?」
エミリさんとヒュランデル夫人が座っていたガーデンテーブルとチェアを譲ってくれた。
「お茶を持ってきますね」
「いい」
リアムが私の腕をつかんで、椅子に座らせた。
「人がいなくなって、話しやすくなった」
私の涙の扱いについて、ちょっとリアムに文句を言いたくなったけど我慢した。
私に話があるとわかったからだ。
「なにかありました?」
「改めて、父上から俺を王位継承者として指名したいという話があった」
「そうですか」
やはり、リアムが王になる。
「驚かないのか?」
「そうなればいいなと私は思っていました。リアムは【魔力なし】も獣人も馬鹿にしたりしませんから」
ルーカス様たちが私を馬鹿にしても、リアムは馬鹿にしなかった。
「十年前、そんなリアムにサーラも救われていたと思います」
「それは、どうだろうな」
リアムは黙って、手入れされた庭を眺めた。
ここに住んだばかりの頃は、荒れていた庭だけど、今では花が植えられ、風で揺れている。
「リアムは王様になるんですよね?」
リアムは迷っているのか、返事はなかった。
簡単に決められることじゃないとわかっている。
でも、国王陛下の年齢を考えたら、悩んでいる時間は少ない。
「大丈夫です。リアムなら、きっとみんなに尊敬されるような王様になりますよ!」
私はリアムの背中を押したつもりだった。
でも、リアムが王様になるには、もうひとつ重要なことがあるのを忘れていた。
「俺が妃を決めてから、発表すると言われた」
「リアムの妃!?」
「だが、俺の周りに女性という存在がいないことに気づいた」
「気づくのが遅すぎますけど、そのとおりです」
リアムはなにかの勧誘をするかのように、淡々とした口調で言った。
「俺の婚約者になってくれ。形だけでいい。報酬は支払う」
「ちょ、ちょっと待ってください! 気軽に誘いすぎですから! それに私はアールグレーン公爵家の人間ですよ?」
「勘当されて、縁が切れているだろう」
「ぐっ! でも、形だけとはいえ、私が婚約者っていいんですか? 王宮のしきたりでは、私はリアムと結婚できないはずじゃ……」
「王にならないのであれば無理だな」
王になる前提だから、例外も作れるということらしい。
まるで傭兵を雇うみたいなノリで言われてしまった(形だけの)婚約者の勧誘。
即位するために、その場しのぎの婚約者として、私を利用しようなんて、とんでもない。
それだけじゃない。
――これって、リアムがルーカス様と全面戦争するっていう宣言じゃないですか?
リアムが王様にならなかったら、ルーカス様が王様になる。
そして、私はルーカス様に命じられ、復縁を拒めず妃に戻り、また馬鹿にされる日々……
ゾッとして、首を横に振った。
ルーカス様の妃だけはお断りだ。
――形だけの婚約者として、リアムに協力するしか、ルーカス様から逃れる道はない。
無関係でいられないことはわかる。
これは私をルーカス様から守るためでもあるのだと気づいた。
期間限定とはいえ、私が婚約者――リアムは本気なの?
