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第2章
22 危険な取引
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「待て」
「ひっ、ひえっ! 殺される!」
リアムの顔が怖いからといって、殺されるは言いすぎだと思う。
「リアムは優しいところもあるんですよ。逃げなくて(たぶん)大丈夫です」
「誰が見た目より優しいだ」
「見た目はなにも言ってないじゃないですか!」
凶悪さが上がり、マルメル夫婦が腰を抜かした。
「ひえええ!」
「死刑にされるっー!」
マルメル一家が落ち着く様子はなかった。
なぜ、ここまで怯えているのか、私とフラン、ラーシュはわからなかったけど、リアムはあっさり見抜いた。
「獣人国の鉱山で、掘り出した石を持ち込んだな?」
マルメル一家が平伏し、床に頭をつけた。
「ひ、ひえ! も、申し訳ございません!」
「売られた者たちを助けるために、どうしてもお金が必要なんです! どうか見逃してください!」
狼獣人の一族が考えたお金を手に入れる方法とは、闇ルートで石を売りさばくという危険な商売だった。
【研磨】し、ランクの高い魔石になる石は、獣人国で多く採掘される。
けれど、ヴィフレア王国との戦争で負けた獣人国は、本来なら高値で売れるはずの石を安く買われている。
ここヴィフレアの王都で取引される値で売れたら、金貨をたくさん手に入れることができるのだ。
「獣人国は貧しいのです。一族の長が身代わりとなって、奴隷商人に買われるほど、困窮しています」
ヴィフレア王国は豊かだ。
魔術と魔石の恩恵によって、貴族たちは働く必要がない。
けれど、魔石の元になる石を掘る重労働は、獣人たちにやらせ、それに見合った金額が支払われていないのが現状だ。
そのため、不満が生まれ、闇ルートで売って、儲けようとする者が後をたたない。
「助けたい気持ちはわかる。だが、捕まれば罰せられ、最低でも永久に奴隷身分か、最悪、死刑だ」
リアムに、今すぐ自分たちを捕まえようとする気がないとわかったのか、マルメル一家はおとなしくなった。
彼らを責めることができない。
違法な方法でしか、獣人たちは大金を手に入れられないのだ。
獣人国を出て、ヴィフレア王国まで来ることができたマルメル一家は、まだ裕福なほうだ。
「石を掘ると土地が荒れる。それを規制するためでもある。だが、取引が不平等なものであることも承知している」
リアムはマルメル一家を見逃すつもりなのだろうかと思っていたら、違っていた。
「持ち込まれた石は正規のルートで取引に回す」
「そんな! それでは、いつまでたっても長たちを助けられません!」
「助ける? 自分たちの身が危険だとわかってるのか? 王都に入る時、お前たちのうち一人は、許可証を持たずに入っただろう?」
壁を乗り越え、石を王都に持ち込んだため、一人は許可証を所持してないということになる。
門から王都へ入るためには、許可証が必要になり、のちにそれが、王都で過ごす際の身分証明書になる。
マルメル一家の息子が、その役を担ったらしく、顔色が悪い。
「俺が捕まえなくても、お前たちは捕まる。自由に動ける獣人は珍しい。かなり目立つからな」
「リアム、そんなこと言わないで、なんとかならないんですか?」
「断る。例外を作れば、そこから綻びが生じる。違法な方法で、稼ぐ者が増えるだけだ」
リアムはヴィフレア王家の人間で、法律を曲げて助けるわけにはいかない。
それは、わかってるけど……
「マルメルさん。許可証を見せていただけませんか?」
「は、はあ」
許可証を受け取り、じっと眺める。
簡単な図案、文字、紙もインクも普通のもの――あっ、これ偽造できちゃうんじゃないのかな?
「おい。今、よからぬことを考えただろう?」
「ひっ! そ、そんなことないですよ」
「嘘をつけ。お前はフランの雇い主で、ラーシュの師匠だろう? 違法なことをしていいのか?」
――ぐっ! 正論で攻撃してきましたね!