【二章 了】
木には果実のモチーフがあり、この果実には特別な魔石がはめこまれている。
かなり特殊な魔石で、色が変化する石だ。
この魔石の効果は【鍵】。
複雑な術式を施されてた扉を開けることができ、特にこの【鍵】の力を発揮するのが、王宮にある図書館である。
宮廷魔術師と宮廷魔道具師、そして王族だけが入ることを許された王宮図書館。
古い文献が多く残り、建国から保管され続けている書物の数々。
ヴィフレア王国の秘密が隠されていると噂される王宮図書館の【鍵】を与えられるということは、信頼の証でもある。
悪用した場合は、称号を剥奪の上、厳しい罰が待っているということも説明された。
「これが宮廷魔道具師の証……。すげーなー!」
「この裏通りに来た時から、サーラちゃんはタダ者じゃないってわかっていたわ!」
裏通りはちょっとしたお祭りになっていた。
私へのお祝いがたくさん届けられ、肉の丸焼き、パンとジャム、焼き菓子と果物、野菜など、食べ切れないくらいの量が集まった。
だから、今日はお客様や近所の人、仕事でお世話になっている鍛冶工房『ニルソン一家』の人たちを呼び、店と庭を使って、ささやかなパーティーを開いたのだった。
「盛大なお祝いパーティーを開きたかったのに……」
「そうよ。夫も花火を上げようなんて言って、張りきっていたのに残念だわ」
仕立て屋のエミリさんとヒュランデル夫人は、お祝いパーティーを開きたかったらしい。
どんなお祝いをするつもりだったのか、花火を上げると聞いた時点でご遠慮した。
王宮ならともかく、裏通りでバンバン花火が上がったら、何事かと警備兵が駆けつけてくる。
「そのうち、サーラさんの店がヒュランデル商会と並ぶ商会になるかもしれないって、夫が言っていたわ」
「そんな! まだまだです」
まだ商人ギルドに申請中なのだが、商会へ格上げできたら、港の使用許可、各町にある門の通行料を免除され、他国の滞在許可証をもらう手間が省ける。
商会主になると、商人ギルド公認の商人と認められるため、身元の証明にもなるのだ。
その代わり、商人ギルドに納める金額も上がるけど、その見返りは大きい。
「鍋を作っていると言って馬鹿にしていた連中は、今じゃ手のひらを返して、うちの工房を羨ましがっているぜ。まったく、商会だけじゃなく、宮廷魔道具師になるとは、たいしたもんだ」
「ニルソンさんも工房の増築が終わって、王都で一番の工房になりましたよね」
「お前さんのおかげだよ。息子も帰ってきてくれた。今まで以上に頑張らないとなぁ」
ニルソンさんの息子は、他の工房で修業を終えて帰ってきた。
今後は名匠を目指して技を磨くそうだ。
工房も広くなり、職人も増えた『ニルソン一家』の生産力は上がり、売れ行きも順調。
「もっと商品を増やして、ヴィフレア王国だけじゃなく、他国にも売れたらいいですよね」
「サーラ様! カフェにも新商品をお願いします!」
狼獣人の女の子たちは幸せそうな顔でケーキをほおばりながら、私に言った。
「サーラ様が考えた昼間限定の星空カフェも好評なんですよ」
カフェにプラネタリウムを置き、夜空を眺めることができるティールームを作った。
一日数組しか予約できない広さだけど、限定がお客様にとって特別感があるらしく、とても人気だ。
「恋人のお客様が多くて、イチャイチャ……いえ、雰囲気がとてもいいんですよ」
「片想いしていた男性が告白するシーンとか、プロポーズするお客様もいらっしゃるんです~!」
王都に恋人の聖地ができて、女の子たちは大盛り上がりだったけど、私が狙った客層はご家族連れである。
でも、ご家族連れというよりはカップル向けだったらしく……つまり、星空カフェは私に縁のないところ?
「サーラ様も恋人と来てくださいねっ!」
「う、うん、任せといて……。そ、そのうちね……」
複雑な表情を浮かべて、苦笑した。
恋人がいないとは言えずに、いる風に見せてしまう私、十八歳(中身二十四歳)。
「えっ? サーラに恋人いたっけ……もがっ!」
すばやくフランの口を塞ぎ、名誉を守った。
それを見ていたラーシュが、さすが王族という雰囲気で微笑んだ。
「師匠。ぼくでよければ、カフェにご一緒します」
十歳に同情されてしまう私、十八……(以下省略)。
「ラーシュ、あと八年経っても、私が独身だったら、お願いします」
「おい。ラーシュに頼むな。お前にプライドはないのか」
遅れてやってきたリアムが、私の頭に花束を押しつけた。
「リアム!」
呆れた顔で見下ろしたけれど、それより気になったのが、花束である。
「リアム様が花束をサーラ様に贈っていらっしゃるわよ!」
「女性に花束を贈るなんて、初めてじゃない!?」
「黒一色じゃないカラフルなリアム様なんて珍しい!」