私が悔しそうにしていると、フランが石の入った袋を持ち上げた。
「サーラ。おれの一族が迷惑かけて、ごめん」
フランは石の入った袋をリアムに渡す。
「リアム様。石の始末をお願いします」
「フラン様! やっと持ち込んだ石ですよ!」
「父さんや兄さんは、悪いことをして稼いだ金で自由になっても嬉しくないと思う。時間がかかっても、おれがお金を稼ぐよ。母さんに手紙を書く。無茶なことだけはしないで欲しいって」
フランが手にしていた母親からの手紙には、マルメルさんが言ったことと同じことが書かれていたのだろう。
「許可証ををもらってないのなら、もう一度、壁の外に出て、許可証を受け取ってほしい。許可証が発行されて滞在許可が出れば、王都で仕事を探せるからさ」
「でも、獣人の我々を雇ってくれる場所があるかどうか……」
王都でも貧しい地区と言われている裏通りにでさえ、獣人の姿はない。
獣人がいる場所は、商会や傭兵団などで、家族で住んでいる獣人はいなかった。
賃金が安く、王都の物価を考えると、家族で暮らしていくのは厳しい。
生活費以外で、お金を貯めるとしても、微々たるものになるだろう。
フランは返事ができず、黙り込んだ。
そのフランの代わりに、私が答える。
「わかりました。私が王都での住まいと働き先を探します」
リアムが表情を崩し、驚いた顔で私を見る。
「待て。ここで雇うつもりか?」
「リアムの協力は期待できませんし」
私の責めるような目に、リアムは頬をひきつらせた。
「いいんですよ。リアムは第二王子です。できることが限られてますもんね」
ちくちくと針の刺すような攻撃に、リアムはため息をついた。
「俺の屋敷の管理を任せてもいいと思っている」
「リアムもいいところがあるじゃないですか! 地獄の番人か、血の色が緑なのかなって思ってましたけど……」
リアムの冷たい目に気づき、慌てた。
「わぁ! リアムはいつも優しくて、親切ですよね! あ、あ、明るいし?(無理矢理)」
「え、えーと、リアム様。気持ちは嬉しいんだけどさ。そのー……」
フランがお断りしたい空気を出していた。
マルメル一家は震え、リアムに怯えている。
――ですよね。
私とフランは、リアムが善意で言ってくれているのがわかるけど、マルメル一家は『どこに連れていかれるの? 牢屋?』という空気だ。
その気持ちがわかるだけに辛い。
「えっと、リアム。私はマルメル一家だけでなく、狼獣人のみなさんが、働ける場所を作りたいと思っています。そのほうが、早くお金も貯まりますし、故郷へ仕送りもできるようになるでしょう?」
「この小さい魔道具店で、狼獣人たちを養えるとでも思ってるのか?」
「いいえ、まさか」
私はフランとマルメル一家に言った。
「採掘した石を闇ルートで売っても、どっちみち一時的な稼ぎにしかなりません。奴隷や死刑になる危険をおかすくらいなら、安定した収入を継続的に受け取れるほうがいいと思いませんか?」
「言っていることはわかるが、お前の魔道具店を増やす余力はないぞ」
どうやらリアムは、私がフランを魔道具店の店長にしたように、店を増やして獣人たちを店長にすると思ったらしい。
――それはできない。ファルクさんのように、大勢の弟子がいれば可能な話だけど、魔道具師は私ひとり。
店をこれ以上、大きくできないことはわかっている。
私が無理をして獣人たちを雇うくらいなら、リアムが持っているというお屋敷で、働いてもらったほうがいいと考えたのだろう。
「リアム。私のことを心配してくれたんですか?」
「お前に安心できる要素はゼロだ。心配しかない」
「リアムでも冗談を言うことがあるんですね!」
「本気で言っているんだが?」
――あ、あれ? 憎まれ口じゃなくて本心だった?
リアムは知らないだろうけど、これは以前から考えていたことだ。
フランの家族や狼獣人の一族の窮状をなんとかしたいと思っていた。
ここにいて、私が彼らにできることを――
「大丈夫。私に任せてください。働き先と住む場所を提供できると思います!」
むしろ、このタイミングで、マルメル一家が獣人国からやってきてくれたことに感謝したのだった。
「ひっ、ひえっ! 殺される!」
リアムの顔が怖いからといって、殺されるは言いすぎだと思う。
「リアムは優しいところもあるんですよ。逃げなくて(たぶん)大丈夫です」
「誰が見た目より優しいだ」
「見た目はなにも言ってないじゃないですか!」
凶悪さが上がり、マルメル夫婦が腰を抜かした。
「ひえええ!」
「死刑にされるっー!」
マルメル一家が落ち着く様子はなかった。
なぜ、ここまで怯えているのか、私とフラン、ラーシュはわからなかったけど、リアムはあっさり見抜いた。
「獣人国の鉱山で、掘り出した石を持ち込んだな?」
マルメル一家が平伏し、床に頭をつけた。
「ひ、ひえ! も、申し訳ございません!」
「売られた者たちを助けるために、どうしてもお金が必要なんです! どうか見逃してください!」
狼獣人の一族が考えたお金を手に入れる方法とは、闇ルートで石を売りさばくという危険な商売だった。
【研磨】し、ランクの高い魔石になる石は、獣人国で多く採掘される。
けれど、ヴィフレア王国との戦争で負けた獣人国は、本来なら高値で売れるはずの石を安く買われている。
ここヴィフレアの王都で取引される値で売れたら、金貨をたくさん手に入れることができるのだ。
「獣人国は貧しいのです。一族の長が身代わりとなって、奴隷商人に買われるほど、困窮しています」
ヴィフレア王国は豊かだ。
魔術と魔石の恩恵によって、貴族たちは働く必要がない。
けれど、魔石の元になる石を掘る重労働は、獣人たちにやらせ、それに見合った金額が支払われていないのが現状だ。
そのため、不満が生まれ、闇ルートで売って、儲けようとする者が後をたたない。
「助けたい気持ちはわかる。だが、捕まれば罰せられ、最低でも永久に奴隷身分か、最悪、死刑だ」
リアムに、今すぐ自分たちを捕まえようとする気がないとわかったのか、マルメル一家はおとなしくなった。
彼らを責めることができない。
違法な方法でしか、獣人たちは大金を手に入れられないのだ。
獣人国を出て、ヴィフレア王国まで来ることができたマルメル一家は、まだ裕福なほうだ。
「石を掘ると土地が荒れる。それを規制するためでもある。だが、取引が不平等なものであることも承知している」
リアムはマルメル一家を見逃すつもりなのだろうかと思っていたら、違っていた。
「持ち込まれた石は正規のルートで取引に回す」
「そんな! それでは、いつまでたっても長たちを助けられません!」
「助ける? 自分たちの身が危険だとわかってるのか? 王都に入る時、お前たちのうち一人は、許可証を持たずに入っただろう?」
壁を乗り越え、石を王都に持ち込んだため、一人は許可証を所持してないということになる。
門から王都へ入るためには、許可証が必要になり、のちにそれが、王都で過ごす際の身分証明書になる。
マルメル一家の息子が、その役を担ったらしく、顔色が悪い。
「俺が捕まえなくても、お前たちは捕まる。自由に動ける獣人は珍しい。かなり目立つからな」
「リアム、そんなこと言わないで、なんとかならないんですか?」
「断る。例外を作れば、そこから綻びが生じる。違法な方法で、稼ぐ者が増えるだけだ」
リアムはヴィフレア王家の人間で、法律を曲げて助けるわけにはいかない。
それは、わかってるけど……
「マルメルさん。許可証を見せていただけませんか?」
「は、はあ」
許可証を受け取り、じっと眺める。
簡単な図案、文字、紙もインクも普通のもの――あっ、これ偽造できちゃうんじゃないのかな?
「おい。今、よからぬことを考えただろう?」
「ひっ! そ、そんなことないですよ」
「嘘をつけ。お前はフランの雇い主で、ラーシュの師匠だろう? 違法なことをしていいのか?」
――ぐっ! 正論で攻撃してきましたね!