花を手にしているおかげで、明るく見えているだけで、今日もリアムは死神みたいに全身黒コーデである。
でも、お祝いの花束を持ってきてくれたのは嬉しい。
受け取ろうとした私に気づき、その手をヒュランデル夫人がつかんで止めた。
「あの、ヒュランデル夫人?」
「リアム様。女性に花束を贈る時は、なにかおっしゃるものですわ」
にこにこ笑顔を浮かべたヒュランデル夫人に、リアムは反論できず、私と花束を見つめた。
周囲は普通に振る舞いながら、気になるらしく、こっちに視線をチラチラ向けている。
みんな気になるのは当然だ。
私もリアムがなにを言うか、わからなくてドキドキしていた。
「父上が喜んでいた。そのお礼だ」
「そ、そ、そうですか。……そうですよね」
がっかりした空気が流れたけど、リアムらしいといえば、リアムらしい理由だ。
リアムが花束なんて、らしくないことをしたから、なにか特別な意味があるのかと思ったけど、特になかったようだ。
花束を受け取り、私はお礼を言った。
「ありがとうございます」
「いや。それから、宮廷魔道具師おめでとう。よく頑張ったな」
不意打ちみたいにして、お祝いの言葉をリアムは言った。
頑張ったなんて言われると思っていなかったから、涙がこぼれた。
「なぜ……」
「リアムに褒められるのって、特別な気持ちになるんです」
この世界で目覚めた時から、心配をかけて振り回してしまったという自覚はある。
でも、いざという時は、リアムがいつも助けてくれた。
涙をぬぐっていると、周りが気まずそうに目をそらしていた。
「え、えーと……」
「あっ! サーラさん。ここに二人で座ったら?」
エミリさんとヒュランデル夫人が座っていたガーデンテーブルとチェアを譲ってくれた。
「お茶を持ってきますね」
「いい」
リアムが私の腕をつかんで、椅子に座らせた。
「人がいなくなって、話しやすくなった」
私の涙の扱いについて、ちょっとリアムに文句を言いたくなったけど我慢した。
私に話があるとわかったからだ。
「なにかありました?」
「改めて、父上から俺を王位継承者として指名したいという話があった」
「そうですか」
やはり、リアムが王になる。
「驚かないのか?」
「そうなればいいなと私は思っていました。リアムは【魔力なし】も獣人も馬鹿にしたりしませんから」
ルーカス様たちが私を馬鹿にしても、リアムは馬鹿にしなかった。
「十年前、そんなリアムにサーラも救われていたと思います」
「それは、どうだろうな」
リアムは黙って、手入れされた庭を眺めた。
ここに住んだばかりの頃は、荒れていた庭だけど、今では花が植えられ、風で揺れている。
「リアムは王様になるんですよね?」
リアムは迷っているのか、返事はなかった。
簡単に決められることじゃないとわかっている。
でも、国王陛下の年齢を考えたら、悩んでいる時間は少ない。
「大丈夫です。リアムなら、きっとみんなに尊敬されるような王様になりますよ!」
私はリアムの背中を押したつもりだった。
でも、リアムが王様になるには、もうひとつ重要なことがあるのを忘れていた。
「俺が妃を決めてから、発表すると言われた」
「リアムの妃!?」
「だが、俺の周りに女性という存在がいないことに気づいた」
「気づくのが遅すぎますけど、そのとおりです」
リアムはなにかの勧誘をするかのように、淡々とした口調で言った。
「俺の婚約者になってくれ。形だけでいい。報酬は支払う」
「ちょ、ちょっと待ってください! 気軽に誘いすぎですから! それに私はアールグレーン公爵家の人間ですよ?」
「勘当されて、縁が切れているだろう」
「ぐっ! でも、形だけとはいえ、私が婚約者っていいんですか? 王宮のしきたりでは、私はリアムと結婚できないはずじゃ……」
「王にならないのであれば無理だな」
王になる前提だから、例外も作れるということらしい。
まるで傭兵を雇うみたいなノリで言われてしまった(形だけの)婚約者の勧誘。
即位するために、その場しのぎの婚約者として、私を利用しようなんて、とんでもない。
それだけじゃない。
――これって、リアムがルーカス様と全面戦争するっていう宣言じゃないですか?
リアムが王様にならなかったら、ルーカス様が王様になる。
そして、私はルーカス様に命じられ、復縁を拒めず妃に戻り、また馬鹿にされる日々……
ゾッとして、首を横に振った。
ルーカス様の妃だけはお断りだ。
――形だけの婚約者として、リアムに協力するしか、ルーカス様から逃れる道はない。
無関係でいられないことはわかる。
これは私をルーカス様から守るためでもあるのだと気づいた。
期間限定とはいえ、私が婚約者――リアムは本気なの?
【二章 了】
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