私が悔しそうにしていると、フランが石の入った袋を持ち上げた。
「サーラ。おれの一族が迷惑かけて、ごめん」
フランは石の入った袋をリアムに渡す。
「リアム様。石の始末をお願いします」
「フラン様! やっと持ち込んだ石ですよ!」
「父さんや兄さんは、悪いことをして稼いだ金で自由になっても嬉しくないと思う。時間がかかっても、おれがお金を稼ぐよ。母さんに手紙を書く。無茶なことだけはしないで欲しいって」
フランが手にしていた母親からの手紙には、マルメルさんが言ったことと同じことが書かれていたのだろう。
「許可証ををもらってないのなら、もう一度、壁の外に出て、許可証を受け取ってほしい。許可証が発行されて滞在許可が出れば、王都で仕事を探せるからさ」
「でも、獣人の我々を雇ってくれる場所があるかどうか……」
王都でも貧しい地区と言われている裏通りにでさえ、獣人の姿はない。
獣人がいる場所は、商会や傭兵団などで、家族で住んでいる獣人はいなかった。
賃金が安く、王都の物価を考えると、家族で暮らしていくのは厳しい。
生活費以外で、お金を貯めるとしても、微々たるものになるだろう。
フランは返事ができず、黙り込んだ。
そのフランの代わりに、私が答える。
「わかりました。私が王都での住まいと働き先を探します」
リアムが表情を崩し、驚いた顔で私を見る。
「待て。ここで雇うつもりか?」
「リアムの協力は期待できませんし」
私の責めるような目に、リアムは頬をひきつらせた。
「いいんですよ。リアムは第二王子です。できることが限られてますもんね」
ちくちくと針の刺すような攻撃に、リアムはため息をついた。
「俺の屋敷の管理を任せてもいいと思っている」
「リアムもいいところがあるじゃないですか! 地獄の番人か、血の色が緑なのかなって思ってましたけど……」
リアムの冷たい目に気づき、慌てた。
「わぁ! リアムはいつも優しくて、親切ですよね! あ、あ、明るいし?(無理矢理)」
「え、えーと、リアム様。気持ちは嬉しいんだけどさ。そのー……」
フランがお断りしたい空気を出していた。
マルメル一家は震え、リアムに怯えている。
――ですよね。
私とフランは、リアムが善意で言ってくれているのがわかるけど、マルメル一家は『どこに連れていかれるの? 牢屋?』という空気だ。
その気持ちがわかるだけに辛い。
「えっと、リアム。私はマルメル一家だけでなく、狼獣人のみなさんが、働ける場所を作りたいと思っています。そのほうが、早くお金も貯まりますし、故郷へ仕送りもできるようになるでしょう?」
「この小さい魔道具店で、狼獣人たちを養えるとでも思ってるのか?」
「いいえ、まさか」
私はフランとマルメル一家に言った。
「採掘した石を闇ルートで売っても、どっちみち一時的な稼ぎにしかなりません。奴隷や死刑になる危険をおかすくらいなら、安定した収入を継続的に受け取れるほうがいいと思いませんか?」
「言っていることはわかるが、お前の魔道具店を増やす余力はないぞ」
どうやらリアムは、私がフランを魔道具店の店長にしたように、店を増やして獣人たちを店長にすると思ったらしい。
――それはできない。ファルクさんのように、大勢の弟子がいれば可能な話だけど、魔道具師は私ひとり。
店をこれ以上、大きくできないことはわかっている。
私が無理をして獣人たちを雇うくらいなら、リアムが持っているというお屋敷で、働いてもらったほうがいいと考えたのだろう。
「リアム。私のことを心配してくれたんですか?」
「お前に安心できる要素はゼロだ。心配しかない」
「リアムでも冗談を言うことがあるんですね!」
「本気で言っているんだが?」
――あ、あれ? 憎まれ口じゃなくて本心だった?
リアムは知らないだろうけど、これは以前から考えていたことだ。
フランの家族や狼獣人の一族の窮状をなんとかしたいと思っていた。
ここにいて、私が彼らにできることを――
「大丈夫。私に任せてください。働き先と住む場所を提供できると思います!」
むしろ、このタイミングで、マルメル一家が獣人国からやってきてくれたことに感謝したのだった。
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